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    ネットリストを読み込む

    Altium Designer
    |  October 13, 2019

     

    プリント基板のレイアウトを行う場合にはまず、回路図から接続情報を受け取らなくてはなりません。プリント基板CADのAltium Designerでは回路図とPCBの機能が統合されていますので、PCB画面から[Import Changes From ...]コマンドを起動するだけで回路図の接続情報を取り込む事ができます。しかし、基板の回路図がAltium Designerで描かれているとは限りません。特に、外部からの依頼で基板を設計する場合にはなおさらです。

    幸いな事にAltium Designerには他のフォーマットで保存された回路図を読み込む為のインポーターが用意されています。これを使えばAltium Designerで作成された回路図と同じ方法で接続情報を取り込めます。しかし、インポーターでサポートされていない場合にはどうしても、ネットリストファイルでのやり取りが必要になります。

     

    コンパレータによるネットリストの読み込み

    ネットリストファイルによる接続情報の取り込みは現在の設計現場でも普通に行われており、回路図が利用できない場合にはこれしか方法がありません。しかし、Altium Designer のどこを探しても、ネットリストを読み込むためのコマンドが見つかりません。それもそのはず、Altium Designer にはネットリストを読み込むための専用のコマンドは用意されておらず、データの比較と整合化の機能を使ってネットリストを読み込むようになっているのです。

    基板設計CADでは、最初から最後までデータの整合性を維持しなくてはなりません。このため、Altium Designerは2つのデータ間の違いを検出できるコンパレータを備えており、ネットリストの取り込みにもこの機能を使います。

    ネットリストの取り込みの際、コンパレータはネットリストファイルとPCBとの内容の違いを検出し、違いが見つかればそれを解消する手続きとしてPCBにネットリストを読み込みます。今回のように空のPCBの場合、違いはネットリストそのものですのでネットリストがそのまま読み込まれます。もし、PCBにデータが含まれていた場合には、ネットリストとの差分を抽出し、データの追加と削除を行って双方を一致させます。

     

    ネットリストを読み込む

    まず、事前の準備として、空のPCB とネットリストを用意します。そして、新しいプロジェクトを開き、用意した空のPCB とネットリストを加えます。

    以下は、ネットリストを読み込む為の準備が整った状態の画面です。回路図は使いませんが、ネットリストを作成する為の手段として用意しました。

     

    sch_pcb_net

    ネットリストを読み込む前の画面
    画面下部の空のPCBに、右側に表示されているネットリストを読み込む。
    サンプル回路はチュートリアル(PCB設計入門)でお馴染みのシンプルなマルチバイブレータ。
    回路図は使わないがネットリストを作成するために用意した。

     

    ネットリストは以下の手順で読み込みます。操作は全てPCB画面から行います。

    1. [プロジェクト] – [相違点の表示] コマンドを起動
      これにより[比較ドキュメント選択]画面が表示される。

    相違点の表示

    [相違点の表示]を選ぶと[比較ドキュメント選択]画面が現れる

     

    1. [比較ドキュメント選択]画面の[詳細モード]にチェックを入れる。
      これにより、ウィンドウが 2つ表示されるので、左ウィンドウで用意した空のPCB ファイルを選択し、右ウィンドウでネットリストファイルを選択する。そして、OK ボタンを押すと相違点の比較が始まり、完了すると[Differences Between Netlist File …]画面が現れ、見つかった相違点が示される。

     

    詳細

    [詳細モード]にチェックを入れると画面が2つに分割される

     

    differences

    画面に検出された相違点が表示される

     

    1. マウス右ボタンを押し、[Update All in >> PCB Document …]を実行
      [Differences Between Netlist File …]画面上でマウスの右ボタンを押すとポップアップメニューが現れるので、この中から[Update All in >> PCB Document …]を選ぶ。これにより、アップデートの処理が始まり、完了するとグレイアウトしていた[ECO(設計変更指示)を作成 …]ボタンが有効になる。

    C:\Users\jono\AppData\Local\Microsoft\Windows\INetCache\Content.Word\update_all.png

    >[Update All in >> PCB Document …]を実行

     

    1. [ECO(設計変更指示)を作成 …]ボタンを押す
      表示が[ECO]画面に切り替わり、実行される変更の内容が表示される。

     

    C:\Users\jono\AppData\Local\Microsoft\Windows\INetCache\Content.Word\eco.png

    変更の内容が示された[ECO]画面

     

    1. 表示された変更の内容を確認し[変更の実行] ボタンを押す
      これにより、ECOが処理される。そして、PCB画面には部品とラッツネストが現れる。

     

    C:\Users\jono\AppData\Local\Microsoft\Windows\INetCache\Content.Word\pcb_parts_net.png

    ネットリストが読み込まれ、部品とラッツネストが現れる

     

    変換された回路図を使う時には、ネットリストファイルで整合を再確認

    Altium Designer以外で作成された回路図であっても、インポーターを使って読み込めば[Import Changes From ...] コマンドでPCBに回路データを取り込めます。この場合には、ネットリストファイルは要らないと考えてしまいがちですが、誤りを避ける為には信頼できるネットリストとの比較が必要です。

    インポーターでフォーマットの異なる回路図を読み込んだ場合、100%の精度で回路が再現されるとは限らず、誤った情報を受け取ってしまう危険性があります。しかし、ネットリストファイルとの比較によってこの問題を回避する事ができます。

    インポーターで変換された回路図を利用する場合、変換前の元の回路図から抽出されたネットリストを正しい回路情報として用意し、先ほど説明したような手順で比較・更新を行うと良いでしょう。これは、回路図に対してもPCBに対しても行う事ができます。また、設計のどの段階でも行う事ができ、これによって最初から最後までデータの整合性を保つ事ができます。


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