回路基板のサイズと形状は、空の星なみにたくさんあるようです。いくつかの標準フォームファクターに従った基板のみを作っている企業で働いている設計者の方は、サイズや形状が異なる基板がどれだけたくさんあり得るか想像できないかもしれません。円形の基板、四角い基板、切り込みやカットアウトがある基板、角が変則的な角度の基板、複数の角や輪郭の基板など。
可能性があるさまざまなPCBの形状およびサイズを全てリストにしてもきりがありません。どのような形状やサイズの基板でも作成できるよう準備しておく必要があります。
幸い、PCB設計ツールには、さまざまな基板外形を作成するために必要な描画ユーティリティが用意されています。アルティウムの設計ツールは、このような作業に特に適しており、役に立つ多数のオプションや機能があります。Altium Designerを使用した基板の作成やサイズ変更に関する、基本的なレイアウトガイドをご覧ください。
最初に行うのは、作成する基板に必要なサイズと形状を把握することです。必要なサイズと形状は通常、設計と会社の必要性によって決まるので、このプロセスについてはここでは扱いません。ただし、最終的に基板外形を作成する方法に直接適用されますので、読者の皆様はそのようなさまざまなPCB設計技術に精通していることと思います。
Altium Designerのマニュアルで、プリント回路基板の作成に非常に役立つ情報をご覧ください。
次に、作業するための空のPCBを準備する必要があります。下図のように [File] ≫ [New] ≫ [PCB] を選択します。PCBの名前を求められますので、この記事の目的から「Test」という名前を指定しました。これで、プロジェクトで作成されたPCBを使って、基板外形の作業を開始する準備ができました。
Altium Designerでは、新規のPCBオブジェクトを作成する場合、デフォルトの基板外形は6インチ x 4インチの長方形になります。多くの場合は、単純にデフォルトの基板外形を使用して、これからお見せするように必要に応じて変更することができます。最初に、下図の左側のように、[Edit] ≫ [Origin] ≫ [Set] を選択して原点を設定します。
マウスボタンをクリックして原点を設定します。上図の右側で、基板外形の左下角に原点を設定したことがわかります。
次に、グリッドを設定します。<CNTR>+<Shift>+<G>のショートカットキーを使用するか、基板のプロパティメニューからGrid Managerにアクセスして設定します。Grid Managerでは、グリッドの値と単位の設定に加え、その他の多数の便利な機能も使用できます。
基板外形の作業を行うには、初めにAltium Designerを基板プランニングモードにする必要があります。Altium Designerには、設計作業のための3つのモードがあります。
下図のようにメニューを選択して基板プランニングモードを入力するか、基板をクリックしてショートカットキーの<1>を押します。サンプルの「Test」デザインで基板プランニングモードを入力すると、以下のように基板外形が緑色に変わります。
これで、設計セッションで既存の基板外形のサイズを変更する準備ができました。サイズを変更するには、[Design] ≫ [Edit Board Shape] プルダウンメニューコマンドを使用します。このコマンドを実行すると、基板外形の周囲に編集ハンドルが表示されます。表示されたハンドルのいずれかをクリックしたまま新しい位置までドラッグするか、基板の辺をクリックしたままドラッグして、サイズと形状を変更できます。
上図のとおり、Testの基板外形の左上の編集ハンドルをクリックした状態で右にドラッグします。ドラッグ先でクリックすると、そこが基板外形のその角の新しい位置になります。基板の角や辺を必要な位置へ移動し終えたら、基板外形の外側をクリックして編集モードを終了します。
ここまで、Altium Designerで作成したPCBの既存のデフォルト基板外形を編集する単純な方法を説明してきましたが、ほかにもさまざまな方法が可能です。前のセクションでは [Design] プルダウンメニューを使用して [Edit Board Shape] コマンドにアクセスしました。このメニューには、下図のように、他の基板編集用コマンドもあります。これらのコマンドを使用するには、(緑色の)基板プランニングモードに入る必要があります。
ご覧のように、[Design] メニューには、基板外形を処理するためのさまざまなオプションがあります。基板外形の再定義、編集、変更、移動などが可能です。まず初めに、基板外形の再定義について説明しましょう。
既存の基板外形が自分の用途に全く役立たない場合は、再定義コマンドを使用して新しい基板外形を最初から作ることができます。再定義コマンドを使用すると、マウスをクリックして基板外形の頂点を配置することで、下図の上半分のように新しい基板外形を描画できます。新しい基板外形の作成結果は、下図の下半分のようになります。
変更コマンドで既存の基板外形を変更できる、別の便利な機能もあります。下図の左側は、変更コマンドにより基板外形に切り込みを指定しています。右側は、基板外形への切り込みを追加した変更結果です。
編集、再定義、変更による基板外形の変更に加え、カットアウトを追加することもできます。カットアウトを追加するには、[View] メニューのプルダウンを使用するか<2>キーを押して、基板プランニングモードから通常の2Dレイアウトモードに切り替えます。モードが変わったら、[Design] プルダウンメニューに移動し、[Board Shape] ≫ [Define Board Cutout] を選択します。次に、下図の上半分のように、カットアウトの縦線を下方向にクリックしてから右クリックして、下図の下半分のようにカットアウトを完了します。
Altium Designerには、基板外形およびカットアウトの形状作成に使用する5つのコーナーモードを提供しています。5つのコーナーモードは次のとおりです。
1. 45度
2. 45度アーク
3. 90度
4. 90度アーク
5. 任意の角度
<Shift>+スペースバーを使用して、5つのコーナーモードを順に切り替えることができます。また、スペースバーのみを使用して角の方向を切り替えることもできます。設計セッションウィンドウの下部のテキストにアークのサイズが表示されるので、<.>または<,>キーを押してアークのサイズを増減できます。アークの増減速度を速くするには、<.>または<,>キーを使用しながら<Shift>キーを押したままにします。
私の中学のバンドディレクターがよく「練習、練習、練習!」と言っていましたが、アークの操作にも熟練が必要です。また、アークを描いているときに誤ったセグメントができてしまった場合は、必ず、<Backspace>キーを使用して最後の頂点を削除してください。
部品の配置を開始する前に行うべきことがまだいくつかあります。回路図データの基板への転送、基板のスタックアップとレイヤー表示の構成、設計ルールの設定などを行う必要があります。これらを完了すると、PCBレイアウトの中心作業を始める準備が完了です。
回路基板には無数の異なる形状やサイズがありますが、幸いAltium Designerが、そのような基板を作成するためのPCB設計ツールを提供しています。Altium Designerを使用したことのない設計者の方やさらに詳しい情報をご希望の方は、今すぐアルティウムのエキスパートにお問い合わせください。