私は常に、成功のためには他者の成功を真似し、失敗を避ける必要があると考えてきました。私が職務を始めた頃は、Raspberry Piのような単一基板のコンピューターは存在せず、Arduinoを産業アプリケーション向けに真剣に考える人はいませんでした。私が自分で設計した汎用コントローラーのメンテナンスを初めて行うことになったときの苦労を想像してみてください。それは、火災警報のコントローラーで、50本を超えるワイヤーが手作業でネジ止めされていました。私は、障害のある8ピンのEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)を交換する必要がありました。顧客は不満を持っており、私はこの作業を迅速に、間違いなく行うよう圧力をかけられていました。このときから、私は汎用コントローラーの設計を複数の物理モジュールに分割するようになりました。同様に今日、Raspberry Pi は産業用アプリケーションに使用されています。これはコストだけではなく、そのモジュール化設計のためでもあります。
汎用コントローラーとは
電子機器産業におけるコンポーネントと労働力のコストが増大し続けていることから、デザインのフットプリントを最小限にするのは論理的です。しかし、汎用コントローラーの設計においては、長期的にこれが最良の選択肢ではないこともあります。
スマートフォンやテレビのような民生用電子機器とは異なり、汎用コントローラーは一般的な仕様で設計され、多くの場合に小規模で使用されます。ファームウェアが異なれば、同じコントローラーでも異なる機能を果たすようになります。例えば、同じコントローラーを支払い機のコントローラー、セキュリティ管理コントローラー、または単純なデータ監視ステーションとして使用できます。
一般的な汎用コントローラーは、次の部分で構成されます。
マイクロコントローラー(MCU)
SRAM、FRAM、フラッシュ、EEPROMなどのメモリチップ
周辺機器インターフェイス(イーサネット、USB、RS485)
入力(アナログ、デジタル、オプトカプラー)
出力(リレー、デジタル)
電力管理回路
基板コネクタへの配線
実際には外部センサー、スイッチ、機器からのケーブルは、汎用コントローラーのPCBで、それぞれの該当コネクタにおいて終端処理されます。その後で、汎用コントローラーは産業用の筺体または端末ラックに固定され、定期的なサービスを受けます。
特定の業界では、停止時間は収益の消失や顧客の怒りを招きます。
汎用コントローラーにモジュール設計を使用すべき理由
設計からコストまでの観点からは、汎用コントローラーを単一のPCBで設計することが合理的です。しかし、その汎用コントローラーがどのようなアプリケーションを使用するかを考慮した場合、設計でのコスト削減が、サポートやアップグレード作業のコスト高騰を招く可能性があります。汎用コントローラーは過酷な電気的環境にさらされるようなアプリケーションで使用されるため、複数のPCBによるモジュール設計を使用するのが適切です。これらの要件は時間とともに拡大し、アップグレードが要求されるため、これらのアプリケーションの一部では、停止時間を最小限に抑えることが極めて重要です。
適切に設計されたモジュール形式の汎用コントローラーでは、ユニット全体を筺体から取り外したり、接続されているケーブルを全て取り除いたりする、時間を浪費する作業なしに、重要な部品を取り外すことができます。障害のあるモジュールを取り外し、新しいモジュールを取り付けるだけで、交換が完了します。
汎用コントローラーの一般的なMCUモジュール
モジュール形式の汎用コントローラーを設計するためのベストプラクティス
汎用コントローラーを2つ以上のモジュールに分割することで、修理やアップグレードが便利になります。ただし、コンポーネントを適切なモジュールに正しく分割できなければ、この労力は無駄になります。モジュール形式の汎用コントローラーを設計するための標準的な方針はありませんが、私がこれまで使用して役立ってきたいくつかの原則を紹介しましょう。
私の設計では、汎用コントローラーをI/OモジュールとMCUモジュールの2つのモジュールに分割します。I/Oモジュールは最終的に筺体に取り付けてネジ止めされ、MCUモジュールはI/Oモジュールへ簡単にはめ込むことができます。
堅牢でライフサイクルの長いパッシブコンポーネントは、I/Oモジュールに搭載します。これには、電力管理回路、基板コネクタへの配線、通信IC、オプトカプラー、およびリレーが含まれます。MCUモジュールにはよりインテリジェントなコンポーネント、例えばMCU、メモリチップ、イーサネット回路、およびBluetoothやWiFiモジュールなどが含まれます。
設計技術者としての経験から、MCUやメモリチップなどのアクティブコンポーネントは、電圧レギュレーターやリレーなどの部品より故障率が高いことが分かっています。このため、アクティブとパッシブのコンポーネントを分離することは理にかなっています。コンポーネントが故障する可能性が高い場合、簡単に取り外しできるMCUモジュールに搭載します。
コンポーネントをモジュールに分割する以外に、基板間のコネクタを適切に配置し、モジュール間の相互接続を保証します。MCUモジュールはI/Oモジュールから電力の供給を受けるため、基板間のコネクタには十分な電圧とGNDピンを割り当てる必要があります。
結論として、汎用コントローラーの設計においては、短期的な製造コストのみを優先するべきではありません。本当に効果的な設計を行うには、長期的なブランドへの評価や、サポートの容易さを考慮する必要があります。モジュール形式の汎用コントローラーを設計することで、優れた設計とファームウェアの拡張機能を作り上げることに専念でき、サポートチームは最小限の不便と停止時間だけで、障害のあるモジュールを交換できるようになります。
汎用コントローラーをモジュールに分割するには、まず最高のPCBソフトウェアを使用する必要があります。Altium Designerは、各種の回路図ブロックを管理し、PCB上でネットを同期する機能があり、この目的に役立ちます。
汎用コントローラーについてのご質問は、今すぐAltiumの専門家にお問い合わせください。