障害物やその他のポリゴンに対応する自動インタラクティブ配線

投稿日 2018/06/17, 日曜日
更新日 2020/12/16, 水曜日

自動インタラクティブ配線での3D PCB配線の画像

 

プリント回路基板の手動配線が非常に楽しい作業であることに疑う余地はありません。最良のシグナルインテグリティを備えた最短の配線ができるよう、できる限り無駄がなくきっちり収まって、誤りのない配線をすることは、魅力的な挑戦です。配線が完了し、きっちり計った配線が完璧であること、差動ペアが適切であること、全てがすばらしいできばえに見えることを知って誇りを感じることができます。唯一の問題は、そのレベルの正確さで手動配線を行うには多くの時間がかかるということです。

今日のPCB設計ソフトウェアには、配線時間を短縮できるさまざまな配線手段が用意されています。本格的なバッチオートルータからトレースのクリーンアップツールまで、あらゆるものを見つけることができます。非常に便利になったアプリケーションの1つに、自動インタラクティブルータがあります。これにより、自動ルータと同じ速さで、ユーザ自身が配線の方向を指定できます。Altium DesignerのActive Routeテクノロジーは、自動インタラクティブルータとしては最も優れたものの1つとなっており、障害物を避けた配線では特に、非常に便利な機能を提供します。
 

手動インタラクティブ配線

プリント回路基板が作成された当初から、PCB設計者は手動で配線してきました。初期の頃はマイラー上のテープでしたが、現在は高度なPCB設計ソフトウェアとルール指向の設計により行っています。配線がより複雑になるにつれて、PCB設計者は、短時間で障害物を回避するための配線に役立つ自動化された手段がますます必要になっています。

Altium DesignerのPCBエディタには、このような配線に役立つ、以下に示すようなツールが用意されています。以下の単純な例では、PCB設計で未配線のエリアにフィルを追加しています。

 

AD18の自動インタラクティブ配線で配線されるネットのスクリーンショット

これから作業する未配線のPCBのエリア

 

PCB設計者は、障害物周りの手動配線に精通しており、少しの時間で、配線したい場所にトレースを巧みに配置できます。上図の右側に垂直方向のネットを4つ配線するには、通常は各ネットを個別に選択してから各頂点をクリックしてフィルの周りで配線操作を行います。

この場合、アルティウムは配線エンジンを通じた自動化により設計者をサポートします。下図では、トレースが下方向に引かれ、自動的に最短経路で障害物の周りに沿って(hug)配線されています。これにより、設計者は、経路上の各フィルやパッド、その他の障害物に沿って手動で配線する必要がなくなります。

 

Altium Designer 18の手動インタラクティブ配線で配線されるネットのスクリーンショット

インタラクティブ配線の「hug」機能は障害物回避に有効です

 

上図では、緑色の十字マークのところまで単純にトレースを引いたセグメントが表示されています。インタラクティブルータは自動的に障害物の周りに沿って(hug)そのままトレースを配置しています。この配線を行うため、Altium Designerのインタラクティブルータにはいくつかの設定が用意されています。これらの設定にアクセスするには、[Tools] プルダウンメニューから [Preferences] を選択し、[PCB Editor] カテゴリで [Interactive Routing] をクリックします。

 

Altium Designer 18の自動インタラクティブ配線設定のスクリーンショット

Altium Designerのインタラクティブ配線の設定

 

上図には、ユーザが指定できる他の設定も表示されています。それらの設定は、手動配線の作業をより簡単にするためのものです。唯一の問題は、シングルトレースの手動配線に対してのみ有効である点です。この後、マルチトレースの一括配線に役立つ機能として、Altium DesignerのActive Routeによる自動インタラクティブ配線機能について説明します。
 

Active Routeによる自動インタラクティブ配線

Active Routeにより、設計者は、ネットを自動配線できるよう経路を方向づけることができます。この機能を使用するには、最初に [PCB ActiveRoute] パネルを開きます。次に配線するネットグループを選択してください。この例では、右側の4つの垂直ネットのグループを選択しています。これを行うには、<ALT>キーを押しながらマウスの左ボタンをクリックし、各ネットの一部を囲むようにカーソルを右から左にドラッグします。

Altium Designerでは、左から右にドラッグすると、選択ボックス内に完全に収まったアイテムのみが選択されます。選択ボックスに接したアイテムを選択する場合は、右から左にドラッグする必要があります。

これで4つのネットが選択されたので、ルータでの作業を開始できます。Active Routeのパネルは既に開いているので、[Route Guide] ボタンをクリックします。下図のように、ネットがカーソルの位置で1か所に集まります。

 

Altium Designer 18の自動インタラクティブ配線の設定のスクリーンショット

自動インタラクティブ配線のためのActive Routeの設定

 

今度は、配線がたどる経路(パス)をデジタル化します。シングルトレースの手動配線と同じように、配線経路を通したい頂点でクリックします。この経路は、配線の端から端までである必要はありません。下図のように、短い距離を指定して障害物に沿って配線するよう方向づけすることができます。

方向を変えようと思ったらいつでも、バックスペースキーを使って、描画中のトレースを後退させることができます。上下矢印キーを使って経路のトレースの幅を増減することもできます。これにより、配線中のトレースグループに必要なスペースの広さを調整します。

 

Altium Designer 18の自動インタラクティブ配線のガイドパスのスクリーンショット

Active Routeが配線に使用するガイドパスの指定

 

経路の描画が完了したら、マウスを右クリックします。上図のように、経路のいずれかの端に選択したガイドが表示された状態で、経路が表示されます。この時点で、配線の準備が完了です。Active Routeのパネルで [ActiveRoute] ボタンをクリックするか、<Shirt>+<A>を押します。Altium Designerは、一瞬停止してから上図のように配線を完了します。

 

Altium Designer 18の自動インタラクティブ配線で完成した配線のスクリーンショット

Altium DesignerでActive Routeを使って完成した配線

 

Active Routeは、ユーザが指定した経路を越えても、伸ばせる限りネット全体を配線します。また、同じネットの配線済みの2か所の間で未配線の部分を配線します。この機能のおかげで、Active Routeは、既に作業を始めた配線の仕上げをするための理想的なツールになっています。
 

Altium DesignerのActive Routeのメリット

Active Routeの最大のメリットの1つは、全てがAltium Designerの統合設計環境の一部である点にあります。つまり、ツールからツールへデータを渡す際に複雑な変換や転送がないということです。代わりに、Active Routeで処理したいネットを選択して [go] ボタンをクリックするだけです。

Active Routeは、従来のオートルータではなく、選択したネットの高品質な配線を可能にするガイド付きのインタラクティブルータです。必要に応じてActive Route内で各種の設定を利用できます。これにより、どのレイヤに対して作業するか、配線後のGlossing経路の有効化、Active Routeの蛇行がどの程度許されるか、ピンスワップの有効化などについてルールを指定できます。

Active Routeは、ネット長の一致のほか、差動ペアにも対応します。ただしほとんどの場合、Active Routeは、レイアウトに対して既に設定した標準的なデザインルールを使用します。PCBエディタツールは、ここで説明したように簡単に使用できます。

Active Routeをうまく活用するカギは、標準の配線ツールの一部として使用する習慣を身に付け、面倒なオートルータとして扱わないようにすることです。これまで、バッチオートルータに関しては、オートルータでできるだけよい結果を得られるような設計構成にすることに時間を費やすものと考えられていました。Active Routeではその必要はありません。代わりに、手動では通常長時間を要するであろう一般的な配線操作のために使用することで最良の結果を得ることができます。

まだActive Routeを使用していない場合は、ぜひお試しください。間違いなく結果を気に入っていただけるでしょう。Altium Designerには、PCB設計ソフトウェアに組み込まれた便利な機能が多数搭載されており、設計のあらゆる面で設計者をサポートします。Active Routeは、それらの機能の1つとして、以前は手動で多くの時間を費やしていた作業を自動化することで生産性を向上させることを目的としています。

アルティウムは、今後のPCB設計の配線をお手伝いいたします。アルティウムのエキスパートにお問い合わせください。

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