伝導放出のテスト機器と低減のガイドライン

投稿日 2017/08/24, 木曜日
更新日 2020/12/16, 水曜日
伝導放出のテスト機器と低減のガイドライン

ラボテスト用の受信機
 

 

私が大学に通っていた頃、クラスの1つが非常に難しかったため、教授はいつも1週間前にテストの問題を渡してくれました。試験の前に何を勉強すべきか正確に教えられていても、多くの学生が不合格に終わりました。電磁両立性(EMC)の伝導放出解析も同じようなものです。デバイスが電源を通して、電力網に多くのノイズを返していないかどうかをチェックする必要があります。これを行わないとFCCにより、公共電源を破壊する存在と見なされます。電源を経由して電力網へ返されるEMIに関して、デバイスの事前テストを行うことは難しくありません。しかし、最終的なチェックを行うとき、多くの製品は不合格になります。最終段階で不合格になると、時間と費用の両方に大きな損失となります。適切な機器を用意し、いくつかの事前準拠テストを行うことで、このような事態をすべて回避できます。また、PCBの設計と電源を調べ、発生源で伝導の問題を完全に解決しておくのも良い考えです。

事前準拠テストの利点

大学の頃の話に戻りますが、試験で教科書を参照しても良いクラスがいくつかありました。多くの学生は、教科書を参照できるならテストは簡単に解けると思い、事前に勉強しませんでした。それは大きな間違いで、多くの学生が落第しました。多くの人々は、EMCの伝導放出の部分は放射放出に比べて単純だと想定しますが、その考え違いから同じように多くの失敗が引き起こされます。

伝導放出の最終テストで不合格になった場合、作業をやり直す必要があり、何千ドルも無駄に費やすことになります。大学の試験に落第することはまずいことですが、このようなテストでのしくじりは、クラス全員が落第するようなものです。事前準拠用の機器は高価ですが、認定テストのやり直しほど高価なものではありません。EMC評価に失敗すると、製品の市場投入も遅延する恐れがあります。大きな修正が必要になった場合、プロジェクトが大幅に遅延することが考えられます。開発の初期段階、問題を比較的簡単に修正できるうちに洗い出すのが賢明です。

 

 

複数選択肢のテスト
大学のテストは実際の設計ほど難しくはありません。

 

 

事前準拠用の機器

伝導放出のテストに必要な機器は、放射放出のテストとほぼ同じです。このようなキットは一般に数千ドルの価格です。

 

  • スペクトラムアナライザー(必須) - スペクトラムアナライザーは事前準拠テストの基幹です。この機械を使用して、基板から発生するあらゆるEMIを解析できます。これはおそらく最も高価な機器で、価格は1,000ドル以上です。

  • ソフトウェア(必須) - 本の読み方を知らなければ、テストで教科書を参照することが許可されても意味がないのと同様に、スペクトラムアナライザーはソフトウェアが無くては役に立ちません。一部のスペクトラムアナライザーにはソフトウェアが付属していますが、そうでない場合は、無料のプログラムと互換性のあるアナライザーを選択しましょう。

  • ラインインピーダンス安定化ネットワーク(LISN) - この装置は、伝導放出には必要ですが、放射放出には必要ありません。LISNは電源のノイズからデバイスを絶縁し、インピーダンスを一致させて、スペクトラムアナライザーが正確に動作できるようにします。正確なテストを希望する場合は、この装置が2つ必要なこともあります。

  • プリアンプ(オプション) - プリアンプはデバイスから発せられる信号を増幅し、読み取りやすくします。必須ではありませんが、場合によっては有用です。

 

 

PCBの画像
注意深い配線と接地により、伝導EMIを回避できます。

 

 

発生の可能性がある問題

必要なすべての機器を揃えた上で、製品のテストを行います。すべてが正常なら、事前準拠を行う必要はなかったと考えるかもしれませんが、それは問題ありません。その一方、もし問題があった場合は、多くの場合に原因は電源またはPCBにあります。クロストークやGNDループなどは回路のノイズを増幅し、そのノイズは電源を伝わって外へ伝導されます。

選択した電源が既に規格に準拠しているはずでも、現実は異なる可能性があります。その特定の電源が、不良バッチで製造された可能性があります。また、電源がDC電流でしかテストされておらず、回路から入り込むACノイズによって規格への準拠を満たせない可能性もあります。理由はともあれ、電源が準拠を満たせない場合、デバイス全体もおそらく準拠を満たせないでしょう。事前準拠テストにより、正しい電源を選択したか、それとも変更の必要があるかを、設計の最終決定前に判定できるようになります。

クロストークは、基板上の信号が、行くべきでない場所へ伝達されるときに発生します。クロストークの原因には、AC/DC信号の混合差動ペアの配線不良高速配線の不良など多くの原因が考えられます。一般に、干渉する信号は他の回路からできるだけ離して配置します。また、配線がアンテナのようにEMIを放射することを避けるため、配線は短くします。

GNDと電源のプレーンは、PCBの問題の原因となる可能性があります。一般にGNDプレーンと電源プレーンはEMIの減衰に役立ちますが、その中にGNDまたは電力ループが作成されると、問題が発生します。これを避けるには、GNDプレーンを注意深く設計する必要があります。

EMC認定テストは常に初回で合格するようにすべきです。評価の繰り返しは時間と費用の浪費であり、簡単に回避可能です。テストを自分で実行し、問題点を初期に洗い出すことが適切な方法です。さらに良い方法として、EMIを低減するようにPCBを設計すると、問題を防止できます。クロストークを低減し、GNDループを排除して、回路が初期テストに合格するようにします。

EMC PCB設計の理論は優れたものですが、実際の回路はまた別の問題です。CircuitStudioのような優れたPCB設計ソフトウェアを使用すると、このような原則すべてを実践できます。このソフトウェアには、作業を簡単に行えるようにする多くの高度なツールが含まれています。

伝導放出についてのご質問は、Altiumの専門家にお問い合わせください。

 
 
 
 
 
 

関連リソース

関連する技術文書

ホームに戻る
Thank you, you are now subscribed to updates.