素敵な瞬間が臭いによって台無しになった、そういう経験をお持ちでしょうか? かつて、少し前から気になっていた女性とデートをしました。全ては順調に運び、デートの最後に私は彼女を家まで送って行きました。彼女にキスしようとして身をかがめると……、口臭予防のミントキャンディを1粒渡され、おやすみのハグをされました。自分は良い雰囲気を出していると思っていても、実際には別のものが出ているということはよくあります。ワイヤレス回路にも同じことが言えます。設計とテストを行って、基板をEMCラボに送ったところ、基板からまるでニンニク臭のような電子的放射が出ていることが判明した、というような場合です。社内で事前準拠テストを実行すると、このような面目ない却下を避けることができます。機器に多少の費用がかかりますが、それによって何度もやり直さずに済みます。必要な機器が揃ったら、その使用法を学び、出力を読み取ります。幸い、スペクトラムデータは女性より理解しやすいものです。
事前準拠テストの利点
外出するとき、デオドラント剤を使い忘れることがあります。そして、日中の臭いチェックでそのミスに気付き、家に戻ってデオドラント剤をつける羽目になります。今では、家を出る前に臭いチェックをしています。事前準拠はこの朝の臭いチェックのようなもので、ふりだしに戻ることを防いでくれます。製品を市場へ送り出す過程において、これによって多くの時間とコストを節約できます。
製造サイクルの終わりが近づくと、物事が混乱をきわめていく傾向があります。ここでEMI準拠に失敗し、大きな修正が必要になる事態は最も避けたいことです。それだけでなく、テストラボは問題がどこにあるのかについて十分に示唆してくれないことがあり、この場合はさらに別のサイクルで問題の場所を推定し、チェックする必要があります。もし自分用の機器があれば、設計段階で社内で事前準拠チェックを行うことができます。これによって、最終検査が1回で合格する可能性を大幅に高めることができます。
基板に対して準拠テストを繰り返し行うのは、時間とコストを必要とします。最終評価には、1回で5,000ドル以上が必要になることもあります。また、問題は設計フェーズの間に修正する方が、後からの修正よりもはるかにコストが低くなります。基板が最終化した後で解決策を探すよりも、PCBを変更して問題を修正する方が安価に解決できます。事前準拠用の機器はそれなりに高価ですが、EMCチェックを2回も3回も行うよりは、はるかに安価です。複数の製品の開発を計画しているなら、社内で事前準拠を行えるようにするための投資は十分に引き合うものです。
このデバイスではとてもFCCを突破できないだろう。
必要な機器
口臭を解決する方法は色々とありますが、放射電解強度のテストを行う方法はそれほど多くありません。絶対に必要な機器がいくつかあり、予算が潤沢なら揃えておいた方がいい機器もいくつかあります。ツールには最低3,000ドルの投資を予測してください。
テストの場所(必須) - まず必要なのは、テストを行うための場所です。専門家は高価な無響室で評価を実行します。専門家でなければ、市街地を離れた屋外、会議室、地下室などでも大丈夫です。このような場所は、実験と干渉する恐れのある外部からの信号を低減するため役立ちます。
アンテナ(必須) - 適正なアンテナなしで放射EMIテストを実行するのは、愛犬からのおやすみのキスのようなものです。ものの数には入りません。どのアンテナを使用するかは、動作周波数に依存します。動作周波数の3次高調波までの周波数を測定する必要があるので、それに応じてアンテナを選択します。
スペクトラムアナライザー(必須) - アンテナから受信した信号を分析する機械です。かなり高価な機械で、Tektronix RSA306Bの価格は約4,000ドルです。しかし、この機械は事前準拠の主要コンポーネントの1つなので、多少高価であっても十分に投資する価値があります。
ソフトウェア(必須) - スペクトラムアナライザーの出力データを解釈するには、コンピュータープログラムが必要です。ソフトウェアが付属するか、または無料のソフトウェアと互換性のあるスペクトラムアナライザーを購入することをお勧めします。
プリアンプ(オプション) - 臭いを気にし過ぎるあまり、医療用の強力な消臭剤を買う人たちもいます。このようなものは、必要でなければ買わなくてよいのです。プリアンプはアンテナからの信号を増幅し、テスト機器からのEMIを検出しやすくします。この機器は、信号強度が非常に低く、どうしても必要になる場合のみ購入します。
半無響室(オプション) - 小さな半無響室のような他の設備も購入できます。このような設備が必要な場合、相当の予算が必要です。事前準拠テストをラボに外注したり、機材をレンタルしたりすることもできます。
地下室から出て放射電解強度のテストを手伝うよう、息子さんに告げましょう。
テスト
その運命の夜以後、私はリステリンのストリップを持ち歩くようになりました。残念ながら、今のところそれをテストする機会に恵まれていません。デオドラント剤をアップグレードした方がいいのかもしれません。幸い、事前準拠テストは1人で十分です。機材が揃ったら、テストを行いましょう。
実際のテストと読み取り値の全てについて詳しく説明したいところですが、それはこの記事の範囲外です。幸い、私よりも適任のいくつかの企業が情報を提供しています。EMCテストについて詳しく知るには、EMCfastpassのEMCビギナーズガイド、Tektronixの事前準拠ガイドなどを参照してください。
事前準拠テストなど簡単だと思うかもしれませんが、FCCの認定はそれはそれは厳しいものです。どのような放射放出が発生しているかを最終テストの前にチェックしておくと、認定が却下されて余分な経費がかかることを防止できます。放射電解強度を評価するには、いくつかの特殊な機器が必要です。そのような機器を正しく使用すれば、やがて経費節減により設備のコストを回収できます。それから、これらの規制機関のお許しを得ようとするなら、EMCテストの作法について多少調べておく必要があります。
歯を磨くのは口臭予防に役立ちますが、初めから臭いの強い食品を口にしない方が簡単です。最初からEMI設計ガイドラインに従えば、事前準拠テストよりも役立つことがあります。専用GND、高速配線、AC/DCの分離、差動ペアの配線、ブラインドビアとベリードビア、マイクロビアなどは全て、EMIを芽のうちに摘み取る役割を果たします。CircuitStudioなどの優れた設計ソフトウェアも助けになります。このソフトウェアには、完璧な基板の構築を支援する広範な機能が搭載されています。
EMI設計についてのさらに詳しいご質問は、Altiumのエキスパートまでお問い合わせください。