Altium Designerには、マルチチャンネル設計(単一の設計内で回路を繰り返すこと)を行うための多くの手法が用意されています。マルチチャンネル設計の主な利点は、基礎となる回路への設計は1回しか行う必要がないことです。そして、変更内容は全てのインスタンスにただちに適用されます。
しかし、階層設計を使用した経験がない多くのユーザーは、フラット設計手法の方が使いやすいと感じています。または、一部のプロジェクトはごく簡単なため、設計全体を階層に設定する必要がないこともあります。確かに、プロジェクトをフラットに設定する合理的な理由はたくさんあります。しかし、回路の繰り返しは必要であり、そのような回路のレイアウトはやはり複製する必要があります。そのような場合、どうすればいいでしょうか?
複数のシートによるフラット設計のユースケースでは、プロセスのほとんどがAltium Designerによって自動化されます。実際、このプロセス中にPCBドキュメントでユーザーが手作業で介入する必要はほとんどありません。どのように設計が行われるかについて、例で説明します。次の例では、チャンネル1の回路を1回複製する必要があります。
まず、PCBプロジェクトの最初の回路図シートに初期回路を作成します(ここでは「Channel_1.SchDoc」という名前にします)。次に、2番目の空白の回路図シート(「Channel_2.SchDoc」)をプロジェクトに追加します。
ここで、Channel_1回路をコピーし、Channel_2に貼り付ける必要があります。基本回路に参照デジグネータが既に設定されている場合、[DXP] メニューの [Preferences] を選択します。[Schematic] グループを展開し、[Graphical Editing] セクションを選択します。[Options] 領域で [Reset Parts Designators on Paste] オプションを有効にします。
次に、基本回路をグループ選択してコピーし、Channel_2に貼り付けてから、2番目の回路に必要な編集を加え、設計の他の部分と正しく接続されていることを確認します。この場合、「Pulse1」と「Peak1」のポートは「Channel 1」テキスト識別子とともに固有に設定されています。
次に、設計に必要な別のシートを追加します。ただし、繰り返しの回路図シートにはそれ以上の追加や変更を加えないことが重要です。これを行ってしまうと、[Copy Room Formats] 機能に後で問題が発生する恐れがあります。このプロジェクトの場合、設計にコネクタを含めるため3番目のシート(「Connector.SchDoc」)を追加します。
Channel_2の参照デジグネータは全て?にリセットされているので、[Tools] » [Annotate Schematics Quietly] を実行してデジグネータを設定できます。
マルチパートコンポーネントには、もう1つ重要な注意点があります。この例では、オペアンプ(TL074ACD)のパートA、B、Cのみが使われており、パートDは使われていません。デジグネータにアノテーションを付加するとき、ある回路の未使用部品が別の回路で使われていないことを確認してください。それぞれの物理回路の間に整合性があり、配線が一致することが必要です。ここで、U1A、U1B、U1Cはチャンネル1で使われていますが、U1Dはチャンネル2に使われていません。その代わりに、チャンネル2はU2Aから始まっています。
ステップ2 - プロジェクトオプションの設定
次の手順として、コンポーネントクラスとルームを自動的に生成するよう [Project Options] を設定します。このためには、[Project] » [Project Options] を選択し、[Class Generation] タブに切り替えます。
[Project Options] でコンポーネントクラスとルームを自動的に生成
全てのマルチチャンネルシートについて、[Component Classes] と [Generate Rooms] のチェックボックスがオンになっていることを確認してください。他のシートは全てオプションです。最後に [Project Options] ダイアログを閉じ、全ての回路図ドキュメントとプロジェクトファイルを保存します。
最後の手順として、新しいPCBファイルを作成して保存してから、[Design] » [Import Changes...] を使用して基板を実装します。コンポーネントクラスとルームの作成がECOに含まれていることを確認してください。含まれていない場合は、以前に行った [Project Options] の設定を見直します。
これで、以下のようなルームがPCBに配置されます。
その後で、Channel_1ルームを基板の領域に移動し、希望するように配置して配線します。必要に応じて、ルームの外形のサイズを変更します。
マルチチャンネルを使用する2番目の事例では、はるかに小さな回路を同じシート内で何回もコピーして貼り付けます。この場合、前の例で行ったように回路ごとに別のシートを作成する方法はあまり効率的ではありません。しかし、既に述べたようにこの方法では [Copy Room Format] が正しく動作するよう、いくつかの手作業の手順が必要です。
このマルチチャンネルの事例をどのように実現するかについては、無料のホワイトペーパーをダウンロードしてご覧ください。
Altium Limited(ASX: ALU)は、カリフォルニア州サンディエゴに本社を置く多国籍ソフトウェア企業で、3D PCB設計および組み込みシステムの開発用の電子設計システムに特化しています。アルティウム製品は、最先端の電子機器設計チームから、草の根の電子機器設計コミュニティまで、あらゆる場所で使用されています。
アルティウムは、独自の技術を駆使して、組織や設計コミュニティが、時間と予算を厳守しながら、イノベーション、コラボレーション、そしてコネクテッド・プロダクトの作成を支援します。Altium Designer®、Altium Nexus®、CircuitStudio®、PCBWorks®、CircuitMaker®、Ciiva™、Octopart®、TASKING®の範囲の組み込みソフトウェアコンパイラが用意されています。
アルティウムは1985年に設立され、全世界に拠点を置いています(米国: サンディエゴ、ボストン、欧州: ミュンヘン、カールスルーエ、アメルスフォールト、キエフ、アジア太平洋: 上海、東京、シドニー)。
Altium Designerについて:
Altium Designerは、電子機器設計用の各種のプロセスを単一の結合された設計環境に統合したもので、回路設計、ライブラリ管理、ネイティブの3D PCBレイアウト、シミュレーション、高速配線、その他多くの機能により、導入したその日から生産性向上を達成できます。Altium Designerは単一価格の1つのソリューションに、最先端で使いやすく、パフォーマンスが強化されたPCB設計ツールが含まれており、高パフォーマンスを簡単に実現できます。