大学時代、私たち電気エンジニア(EE)は機構エンジニア(ME)を常に見下していました。私たちの学科には、「たくましい男のためのショック」と私たちが呼ぶ、ME向けの電気工学の入門クラスがありました(機械の連中が私たちにとって「たくましい男」であったのは少し残念ですが)。電気工学と機械工学のライバル関係は卒業後もしばしば継続し、組み込みシステムの領域でも展開されています。組み込みシステム市場は、年々、より大きく複雑なものに成長し続けています。今こそ私たち電気エンジニアは謙虚になり、機構エンジニアと協力して設計プロセスを強化するときです。また、現在と将来の設計のために、私たち電気エンジニアは機構エンジニアの3Dモデリング手法を学ぶ必要があります。
組み込みシステム: 成長しつつある市場
組み込みシステム分野は最初に考案されて以来、成長を続けています。この成長は、モノのインターネット(IoT)の出現と先進運転支援システム(ADAS)を備えた車の増加で今も加速されつつあります。
組み込みシステム市場は、2014年に約1310億ドルに達し、2020年には2140億ドルまで成長することが期待されています。複合年間成長率(CAGR)は6.3%とまずまずです。この上げ潮を利用するならIoTは参入するのにすばらしい産業です。IoTデバイスは、至るところに存在するようになり、組み込みシステムのための巨大市場を代表しています(靴下のような馬鹿げたIoTデバイスのPCBだけは設計しないようにする必要があります)。
自動車産業は組み込みシステム成長のもう1つの要因です。先進運転支援システム(ADAS)は多くの自動車に組み込まれつつあり、米国と欧州では2020年までに必須になります。残念なことに、車載向けにPCBを設計する場合、車を設計するような下品な機械エンジニアに迎合する必要があります。車載アプリケーションには小さいフレキシブル基板が必須なため、この市場に参入しようとする前に電気エンジニアの高度な設計手法を磨き直す必要があります。
PCBが角氷に組み込まれるのかどうかは、事前に知っておく必要があります。
機構アプリケーションのための電気設計
機構エンジニアと電気エンジニアの関係とは異なり、IoTとADASは組み込みシステムにおいて共通の領域を見出しています。どちらのアプリケーション向けにも、PCBは機構的制約を考慮して設計する必要があります。つまり、電気エンジニアがより大きな人間になり、何らかの機構的技法を使って設計プロセスを強化する必要があるということです。プロセスの強化は以下の2点のように見えます。より少数のエンジニアとより緊密に連携すること、および設計ツールを占有することです。
現在、機構エンジニアとの意思疎通は、設計変更指示(ECO)の電子メールに返答して、怒ったり怒られたりに終始しているかもしれません。争いは人生の一部とはいえ、そろそろ言い争いはほどほどにする時です。組み込みシステムを平和の架け橋にしましょう。機構エンジニアは力学、熱力学、流体力学などについて多少は知っています。見たところ、機構エンジニアが学ぶものは全て力学のようです。幸い、機構エンジニアが、基板に加わる力、温度差、液体侵入に関する情報を電気エンジニアに与えるのにすばらしい人格を必要とするわけではありません。組み込みシステムの基板がこれらの問題を抱えているのは確かです。IoTは、持ち運ばれ、落とされ、幅広い温度にさらされる小さなデバイスに基板を詰め込んでいます。自動車は、でこぼこ道、エンジンの熱、その他の不安要素で、もっと不利な環境です。設計プロセスの最初にMEと協力することは、後々のECOの数を減らし、機構環境に適した基板を設計できることを意味します。
私は、電気エンジニアは多くの新しいことを学ぶべきであると言ってきましたが、そのリストに3Dモデリングを追加する必要があります。基板がどのような機構的要因にさらされるかを知るだけでは不十分です。全ての外部要因に対して理想的な基板を設計したとしても、「筐体に収まるかどうか」については確信を持てないでしょう。小さな奇妙な形の筐体を設計したMEを結局はののしるだけのような設計を電気エンジニアは何度片付けたことでしょう。電子部品がぎっしり詰まったIoTフォークや車などでは、空間が重要です。高額な費用のかかるプロトタイプを作成する前に、実際に基板が収まるかどうかを自分の手で確認すべきです。新しい最先端PCB設計ソフトウェアは、電気エンジニアのために3Dモデルを自動的に作成します。このソフトウェアを使うと、MEが作成した筐体のCADファイルをインポートして手元の画面上でPCBが収まるかどうかを確認できます。
最新の3Dレンダリングはすばらしいです。しかし、それは最初の一歩にすぎません。ますます複雑になっていく筐体はさらに高度な3D機能を必要としています。平面のPCBを箱に入れてはみ出さないかを確認するだけでは不十分になるでしょう。これが、電気エンジニアが初心者用の3D CADプログラムを手にして、その使い方を練習することをお勧めする理由です。リジッドフレキシブル基板は筐体内に折り畳む必要があるかもしれません。折り紙のことは忘れて、コンピューター時代に移行する時です。3Dモデリングプログラムの使い方を知っていれば、3D PCBをアニメーションで動かして基板の取付方法を製造業者に直接示すことができます。3Dモデリングの知識は、表面実装技術(SMT)向けに各種のレイアウトを試す場合にも役立ちます。ヒートシンクを様々な場所に動かして基板がどのように収まるかを確認したくありませんか。電気エンジニアは、自分でそれらをモデル化しどの構成が一番うまくいくかを確認することもできます。このような手法は自動生成モデルよりは技能を必要とします。電気エンジニアが3Dモデルの使い方を学ばなければ、電気エンジニアのためにそれを行うMEを一人雇うことが必要になります。ここは我慢して今後確実に必要になる技能を習得すべき時です。
残念ながら私たちが関わる唯一のモデルは、彼女が手にしているデバイスの方です。
3Dの将来のための3Dモデリング
3次元印刷は、かつて私たちが家庭用プリンターと雑誌で自家製のデザインを形にして以来、大きな進歩を遂げました。世の中には、検証可能なプロトタイプを3次元印刷できるプリンターが既に存在します。次の必然的一歩は完全なデザインの印刷です。現在はそこまで至っておらず、多分数年はそうならないでしょう。しかし、その日が来たら2D設計に別れを告げるかもしれません。将来の3D設計機能を最大限に活用するには、PCB設計者は3Dモデリングを習得することが必要になるでしょう。電気エンジニアが今それに着手しないなら、3D設計スキルを持っているというだけの理由で機構エンジニアが将来PCB設計に進出するかもしれません。そのような悪夢を防止するために3Dモデリングの習得を今すぐ始めましょう。
将来、組み込みシステムと3D設計のどちらに携わるとしても、PCB設計に機構的な考慮事項を取り入れることを本気で始めるべきです。つまり、MEともっと緊密に連携することで、加えられる全ての力にPCBが耐えられることが確信できるようになることです。電気エンジニアが一歩を踏み出し3Dモデリングプログラムも学ぶことをお勧めします。そうすれば、そのとんでもなく小さな筐体にPCBが収まることを自分で確認できます。完全な3D設計も、それが利用可能になった場合、活用できるようになります。今こそ機械の世界の人々と友人、もしくは少なくとも知り合いになるべきです。
機械の世界に入るには、電気エンジニアを案内する適切なソフトウェアが必要です。AltiumのCircuitStudioは、この組み込みシステム設計の全てのことに積極的に参加しようとしている設計者に最適です。豊富な最先端の機能を備えた、CircuitStudioを使うと画期的なPCBが設計できます。
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