プロの設計者は、自分たちが電子製品の開発プロセスで重要な役割を担っていることを知っています。回路基板なしでは、すべての半導体が無意味になり、私たちが享受する最新の体験を提供できなくなります。PCB設計者は製品開発プロセスで非常に重要な役割を担いますが、製品開発ツールに関してはいまだに不利な立場に置かれています。PCB設計ソフトウェアは物理的なレイアウトの構築には優れていますが、その機能が製品開発全体に拡張されるのはまだまだ時間を要します。
では、業界は製品開発でより重要な役割を果たすPCB設計者をどのようにサポートできるのでしょうか?Altiumでは、システムレベルに注目し、製品開発プロセス全体で設計者がより一層関与するためのツールを作成する方向へと徐々に移行しています。よく言われているように、段階的に進むエンジニアリングの時代は終わり、現在最も成功している製品は、共同プロセスで構築されています。
製品設計のアイデアそのものが明白でなければなりません。システム全体を総合的に検討することが重要であり、システム内の主要コンポーネント間の関係を設計することで目標が達成されます。たとえば、筐体やHMI要素によってPCBへの配置やEEの部品選定が進み、基板やコネクタの数によってハーネスの必要性が生じ、シミュレーションの結果によってアセンブリの配置や材料の選定が影響を受けるといったように、システムで考えられる設計上の関係は非常にたくさんあります。
PCBとそのコンポーネントは、望ましいユーザー体験を作り上げるために重要ですが、ユーザーが実際に取り扱うのは筐体です。そのため当然のことながら、筐体はユーザー体験がアクセシブルな、心地よい美学を備えている必要があります。また、すべてのコンポーネントとサブシステムを1つのパッケージに収容する必要がありますが、このシンプルな要件がPCBレイアウトに深刻な制約を課すことになります。
単一の基板またはコンポーネントに依存する製品は少なくなり、多くの製品はライフサイクル全体で静的な状態を維持しなくなります。多くの製品は、複数のコンポーネントやサブシステムに依存しており、その中には電気的、機械的に相互接続しなければならない複数のPCBが含まれます。MCADアプリケーションでは、機械設計者がECADの共同作業者と協働するための2つのアプローチがあります。
古い方法: 各基板をSTEPモデルとしてエクスポートし、これらをMCADユーザーに共有/メールし、MCADアプリケーションにインポートして機械バックチェックを行います。
新しい方法: ECAD/MCADコラボレーションが統合され、MCADユーザーはファイルをエクスポートすることなく、単一のシステムとしてすべての基板にアクセスできます。
多くの企業は、製品の機械設計を可視化するために電気設計者と機械設計者が今でもファイルをエクスポートし合っています。Altium 365は、MCADユーザーとECAD ユーザーが安全なオンラインプラットフォームを通じて直接協働できるように、クラウドを使ってMCAD CoDesigner拡張機能をプロビジョニングすることで、この問題に対処しました。
新しいアプローチとは、基板間に論理定義を適用し、PCB CADツールで機械的制約を視覚化することです。機械設計ソフトウェアと電気設計ソフトウェアが統合されたECAD/MCADコラボレーションは、機械的なコラボレーションの側面を処理します。複数の基板間の論理定義は、回路図とPCBレイアウトの両方でケーブルとハーネスの設計を必要とするまったく新しいものです。
アセンブリに複数の基板がある場合は、電気的、機械的に相互に接続する必要があります。ワイヤハーネスとケーブルは、アセンブリ内の複数の基板を接続するために使われるる標準コンポーネントです。配線は機械的にシミュレートして3Dで視覚化できますが、その接続が回路図で論理的に定義されることはめったにありません。つまり、ケーブル全体でネット接続性の確認が行われず、電気設計者は、外部モデリングアプリケーションがなくては、製品の完全評価に必要な多くの電気シミュレーションや検証ツールを利用することができません。
論理定義が回路図に組み込まれるようになった現在、ユーザーは、回路図エディターの論理定義に基づいてPCBレイアウトのネット接続を検証できます。複数の回路とコンポーネントを備えた高度な製品の場合、論理定義によって、ECADツール内のルールベースの設計に新たな次元がもたらされます。ハーネスの論理定義は、PCBレイアウトにおけるハーネスの機械的要素としての役割を変えるものではなく、アセンブリ全体が、機械設計の一部としてMCADアプリケーションに使用できます。
大量に生産・販売される電子機器は、排出ガス試験に合格し、認証を受けることで適合とみなされます。多くのデジタルサブシステムを搭載した高度な電子製品では、電力とEMIの関係が特に問題となります。電力供給が不安定になると、放射妨害波と伝導電磁妨害が発生するため、設計プロセスの早い段階でこれを特定する必要があります。
PCB設計者は、モデル作成プロセス、反復、最適化を合理化できるPCB設計ソフトウェア内のシミュレーションツールにアクセスする必要があります。従来、シミュレーションは、MCADユーザーとの共同作業と同じように、非効率的な問題を抱えていました。モデルのエクスポートが必要であり、さらに計算電磁気学の博士号を持つ人が、シミュレーションの実行のために設計の数値モデルを作成する必要がありました。
電源の問題を診断するためのシミュレーション機能へのアクセスは、PCBレイアウト内で行う必要があります。PDN解析ツールが登場してしばらく経ちましたが、最新世代のツールでは、ユーザーがPCBエディターを離れる必要はありません。その代わり、製品設計プロセスでは、システムレベルの低速なシミュレーションに頼らず、より迅速な反復処理が求められます。
ユーザーの生産性を維持するため、EDAツールでは、PCBエディターへのこうした直接的な統合をさらに強化する必要があります。Altium Designerの新しいPower Analyzerツールにはまさにこのような機能が搭載されており、製品開発チームが評価と最適化のワークフローを合理化できるように支援します。
製品開発を成功させるには、コミュニケーションを効率化するコラボレーションツールが全員に必要です。ここでは、製品開発チームが必要とする機能の一部をご紹介します。
PCB設計ドキュメント全体で使用できるコメント機能なら、製品開発プロセスから製造段階までの全体的な共同作業が実現します。
先端技術を構築する設計者は、最新バージョンのAltium Designer®で業界最高の電子製品開発機能を活用することができます。チームメンバーはAltium 365™プラットフォームを使用して、コラボレーション、設計データの共有、合理的な設計プロセスの作成を行えます。Altium Designerの最新機能リリースを是非ご覧ください。
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