ツール中心から設計中心のカリキュラムの推進

Judy Warner
|  投稿日 July 9, 2018  |  更新日 November 9, 2020

Judy Warner: PCBの設計に携わってどれくらいになりますか?またこの仕事をすることになったきっかけも教えてください。

 

Bill Brooks: 基板の設計は1970年から行っています。電子工学を学び始めたきっかけは父でした。父は、Hughes Aircraft CompanyのR&D、UCSD、その後はAerospace Incorporatedで航空宇宙の専門家として働いていました。父は、カリフォルニア州ビスタの家のガレージでプリント回路の店を開くことを決めました。1969年、父は私や私の兄弟に、プリント回路の製造に関する全てのプロセスについて教えてくれました。父は、Texas Instrumentsのノートから私が選び出した、トランジスタベースの10ワットのソリッドステートオーディオアンプの回路図を使って、プリント回路のレイアウトについて説明してくれました。私は、色鉛筆を使って上質皮紙にその回路を書き写し、Bishop GraphicsのダイカットテープとIC用の7milのマイラーのパターンを使ってライトテーブルでアートワークを作成しました。そして、作業用のマスター写真を作成するために、写真製版用カメラで正投影フィルムを使ってアートワークを2:1スケールに縮小しました。銅張積層板をクリーニングして、フォトレジストでコーティングした後、位置合わせをしてピンの穴がパンチされたフィルムを使って、UVライトを当てました。そして、真空密着したフレーム内の画像を現像してエッチングできるようにしました。エッチングの後、穴を開けて半田でコーティングし、基板をトリミングしてサイズを調整しました。それから、部品をかき集めて基板を組み立て、完成品をチェックして電源を入れてテストしてみると、見事に動作しました!

 

サマースクールでは電子工学の講座を受講し、スーパーヘテロダイン方式の真空管ラジオと400ワットのDC電源装置の作り方を学びました。また、その講座では、父の店で行っている処理よりも旧式な方法でしたが、プリント回路を作るためのエッチング液として塩化第二鉄を使いました。私は、その年の科学展示会向けに電子メトロノームを作りました。

 

最終的には、父は店を閉め、私は他の会社で製図の仕事を始めました。しばらくの間、回路図、製造図、プリント回路のアートワークが私の収入源となりました。そこから私は技術者になり、最終的にはレイアウトを行うようになりました。また、派遣社員としていくつかの会社で機械設計や電子回路のパッケージングもしました。その間、Teledyne、SAIC、Hughes Aircraftなど、誰もが知っている会社も含め、多くの会社で仕事をしました。

 

2000年頃からは、IPC Designers Councilにも関わっています。カリフォルニア州サンマルコスのPalomar大学で、10年ほどPCB設計の授業を担当したこともありますし、PCB Design Magazineの記事を書いたこともあります。

 

Warner: 長い間レイアウトに携わって、若い設計者の最大の課題は何だとお考えですか?

 

Brooks: 新人設計者が直面する課題はたくさんあります。最大の課題の1つは、信頼性があってコスト効率がよく、実装やテストが簡単で機能的な基板、製品出荷のために必要な各機関の承認を全て得た、あるいは顧客、消費者、業務用、工業用、軍事用、医療用の要件を満たした基板を設計する方法を彼らに教えるために役立つ資源を見つけることです。

 

Warner: 最近は、どれくらい複雑な基板を設計なさっているのですか?またEDA技術は今後どこに向かっていく(あるいは向かうべき)とお考えですか?

 

Brooks: 今日私が設計する基板は、場合によってはかなり複雑になります。フレキシブル回路もあるしリジッド回路もあります。高振動、EMI/EMC要件、環境テスト、HALT/HASTなど、環境や信頼性に関する要件はかなり極端です。EMIテストは、実装された全ての基板で行われます。顧客は、装置が長持ちすることを期待します。機械が10年間稼働するのは珍しいことではありません。アナログ回路とデジタル回路の混合、特殊なマシンインターフェース、機械運転のロボット制御、コンベヤーで行う機械処理、電力効率、電磁放射や電磁妨害の低減などがあります。光ファイバー通信など、対応すべき複数の通信プロトコルもあります。典型的なものとしては、基板には差動ペアの要件があります。

 

EDAでは、RFとマイクロ波の設計のような難しい設計、高速デジタル通信、フレキシブル回路、機械インターフェース、マルチボードアセンブリ、許容差と負荷軽減、振動解析、EMI/EMC要件、安全機関や規制機関の問題などに取り組むために、優れたツールを統合する必要があります。設計に関して情報が十分に提供されて理にかなった決定が行われ、ユーザーのお金、時間、労力を節約してコストがらみのミスを回避できるようにするには、専門的なシステムによって設計者をガイドする必要があります。 

 

Warner: 経験の少ない設計者に3つだけ実践的なアドバイスをするとしたら、何をアドバイスしますか?

 

Brooks:

  1. IPC CIDのコースを受講して、できるだけ多くのことを学び、認定を受けてください。電子工学、製造、機械設計、製図の規格に関する知識は重要です。
  2. 設計の特定の側面についてさらに磨きをかけるため、PCB Westやその他のトレーニングの場に参加させてくれるよう会社に頼みましょう。安全性、信頼性、テスト容易性、製造可能性、EMI/EMC、適切なシールディング、バイパスコンデンサーとその使用方法などについて習得してください。
  3. 使用しているCADツールをサポートしている地元のユーザーグループ組織に参加しましょう。

 

Warner: Billさんは、長年にわたって設計者の教育に力を入れていらっしゃいますね。Palomar大学でのPCB設計の講義について教えてください。また今はその講義はどうなっているのでしょうか?

 

Brooks: この講義を引き受けたとき、プラットフォームとしてPADS PCBが使用されていました。何人かの担当講師とともに、何年もそのプラットフォームが採用されていました。私は、講義のカリキュラムを「ツール中心」から「設計中心」に変えようとしました。学生たちに、ツールを使いこなせるようになるだけでなく、設計についてもっと学んでほしいと思いました。管理担当は、PADSからのアップグレードとして新しいExpeditionソフトを使って基板設計を教えるようMentor Graphicsから求められました。ですが、ツールのインターフェースが独特なため、多くの問題が発生し、学習ツールとしては信頼性がかなり低下しました。また、構造化された入力が求められるため、初心者が、短時間でツールを習得して実際に設計原理を学び始めることができなくなりました。私は、その授業で使うツールを、操作もインターフェースも簡単なAltium Designerに変更することを勧めました。賛同が得られてツールが変更されると、授業ははるかに進めやすくなり、それまでツールを使いこなすために全ての時間を費やしていたのに対し、ツールトレーニングよりも設計のトレーニングに集中できるようになりました。資金調達と出席者数の問題および事務上の偏った判断により、悩むようになりました。私が辞めた後は、代わりの講師が呼ばれました。講義を続けるため、大学は今も講師を探していると思います。さまざまな立場の学生がいて、例外的な学生もいましたが、たいていの学生たちにとっては難しい課題でした。しかし、最終的にはかなりの数の学生に基板レイアウトの練習をさせました。

 

Warner: ある人はPCB設計を芸術になぞらえました。基板を彫る優れた芸術家として、この見方に賛成ですか、反対ですか?その理由も教えてください。

 

Brooks: PCBの設計には、私にとっては芸術的な面があるように思えます。芸術家は、対称の美しさ、無駄のない空間、パターン、パターンを通る経路などを感じ取ります。設計者も同じです。私が知っているほぼ全ての設計者は、絵画、スケッチ、彫刻、写真、音楽など、芸術に興味を持っています。PCB設計は、左脳を使った技術的な挑戦であるばかりでなく、感覚的、美学的でもあり、使い勝手や機能だけでなく人間工学の側面もあります。優れた設計者は、優れた視覚化のスキルが必要です。3Dでコンポーネントを表示できる強みは、2006年以前にはありませんでした。Altium Designerがその機能を追加したとき、設計方法が革命的に変わりました。基板設計とそれらが設置される環境の機械的な関係を確認できるメリットがとてつもなく大きいことを目の当たりにして、他の全てのCAD会社がそれに追随しました。設計ツールは、私がテープを貼り付けていた時代からずいぶんと進歩しました。

 

Warner: 確かにそうですね!PCB設計、設計の教育、業界への貢献についての豊富なご経験についてお話しくださり、本当にありがとうございました。

 

Brooks: こちらこそありがとうございました。これまで、本当に楽しくこの仕事をやってこれました!

 

 

筆者について

筆者について

Judy Warnerは、25年以上にわたりエレクトロニクス業界で彼女ならではの多様な役割を担ってきました。Mil/Aeroアプリケーションを中心に、PCB製造、RF、およびマイクロ波PCBおよび受託製造に携わった経験を持っています。 また、『Microwave Journal』、『PCB007 Magazine』、『PCB Design007』、『PCD&F』、『IEEE Microwave Magazine』などの業界出版物のライター、ブロガー、ジャーナリストとしても活動しており、PCEA (プリント回路工学協会) の理事も務めています。2017年、コミュニティー エンゲージメント担当ディレクターとしてAltiumに入社。OnTrackポッドキャストの管理とOnTrackニュースレターの作成に加え、Altiumの年次ユーザー カンファレンス「AltiumLive」を立ち上げました。世界中のPCB設計技術者にリソース、サポート、支持者を届けるという目的を達成すべく熱心に取り組んでいます。

最新の記事

ホームに戻る