部品は毎日のように生産終了(EOL)を迎えており、その件数は増え続けています。Z2Dataの陳腐化追跡によると、2023年には約47万3,000点の電子部品がEOLに達しました。これはパンデミックのピークだった2022年の75万点からは減少していますが、それでも毎年、数十万件の現役部品番号が市場から姿を消していることを意味します。2024年の数字も同様の傾向を示しています。
そのペースは加速しています。1970年には、半導体の市場寿命は約30年と見込まれていました。ところが2014年には、その数字は10年にまで短縮されました。現在では、28nm未満の先端ノードの半導体は、発売から2~5年でEOL通知が出されることも珍しくありません。製品世代が新しくなるたびにサイクルはさらに速くなり、あらゆるBOMがその影響を引き継いでいます。
さらに悪いことに、2023年のEOL発生のうち30%は、製品変更通知(PCN)なしで発生しました。正式な通知もなく、計画を立てるための猶予期間もありません。ある日突然、その部品が入手できなくなるのです。こうした事例の中で増えているのが、ラストタイムバイ(LTB)の期間がまったく設けられない「即時陳腐化」に該当するケースです。半導体不足以降に陳腐化へ移行した部品のうち、およそ35%がこのパターンに当てはまりました。Datalynqによると、2018年以降、LTB日付を即日として記載するPCNが増加しています。
部品の陳腐化を起因とする再設計に1件あたり2万ドルから200万ドル(Z2Dataの試算)の費用がかかり、しかも毎年、何十万点もの部品が予告なしにEOLを迎えている以上、ほとんどのBOMは陳腐化リスクの増大にさらされています。それを事前に察知できるチームこそが、場当たり的な対応そのものを回避できるのです。
多くの人は、技術の進化こそが陳腐化を引き起こすと考えがちですが、データは別の実態を示しています。Z2Dataが2023年のEOL事象を分析したところ、その78%は市場需要の低さが要因でした。つまり、十分な販売が見込めない部品を継続生産するだけの理由がメーカーになかったということです。技術変化が要因だったのは15%、サプライチェーンの混乱は7%でした。
しかし、Z2Dataが約9,000人の専門職を対象に調査したところ、その認識は逆転していました。回答者は、技術変化を36%で第1位、サプライチェーン問題を26%、需要主導の陳腐化を21%で最下位に挙げています。
もし陳腐化リスクモデルを技術の世代交代中心に組み立てているなら、実際には問題の15%にしか対応できていないことになります。残る78%は、需要がメーカーの生産継続ラインを下回ったときに発生し、技術的にどれほど新しい部品であってもBOM上のあらゆる部品に起こり得ます。そしてそれが起きると、調達部門は部品確保に追われ、しばしば適切とは言えない入手先に頼ることになります。
部品がEOLを迎え、代替品のクロスリファレンスも再設計案も用意されていない場合、調達には3つの選択肢しかありません。
グレーマーケット部品とは、元のメーカーとのつながりを示す文書がないまま、非正規チャネルを通じて販売される真正部品のことです。部品自体は本物かもしれませんが、保管条件、取り扱い履歴、トレーサビリティの連鎖は不明です。ロット記録が欠落している場合もあり、メーカー保証も受けられません。
偽造業者はこの隙を突きます。グレーマーケットからの調達は、保管条件、取り扱い履歴、スクリーニング、流通経路の管理が不透明なことが多いため、信頼性リスクを持ち込みます。生産終了した部品は、余剰在庫、廃材ルート、電子廃棄物から回収され、再マーキングされたうえで新品在庫として再び市場に流入することもあります。その部品を元のメーカーに結び付ける文書がなければ、買い手が正当な余剰品と、ラベルだけ新しくした再生品とを見分ける手段は限られます。
単一供給元の部品が即時陳腐化に入ると、残された選択肢はスポット購入だけになることが多く、つまり在庫を持っているところならどこからでも調達せざるを得ません。半導体不足の最中には、一部の企業がAlibabaのようなプラットフォームから調達しており、偽造部品が実際に混入し得ることを認識していました。
不足以外の要因もあります。関税圧力によって、買い手が馴染みのないサプライヤーや代替調達ルートへ向かうことがあり、サプライヤー審査、文書、トレーサビリティが不十分な場合には、さらに別のリスク層が加わります。非正規サプライヤーは、関税の高い地域から迂回された値引き在庫を提示することで、こうした動きを利用できます。その部品が真正品なのか、流用品なのか、偽造品なのかは、検査や試験を行うまで買い手には分からないことが少なくありません。
ERAIの2024年年次報告書では、偽造または不適合の疑いがある部品が1,055件記録され、2023年比で25%増、2015年以降で最多となりました。米国政府向けの単一案件において、248個の偽造ファンアセンブリが含まれていたため、見出し上の件数はかなり押し上げられています。しかし、この外れ値を除いても報告件数は前年同期比で3%増加しており、2022年から続く着実な増加傾向は変わっていません。
旧式化・生産終了部品は全報告の42.75%を占めており、これは想定内です。より示唆的なのは、現行で容易に入手できる部品が報告の25%以上を占め、しかも長納期の現行部品より2倍以上の頻度で警告対象となっていたことです。偽造は機会主義的です。不足はその助けにはなりますが、必須条件ではありません。
偽造業者の対象ポートフォリオも拡大しています。
偽造部品が実際に使用されると、そのコストは膨らみます。2023年11月から2024年1月にかけて実施された調査 では、回答者の88%が、電子アセンブリに偽造部品が含まれていた場合の損失は5万ドルを超えると見積もっています。規制産業では、顧客通知、根本原因調査、当局への届出、是正措置によって、総負担はさらに増大する可能性があります。
エンジニアは、ライフサイクルリスクを可視化できないまま部品を選定してしまうことが少なくありません。そして数か月後、あるいは数年後になって、その部品がEOLを迎え、承認済みチャネルの在庫が空になった時点で、調達部門が問題に気付きます。その時点では、選択肢はLTB、再設計、またはグレーマーケットでのスポット購入に絞られています。
Octopart と BOM Tool では、部品選定を左右する仕様や価格データと並んで、ライフサイクル状況、正規在庫水準、マルチソースの選択肢を確認できます。エンジニアは、調達リスクに関して特に重要な次の問いに答えを得られます。
BOMが確定して選択肢が狭まる前、まだ別の選び方ができる段階で、調達リスクを可視化できます。設計段階で見つかったリスク部品は、調達部門に緊急案件として回ることもなく、買い手が在庫を求めて不透明なグレーマーケットをさまよう原因にもなりません。
PCN監視、ラストタイムバイの判断、調達管理、受入検査を含む段階的なフレームワークについては、A Practical Playbook for PCNs, Last-Time Buys, and Sourcing Controlsをご覧ください。