このシリーズの第1回、AIがメモリ市場をどう変えたかでは、AIデータセンター需要によってメモリがボトルネック化した経緯と、DRAMおよびNANDの価格が短期間では正常化しにくい理由を見てきました。今回は、この環境下でどう対応すべきかを掘り下げます。2026年にハードウェアを設計または調達するのであれば、依然として判断すべきことがあります。どの部品を採用仕様にするか、柔軟性を持たせるために設計をどう構成するか、そしてサプライチェーンリスクをどう管理するかです。
まず、今後の方向性を示す「次の波」のメモリ部品を取り上げ、その後で主力となるDRAMおよびフラッシュ部品を見ていきます。さらに、エンジニアリング部門と調達部門の双方に向けた実践的なプレイブックを提示します。
メモリ部品を幅広く調べる出発点としては、Octopartのmemory ICsおよびflash memoryのカテゴリーページが有用です。メーカー、パッケージ、供給状況を横断して検索できます。
オンデバイスAI、自動車、次世代モバイルおよびPCプラットフォーム向けに設計されたSamsungのLPDDR6は、LPDDR5Xに対して大きな効率向上、拡張されたI/Oアーキテクチャ、そして最大10.7Gbpsの初期速度を実現します。さらにLPDDR6規格自体も、エコシステムの成熟に伴って今後さらに拡張されるよう設計されています。現時点ではLPDDR6がディストリビュータの棚に並ぶことはまだありませんが、先進的なSoCやフラッグシップ機器を前提に設計するなら、これに直面することを想定しておくべきです。
スタックの最上位では、SK Hynixの16層・48GB HBM4デバイスが2TB/s超の帯域幅を約束しており、量産開始は2026年第3四半期ごろが目標とされています。Samsungは異なるアプローチを採っており、4nmロジックと1c DRAMを用いて熱性能の改善を図っています。AIハードウェアに携わるエンジニアでも、通常これらをカタログ系ディストリビュータから調達することはありません。しかしHBM4は誰にとっても重要です。というのも、先端DRAM生産能力の大きな割合を吸収しており、それが従来型DRAMの供給逼迫が続く理由の一つだからです。
400層超と5.6GT/sインターフェースを備えるSamsungの第10世代V-NANDは、データセンターおよびAIクラスのワークロード向けに、PCIe 5.0および将来のPCIe 6.0 SSDをターゲットとしています。このシリコンをベースにした高密度TLCは、今後数年にわたり多くのエンタープライズ向けおよびハイエンドクライアント向けドライブの基盤になると見込まれます。
この332層BiCS10は、Toggle DDR 6.0インターフェースによりピン当たり4.8Gb/sを実現し、AIおよびハイパースケールストレージをターゲットとしています。EE Timesによると、Kioxiaは2026年のNAND生産分がすでにすべてAI関連用途向けに売約済みであると述べており、需要に対応するためBiCS10の立ち上げ時期を2027年後半から2026年へ前倒ししました。
以下の部品は、2026年3月上旬時点で主要ディストリビュータから注文可能でした。供給状況は急速に変化しているため、BOMを確定する前にOctopartで在庫とライフサイクル状況を確認してください。
このような状況下でも、ハードウェアエンジニアが設計のレジリエンスを高めるために取れる行動は数多くあります。
この状況は見過ごせません。2026年2月下旬、Lenovoはチャネルパートナーに対し、3月の値上げを回避するため月末までに発注するよう警告しました。一方で、TrendForceは、PC向けDRAM(DDR4/DDR5)の平均価格が第1四半期だけで前四半期比105~110%上昇すると予測しました。以下のプレイブックは、この新しい現実を反映したものです。
このシリーズの第1回では、メモリ逼迫の背景にある理由を説明しました。そして今回は、「では今どうするか」を見てきました。エンジニアであっても調達担当であっても、答えは同じです。最良のヘッジは柔軟性です。代替を前提に設計し、広く認定を取り、Octopartのようなツールを使って選択肢を可視化し、常に最新状態に保ちましょう。この局面を最も良い形で乗り切るチームは、設計とサプライチェーンの両方に早い段階から選択肢を組み込み、供給と価格の変化に応じて適応し続けるチームです。
現在の不足は、技術的限界ではなくウェハ割当によって引き起こされています。メモリベンダーは、特にHBMやデータセンター向けDRAMといった高利益のAI需要を、複数年契約のもとで優先しています。HBMは従来型DRAMに比べてビット当たりではるかに多くのウェハ能力を消費するため、DDR5、LPDDR、NANDに回る能力が減り、供給逼迫が続いています。
LPDDR6やHBM4はプラットフォームの進む方向を示していますが、2026年の製品の大半は、現在入手可能なDDR5、LPDDR5X、成熟したNANDで出荷されます。エンジニアは将来互換性を意識して設計しつつも、まだ流通に乗っていない部品に賭けるのではなく、生産時に確実に調達できる部品を選定すべきです。
強靭な設計は、柔軟性と代替可能性を重視します。具体的には、主流インターフェースの標準採用、複数容量や複数ベンダーの認定、ファームウェア内での固定的なメモリ前提の排除、可能な限りのソケットやモジュールの活用などが含まれます。選別落ちメモリの選択肢にも対応しておけば、高容量部品が逼迫した場合調達部門は、メモリをコモディティではなく戦略的資源として扱うべきです。ベストプラクティスとしては、重要なSKUについて長期的な割当を確保すること、単一部品ではなく製品ファミリーを軸にAVLを構築すること、Octopartのようなツールでライフサイクルや代替部品を監視すること、そして長期ライフサイクル製品については強制的な再設計を避けるために在庫を選択的に保有することが挙げられます。