Staaker社のPCB設計者 Tor-Anders Lunder氏と自己追尾型ドローン

Judy Warner
|  投稿日 十二月 12, 2017  |  更新日 十一月 28, 2020

スノーモービルを追跡するStaakerのドローン

Judy Warner: Tor-Andersさん、PCB設計者になり、​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​Staakerの一員になられるまでのいきさつを少しお話いただけますか。

 

Tor-Anders Lunder: はい。トロンハイムにあるノルウェー科学技術大学(NTNU)で修士号を取った後、既にPCB設計に関するいくつかのプロジェクトに参加していたのですが、そのうち設計から実装までの工程全体に興味を抱き、この分野をもっと掘り下げて学びたいと思うようになりました。私は2000年から、RFICのスタートアップ企業であったChipconでアプリケーションエンジニアとしてのキャリアをスタートしました。Chipconは2006年にTexas Instrumentsに買収されています。Chipconで、私はリファレンスデザインを担当したのですが、ここでPCBプロセスや設計段階で避けなければならない落とし穴について多くのことを学びました。2007年にRadiocraftsに移り、無線モジュールの設計とそのリファレンスデザインを任されました。フォームファクターが小さいため、ここではPCB設計の新たな課題に取り組むことになりました。2016年に入って、私は自分の「パズル」に欠けている最後のピースを認識するようになりました。それがECADとMCADの統合です。私は最終製品の開発により深く携われる機会を求め、Staakerはまさに理想的な場所だったのです。

 

Warner: 先頃ドイツ、ミュンヘンで開催された​​​​​​​​「AltiumLive​ ​2017: 年次​​PCB​​設計​​サミット」​でプレゼンターを務められましたが、​​​​​その概要とプレゼンターを引き受けた動機についてお聞かせいただけますか。​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

 

Lunder: このプレゼンテーションでは、マルチボードシステムのPCB設計を実現するためにAltium Designerの3D機能を使用するメリットを中心にご紹介しました。あるStaakerのドローン設計を例として取り上げ、複雑な製品開発を3Dモデルが「最初から正確に」進めることを可能にする理由とその仕組みを解説しました。以前から私は、Altiumについて詳しく学ぶ非公式の場、それに加えてPCBの製造や実装に関わる業界とのつながりも求めていました。「AltiumLive 2017」の資料ではその全てが強調されていましたので、ぜひ参加したいと思ったのです。また、Altiumの使いやすい点をご紹介することで、全てのプレゼンターがこの素晴らしいイベントに招待を受けることは、スタートアップ企業の一員として互いにメリットがあると思えました。

StaakerオフィスのTor-Anders Lunder氏Staakerのドローン

Warner: Altiumのプログラムがプレゼンターにとっても有益であったとうかがい、とてもうれしく思います。お引き受けくださり、ありがとうございました。ドローン用の電子部品を設計するにあたって、何か固有の課題に直面することはありますか。きわめてスポーツ性の高い活動に親しむ人々を特に意識して設計されていると思うのですが。​ ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

 

Lunder: 最大の課題はドローン内部のサブシステム間のノイズをどのように低減するか、またあらゆる状況下でセンサーをどのように最適に動作させるかということです。それに加えて、FCC/CE準拠のためのEMCに関する検討事項の解消があり、これはやっかいで時間もかかります(Staakerのドローンの動画を見る)。

 

Warner: PCB設計で一番好きなところ、苦手なところを教えてください。

​​​​​​​​​​​​​​​​​​

Lunder: PCB設計で好きな部分は配置、配線の技術です。あらゆるエレクトリカルデザインルールが考慮されていなければいけないので、私自身はテトリスの難しいパターンのように考えています。回路図とレイアウトの中で脳を酷使する大がかりな作業を行うため、音楽のボリュームを上げて集中します。PCB設計で苦手なのは、常にドキュメントの作成です。ただし、事前にテンプレートを準備し、Altium DesignerのDraftsmanを利用することで、以前使っていた他のECADツールよりもずっと簡単に速くできるようになりました。おかげで一番苦手な部分もそれほど苦になっていません。

 

Warner: これまでのキャリアでメンターのような存在は、誰かいましたか。また、あなたにとってどんな役割を果たしてこられたのでしょうか。​

​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

Lunder: 2000年に大学院を出た直後に、Chipconで私を採用してくれた最初の上司からは多くのことを学びました。設計プロセスとそれをECADツールでデザインルールに合わせていく方法を学び始めたばかりの私にとって、PCB設計と実装のあらゆる側面における彼の知識はとても参考になりました。2003年、この上司はRadiocraftsという自身の会社を立ち上げました。2007年に私もこのチームに加わることになり、引き続き彼から学ぶことができました。この経験は、Staakerでハードウェア設計者として自分自身の道を歩み続けている今も役立っていると思います。

 

Warner: この分野でキャリアをスタートさせてまもない設計者に何かアドバイスはありますか。

​​​​​​​​​​​​​​​​​​

Lunder: 優れたPCB設計者になるには、PCBの製造プロセスとどのようなドキュメント作成ツールが実際に必要になるかを理解するために、いくらか時間を費やす必要があります。重複や不要な情報を排除することです。自分なりのECADツールでデザインルールから始めて、選択した工場の要件に沿って設定してみてください。個別のデザインルールがわからないときは、意味を調べ、それに従って調整していきましょう。

スノーボーダーを撮影するStaakerのドローン

Warner:​​​ 何か最後におっしゃりたいことは。

 

Lunder: 事前にデザインルールを整理し、委託するPCB工場に合わせて細かい調整をしておけば、故障のリスクをかなり低減することができます。ECADデザインルールとPCB工場の仕様に何らかの不一致がある場合、工場のプロセスに適合するように工場側が設計を調整してくれます。質問すらすることなく、変更してくれることもあります。私が今、本当に願っているのは、PCB工場とECADシステム間のデザインルールのより簡単な統合です。デザインルールのインポートは、既にほとんどのECADツールでサポートされていますが、PCB工場から全てのデザインルールパラメーターを含むデザインルールファイルを取得することや、ファイルにECADツールとの互換性を持たせることが課題です。

 

Warner: このことは、これまでもIPC-2581のようなツールで業界が対応しようとしてきた課題です。まだ完全には解決できていないのですが。貴重な専門知識をお話しいただき、ありがとうございました。Staakerのさらなる発展を期待しています。

 

Lunder: こちらこそ。ありがとうございました。

 

筆者について

筆者について

Judy Warnerは、25年以上にわたりエレクトロニクス業界で彼女ならではの多様な役割を担ってきました。Mil/Aeroアプリケーションを中心に、PCB製造、RF、およびマイクロ波PCBおよび受託製造に携わった経験を持っています。 また、『Microwave Journal』、『PCB007 Magazine』、『PCB Design007』、『PCD&F』、『IEEE Microwave Magazine』などの業界出版物のライター、ブロガー、ジャーナリストとしても活動しており、PCEA (プリント回路工学協会) の理事も務めています。2017年、コミュニティー エンゲージメント担当ディレクターとしてAltiumに入社。OnTrackポッドキャストの管理とOnTrackニュースレターの作成に加え、Altiumの年次ユーザー カンファレンス「AltiumLive」を立ち上げました。世界中のPCB設計技術者にリソース、サポート、支持者を届けるという目的を達成すべく熱心に取り組んでいます。

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