複雑なパッド形状の実装方法

John Magyar
|  投稿日 2017/03/14, 火曜日  |  更新日 2020/12/1, 火曜日

PCB設計

 

PCB設計への複雑なパッド形状の実装方法

大部分のコンポーネントのパッケージのパッド形状は、共通して単純な長方形または円形です。そのようなパッケージのフットプリントを作成することは、手作業でも、自動IPCフットプリントジェネレーターを使っても、簡単な作業です。しかし時として、コンポーネントのパッケージは複雑なパッド形状を必要とし、それらをうまく調整するのに人手による多くの労力と余分な時間が必要になることがあります。複雑なパッド形状を素早くPCB設計に実装し、時間と労力を節約する方法があれば非常に便利です。

 

複雑なパッド形状を素早く設計に配置

場合によっては、設計の際に幾何学的に複雑または不規則な形状のパッドが必要になることがあります。例えば、LED照明のコンポーネントは、複数の切り抜かれた曲線を含む独特な形状の放熱パッドを必要とする場合があります。そのような曲線は、複数の標準の円形/長方形パッドを組み合わせることや、フィルまたはリジョンを手作業で配置することでは実装できません。それを行うには、見落とされがちだった1つの方法があります。つまり、閉じた輪郭線を形成する一連の直線と円弧として必要な形状の輪郭線を配置(またはインポート)できる場合は、その輪郭線そのものを、パッドを定義する精密な形状のリジョンにPCBライブラリエディター内で簡単に変換できます。その上、そのリジョンオブジェクトのプロパティ設定を使って、はんだペーストマスクをDRCルールで自動的に制御できます。この方法をもっとよく理解するために、以下に示すBourns社SRR5028シリーズシールド付きSMDパワーインダクターのフットプリントを作成することでこのプロセス全体を詳しく検討できます。まず、この例の製品(製品番号SRR5028-101Y)のデータシートが部品メーカーのウェブサイトのこちらにあります。この2ピンデバイスの各パッドは半径2.2mmの切り抜かれた曲線を含んでいます。次に、データシートに記載されている例を使ってパッド形状の輪郭線を定義してみましょう。

 

パッド形状の輪郭線の定義

SRR5028シリーズのデータシートの推奨レイアウトのセクションに、コンポーネントのパッドの主要な寸法が原点に対して図示されています。コンポーネントの原点に対する各パッドの主要な寸法を取り込むために、PCBライブラリエディター内でメカニカルレイヤーに6つの直線と1つの円を配置します(図1参照)。これらの直線と円の正確なサイズと配置が、部品メーカーのデータシートに記載された寸法と完全に一致していることを確認します。部品メーカーの寸法を正確に再現できるように、PCBライブラリエディターのスナップグリッドを0.05mmに設定します。

 

1_DATASHEET.png

2_MECHANICAL.png

部品メーカーのデータシート(左)から作成したメカニカルレイヤーの輪郭線(右)

 

コンポーネントのパッドの主要な寸法を配置および確認したら、メカニカルレイヤー上のパッド形状を表す2つの閉じた輪郭線のみが残るように、無関係な直線または円弧を全て切断、リサイズ、除去します。この例では、閉じた輪郭線を手作業で作成および確認しました。その代わりに、DXF/DWGフォーマットから複雑なパッド形状の輪郭線をインポートすることもできます(そのようなデータが存在し、それを使う方がより実用的である場合)。

 

Altium Designerで複雑なパッド形状を簡単に作成またはインポート

部品メーカーの推奨レイアウトでは、一部のコンポーネントで複雑または不規則なパッド形状が必要となることがあります。複雑なパッド形状を素早く実装する簡単で効率的な方法があることを常に心に留めておいてください。直線と円弧を使った複雑なパッド形状の正確な輪郭線を作成またはインポートすることで、結果をリジョンオブジェクトに変換できます。

複雑なパッド形状をAltium Designerに素早く実装する方法の詳細をご覧になるには、無償のホワイトペーパー『複雑なパッド形状の実装方法』を今すぐダウンロードしてください。

筆者について

筆者について

Johnは、マイクロプロセッサシステムの設計に重点を置き、SUNY Polytechnic Instituteで理学士号を取得しました。当初は複雑なPCBの診断テストプログラムを開発する防衛産業の設計エンジニアを務めており、その後、EDA業界のシニアアプリケーションエンジニアとして、ASIC、FPGA、PCB の設計および検証ソリューションを幅広くサポートしてきました。

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