私の祖母はこの7年間、両親の家と同じ通り沿いに住んでいます。ここに越してきたのは、彼女のアルツハイマー病が発覚し、独り暮らしはもうできないのではないかと両親が感じた後のことです。しかし、テクノロジーのおかげで、祖母は半ば独立した生活を送ることができています。私の母は監視カメラを使って、祖母が安全に満足して過ごしていることを確認し、必要があればいつでも彼女のもとを訪れます。この方法では祖母が介護施設に入らずに済みますし、両親も過度な負担なしで祖母の世話をすることができます。高齢者とその子供の多くはそれぞれが独立した暮らしを望みますが、健康面と安全面を考えると、そうもいかないことが少なくありません。新しいスマート センサーアレイとモノのインターネット(IoT)を使用したスマート ホームシステムを利用すると、お年寄りが可能な限り独立した暮らしを営むことができるようになります。
高齢者の独り暮らし
自宅を離れたいと考える高齢者はほとんどおらず、その子供の多くも自身の自宅に迎え入れることを希望していません。健康および安全上の懸念からやむを得ない場合もありますが、今後はそれほど急がなくても済むかもしれません。
American Association of Retired Persons(AARP)の調査によると、高齢者の90%が自宅に住み続けることを希望しています。成人した子供もまた、高齢者の介護に不安を感じています。高齢な親の世話には、場合によって高額な費用と多大なストレスが伴い、何年にもわたって続く可能性があります。このような懸念から、子供が親を介護施設に入れざるを得なくなり、結果的に高齢者の生活の質が低下することも少なくありません。
高齢者を介護施設に入れる一番の理由は、健康および安全面での不安です。アルツハイマー病または認知症の患者や、監視の必要な健康上の問題を抱える人が1人で暮らすことには危険が付きまといます。しかし、テクノロジーを利用すれば、簡単にこの問題を解消して、高齢者を見守ることができます。あとは、誰かが高齢者向けにシステムの設計を行ってくれることだけです。現在の状況をお話ししましょう。
IoTを利用すれば、転倒しても助けることができます。
独り暮らしのためのテクノロジー
すべての高齢者に24時間看護が必要だとは限りません。多くの場合、高齢者を見守り、何らかの問題があれば家族または医療提供者に警告を送るシステムがあれば十分です。このような課題に対応して、高齢者とその子供が暮らしやすくなることを目指すIoTテクノロジーには、次のようなものがあります。
Life Alert - 最もよく広告を目にするのはLife Alertです。このシステムの主な要素は、ネックレスやその他の装置に付けられたボタンで、助けを求めるときに押すことができます。このシステムが有効なのは間違いありませんが、意識を失ってボタンを押せない場合、すべてが無駄になるおそれがあります。転倒を自動検知する加速度計などを追加すると、さらに良いシステムになるでしょう。
Lively - Livelyは、Life Alertを1歩進めた製品です。助けが必要なときは、押しボタン付きの腕時計を使用して緊急連絡先に通知できます。また、センサーが付属しており、冷蔵庫を開けたり薬を飲んだりするとその活動が記録されます。問題なのは、大型のセンサーを付加する必要がある点です。もっと使いやすいシステムにするには、シームレスな形で住宅に組み込む必要があります。例えば、さまざまな場所にかさばるセンサーを設置する代わりに、1か所でイベントを検知する薄型センサーアレイを使用する方法があります。
Vector Security - 従来型のホームセキュリティを高齢者に使用することもできます。Vector Securityは、介護者がいないときに高齢者の住宅を監視してくれるセキュリティシステムです。ビデオ監視機能が搭載されており、問題の発生時には緊急連絡先に警告を送信できます。ただし、高齢者向けに設計されたセキュリティシステムではないので、転倒や全般的な生活習慣を検知するセンサーは搭載されていません。転倒を検知するブレスレットや、高齢者が食事と薬を忘れていないことを確認するためのセンサーを追加すると、ずっと良いソリューションになるでしょう。
上記テクノロジーはどれも、独り暮らしの高齢者の見守りに間違いなく役立ちますが、さらに優れたソリューションにするための余地が残されています。
自宅を監視されたい人はいません。センサーアレイを使用すると、高齢者のプライバシーを侵害することなく状況を見守ることができます。
スマートホームの監視
IoT業界は現在、住宅のスマート化に積極的に取り組んでいます。しかしながら、高齢者介護という非常に価値の高い市場を見逃しています。高齢者を見守り、健康で満足した生活が送れているかどうかについて、プライバシーを侵害せずに有用な情報を提供する真のスマートホームが求められています。このようなスマートホームを実現するには、生活習慣を認識して解釈できるセンサーアレイが必要です。
しばらく前に、IoTのスマート マルチセンサーアレイに関するブログ記事を書きましたが、センサーアレイはこの分野に最適なソリューションになると考えています。このプラットフォームはビデオカメラを使用せずに、各種のセンサーを使ってイベントを検知します。例えば、熱センサーを使用して、コンロでどのバーナーが燃えており、長時間燃え続けていないかどうかを認識することができます。このようなシステムはスマートで正確でありながら、プライバシーを侵害しないので、高齢者向けとして最適です。日常生活を逐一カメラで監視されたい人はいませんが、マイクが音を拾うだけなら気にならないかもしれません。マイクとモーションセンサーを組み合わせると、簡単に転倒を検知できます。さらに、助けを求めているのか、または1人で起き上がれるのかも認識できるでしょう。このような組み合わせは理想的で、例えば誰かが家にいて、お年寄りを邪魔することなく、何が起きているのかを教えてくれるようなものです。現在このタイプのシステムはまだ商用に提供されていないので、ご自身で設計し、早い段階で市場に参入するチャンスがあります。
年を取ることは、本人にとっても家族にとっても楽なことではありません。ほとんどの高齢者は自宅に住み続けたいと考えているにもかかわらず、健康および安全面での懸念から引っ越しを余儀なくさせられています。現在の監視テクノロジーは、高齢者がより長く自宅に留まるために役立ちますが、突き詰めるとすばらしいソリューションとは言えません。プライバシー侵害のないセンサーを使って、自宅で起きていることを把握できるスマート センサーアレイこそ理想的なソリューションです。介護者の負担を大幅に減らすこのソリューションは、自宅に住み続けたいと考えるすべての高齢者にとっての必需品となるでしょう。
もう一度言いますが、現時点でこのようなシステムはまだ存在しませんので、すぐに設計に取り掛かることをお勧めします。設計用ソフトウェアが必要な場合は、CircuitStudioをお試しください。高齢者とその家族を何代にもわたって支える優れたシステムを設計するために一役買ってくれるでしょう。
IoTセンサーについてのご質問は、Altiumの専門家にお問い合わせください。