世の中の人々は犬派と猫派に分かれますが、私の家族は常に猫派でした。私たちの家族は、「異常な」猫派になってしまわないよう、1つの重要な規則を自らに課していました。それは、家族の人数よりも多くの猫を飼ってはならないという規則です。時にはこの制限を取り払いたいと感じたことがありますが、猫の世話が手に負えないことにならないよう、常にこの規則を守ってきました。モノのインターネット(IoT)にも同じ原則が当てはまります。多くのIoTデバイスは少々極端であるとは思いますが、これらのデバイスのセンサーは単純性を実現しています。現在では、ほとんどのIoT機器に専用のセンサーアレイが存在し、気温や振動など周囲の各種の状況を測定します。一部のメーカーはマルチセンサーのプラットフォームに取り組んでいるため、この状況は近い将来に変化すると思われます。このような統合センサーソリューションには一般的に使用されるセンサーの広範なアレイが詰め込まれ、周囲の環境を調べることができます。このような統合されたセンサーにより、デバイスは1つの物理的な場所でデータを収集でき、機器間で互いに認識を共有することも可能です。このようなセンサーのパッケージにより、複雑性、コスト、保守の手間全てを減らすことができ、エンドユーザーとIoTガジェット設計者の両方が利益を得られます。
マルチセンサーのプラットフォームとは
統合センサーパッケージの例の1つとして、Future Interfaces Groupの「合成センサー」が挙げられます。これらの開発者は最も一般的に使用されるIoTセンサーを調べ、1つのプラットフォームに組み入れました。このデバイスは壁面へUSB接続され、周囲環境のデータを収集します。
現在のところ、この統合センサーは、「インテリジェントでない」家庭用機器からのデータを収集し、解析することが目標です。センサーの位置が変化しないため、他の固定されたオブジェクトからの音を解析し、非常に高い精度で識別できます。例えば、合成センサーはコンロのどのバーナーが点火されているかを、周囲の熱と音から特定できます。室内のノイズの周波数スペクトルから、ミキサーとゴミ処理機とを区別することもできます。さらに、自分が仕事中に猫がカウンターからグラスを落としてしまったなどの状況を判断することさえも可能です。
合成センサーは、機械学習アルゴリズムを使用して、これらを全て行います。これらは、自動運転車が新しい状況に対応するために適用されるのと同じアルゴリズムです。このプラットフォームは文字通り、家庭とその中にある物体について学習していきます。
このテクノロジは、データおよびホームインテリジェンスの分野において多くの用途があることは疑いありません。Googleはこのプロジェクトに投資しているため、Googleは自社のGoogle Homeアシスタントとこのテクノロジを連携させる可能性があります。このテクノロジは、蛇口が開けっ放しである、コンロの火が点いたままになっているなどを住人に警告できます。猫に餌をやるのを忘れているという警告も可能になるかもしれません。この合成センサーのようなプラットフォームは、IoTにおいてはさらに有用な用途があるでしょう。センシングの共有やデバイスの認識などの用途が考えられます。
このようなセンサーは、この写真のものより多少取り扱いやすくなることが期待できます。
マルチセンサーのプラットフォームとIoT
私は現在自分の家でパズルを解いていて、猫があちこちに噛みついています。猫がパズルのテーブルに近寄ったら家の方で感知し、追い払ってくれたら便利だと思いませんか? 統合センサーを使用すると、環境のデータを送信し、各デバイスが周囲の環境と、自分以外のデバイスについて認識できるようになり、上記の対応が可能になります。
ほとんどのIoT機器には、専用のセンサーが付属しています。しかしこれらのセンサーは、その機器の作業にのみ特化しており、周囲の環境を包括的に捉えるようには設計されていません。これが、スマートデバイスが真に「スマート」ではない理由です。「スマート」な呼び鈴は、誰かがドアに近付いてくることを判別できますが、その人が何を望んでいるのかを解釈できません。機械学習を行うセンサーは、例えば制服を確認し、その人が郵便配達人なのかということを認識できるかもしれません。または、誰かが冒涜的な言葉を叫びながらドアに近寄ってくると、呼び鈴は誰かが来たこと、さらにその人物が激怒していることを住人に警告できます。機械学習は平均的なIoTデバイス開発者にとっては少々複雑なため、開発者が自分でデバイスに組み入れることは期待できません。「スマート」な機器のように考え、一元化され、統合された、センサーが存在すれば、その有用性は大幅に拡大するでしょう。
合成センサーの最終目的は、家庭内で何が起きているのかを認識することです。そのためには、家庭内にどのような機器が存在し、呼び鈴の音はどのようなもので、ペットが何匹飼われているのかを知る必要があります。この認識を、センサーに接続されている他の機器と共有することに何も問題はありません。たとえば、犬がミキサーの音に怯える傾向があるが、餌をやれば静かにすることができるとしましょう。ミキサーが動作しているとき、センサーは犬が部屋にいることを感知し、自動給餌機に対して、犬に餌をやるように指示します。このようなマルチセンサーのデバイスにより、本当の意味で統合されたスマートホームを作り上げることができます。
統合センシングはIoTデバイスに役立つだけでなく、利用者や設計者にも役立ちます。
これらのセンサーは、このような事態を避けるために役立ちます。
利用者と設計者への利益
IoT製品の利用者と設計者のどちらも、それがどのように役立つかを知る必要があります。ユーザーにとっては、統合センサーにより複雑性とコストが低減する利点があります。また開発者にとっては、やはり複雑性が減るとともに、分散したセンサーが必要でなくなるという利点があります。
自分の家が「スマート」になるなら、できる限り最高にスマートに見せたくなるものです。まあ、そこら中が猫の毛だらけなのはどうしようもありませんが。あちこちの戸棚のドアや椅子からセンサーが突き出しているのは見苦しいものです。また、全てのセンサーがどこにあるのか、いつ電池を交換する必要があるのかを気にするのも避けたいものです。家中のセンサー全てが、バッテリ残量が少なくなったときに火災報知機のように鳴り響く光景を想像してみてください。おそらく、家から逃げ出したくなることでしょう。センサーを1つだけ接続すれば、全ての処理を行ってくれるのなら、その方がはるかに楽です。部屋ごとに1つは置く必要があるとしても、全てのデバイスに別々のセンサーが必要になるよりは、はるかに手間が省けるでしょう。
さらに、IoTデバイスに莫大な費用がかかるのも好ましくありません。我が家の猫は特別な品種で、購入するときは少なくない代金を支払いました。デバイスのセンサーの数が少ないほど、コストも低くなります。趣味のパズルを買い求めるためのお金まで費やしたくはありませんし、多少の貯金も残しておきたいものです。
設計側でも作業はずっと簡単になります。PCBに5つの異なるセンサーを組み入れる必要がなくなり、1つのWiFiモジュール(普通は既に保有しているでしょう)を組み入れ、データを要求するだけで必要な動作が行われます。既に解析済みのデータを受信するだけなので、自分でデータを収集してから解析するよりもはるかに簡単です。また、統合センサーを使用することで、デバイスが分散センサーネットワークと通信する必要もなくなります。一般ユーザー向けの機器にセンサー用のスティックを10本取り付け、それらのスティックをユーザーの手で家中に設置してもらう必要もなく、ユーザーが接続方法を間違える心配もありません。
全体的に、インテリジェントなマルチセンサーのプラットフォームはIoTの世界でいくつかの大きな用途があると考えます。これらのプラットフォームは一連のスマートデバイスを使用してペットを追跡し、家庭に被害を及ぼさないようにできます。結局のところ、犬用のスマートな給餌機を買うことになるのかもしれません。統合されたセンサーを使用することで、IoTデバイスはこれまでは想像もできなかった高度なインテリジェンスを得ることができます。さらに、インテリジェントでない物体への認識の面に影響を及ぼす可能性があります。このような意識を生みだすことができるとは、かつては誰も想像しませんでした。このようなセンサーは、IoTデバイスへの利点だけでなく、ユーザーや設計者にも大きな利益となります。これらのセンサーによって、ユーザーにとっても設計者にとっても作業の複雑性がはるかに減少し、コストも削減されます。この点は、私がIoT関連の製品について最も期待している部分です。
機械学習のセンサーアレイ、スマートフォーク、ネットワーク接続された猫用の玩具など、何を設計する場合にも役立つものがあります。CircuitStudioなどの優れたPCB設計ソフトウェアを使用することで、アイデアを簡単に製品として実現できるようになります。
統合センサーについてのご質問は、Altiumの専門家にお問い合わせください。