設計技術者のIPC CID認証の重要性

Judy Warner
|  投稿日 2018/12/10, 月曜日  |  更新日 2020/11/27, 金曜日

 

Stephen Chavez: 氏は電子機器のリードエンジニアで、米国アリゾナ州フェニックス都市圏の有名な軍事航空宇宙企業において、グローバル設計チームを統括しています。Chavez氏は高い技能を持つ技術者で、PCB設計者でもあり、日常業務に留まらず、基板設計に高い情熱を注いでいます。IPC設計委員会の役員会メンバーで、CID、CID+、およびCIT認定のEptacのCIDトレーナーでもあり、PCB007誌にも寄稿しています。この記事では、Chavez氏がCIDトレーニングに情熱を注ぐ理由と、それが今日のPCB設計者にとってどのような重要性を持つのかについて紹介します。

 

Judy Warner: CID、CID+、およびCITの認証を受けたのはいつですか?

 

Chavez: 初めてのIPC CID認証は、2008年にDieter Bergman氏の講座で取得しました。その後、CID+の認証を2012年のGary Ferrari氏の講座で取得しました。最後に、2016年初めにMITのGary Ferrari氏、Mike Creeden氏、Cherie Litson氏の指導の下、PCB設計のCIT(IPC Certified IPC Trainer)認証を取得しました。業界で最も優秀なPCB設計者から学べるというとてつもない恩恵を受ける機会に恵まれたことがお分かりいただけるでしょう。

 

Warner: 認証を取得したことで、ご自身のキャリアに何か影響はありましたか?

 

Chavez: PCB設計者としてのIPC CIDおよびCID+認証の取得は、私のキャリアを一変させ、きわめてプラスの影響を与えていると確信しています。これらの特別な専門的トレーニングの講座がなかったら、PCB設計者としての今日はなかったと思います。PCB設計者になりたての頃、私はPCB設計者として正式な教育を受けたことがなく、設計についてもっと学ぶために何を頼ったらよいのかもわからず、非常に苦労しました。IPC、PCB設計に関する業界のセミナーや専門的なトレーニングの講座を受けても完全には理解できませんでした。それが、私にとっての社会の現実というものでした! 当時、私がわかっていたのは、設計のためデスクに向かってできるだけ長時間、一生懸命仕事をすることだけでした。私は「勉強を続けたければ、大学に戻って電気工学の類について学ぶ必要がある。そこで原理や理論についてもっと詳しく、さらにPCB設計についても多少なりとも教えてもらえる」と考えました。大学の講座では、多少PCBについての技術も扱われていましたが、大学本科の全カリキュラムから得られるはずの内容には程遠いものでした。最終的に、私はCIDのトレーニングについて学び、それこそ自分が本当に探し求めていたトレーニングであることがわかりました。認証取得のおかげで、自分のスキルセットを質の高い業界標準レベルに引き上げることができました。また、本物のプロのPCB設計者、つまり最低でも業界標準に届くPCBの設計、製造、実装に関して必要な全てを十分に理解できるPCB設計者として進化することができました。PCB設計における成功をもたらす3つの視点(これを私は「修正を1つの作業ととらえる」設計者のトライアングルと呼んでいるのですが)を受け入れ、活用し、適用する設計者です。

 

Warner: IPCの認証を受けたIPCトレーナー(CIT)になってどれくらいになりますか? またトレーナーになって、どのような刺激を受けていますか?

 

Chavez: CID/CID+のIPC認証トレーナー(CIT)になって3年になります。私はPCB設計および専門的な開発に夢中です。質の高い業界の知識を他の設計者に伝え、成功のチャンスを提供することが楽しくてしかたありません。

 

私は、とても幸運なことに、キャリアにおいて一緒に働いてきた全てのプロフェッショナルから刺激を受けてきました。すばらしい先輩が何人もいます。もちろん、さほど優秀とはいえない設計者もいましたが、彼らとの経験も前向きな方法で役立てるようにしています。私は「ペイフォワード(無償の恩恵のバトン)」の理念を心から信じています。そうしながら、今日までの私のキャリアの構築を手伝ってくれた設計者に敬意を表しているつもりです。ですから、授業や多くの人の前に立つ機会には、自分一人で立っているとはまったく思いません。私がここに至るまでどうにかして助けてくれた人々、私の設計仲間がすぐそばに立っていると感じています。設計者になってから今まで、私を励まし続けてくれた人々です。

 

Warner: EPTACについて教えてください。また、EPTACがどのようにして、なぜIPCの教材のトレーニングソースになったかもお聞かせください。

 

Chavez: EPTACは、世界的な規模で、半田付け関連のトレーニングおよびIPC認証において最高評価を受けているリーダーです。EPTACは、プロに対してキャリアを加速させるスキル、ビジネス、および競争の激しいこの業界で成功する可能性を提供します。25年以上もの間、EPTACは、企業の品質標準や生産性を向上させ、利益を最大にするお手伝いをしてきました。ニューハンプシャー州マンチェスターに本部を置くEPTACは、米国およびカナダ各地に開設された拠点を通じて、業界最高レベルのトレーニングプログラムを提供しています。

 

EPTACがどのようにして、なぜIPCのトレーニングソースになったかについては、EPTACのWebサイト(https://www.eptac.com/)にアクセスすることをお勧めします。個人的な感想ですが、EPTACのチーム全体がすばらしいです!

 

 

設計者にとってこの投資に対する直接的なリターンは、間違いなくあるといえます! 投資に対する直接的で有益なリターンが必ずあります。私自身がキャリアにおいて経験したことですので、断言できます。とにかくトレーニングの質と教材の業界関連の内容がすばらしいので、私はこの認証取得の講座を強くお勧めします。結論はこうです。最終的には、認証を取得した設計者全員がそれぞれのキャリアに向かって前進しつつ、どのようにこのトレーニングを適用していくかにかかっています。インストラクターとして、全ての授業で、また全受講生に対して、私は常に最善を尽くしています。多くの同僚インストラクターと同様、必要な業界の知識を伝えるため、私も全力を注ぐつもりです。ただし、習得し、認証を受けたこの知識をどう活用するかは受講生次第なのです。

 

Warner: CIDの認証取得について、さらに詳しい情報はどこで入手できますか?

 

Chavez: 設計者の方は、認証取得の詳細情報についてIPCまたはEPTACに直接お問い合わせください。継続的な学習や成長のための追加の業界リソースがあります。たとえば、そのようなリソースとしてI-Connect007(Design007)やUP Media(PCD&F)があります。これらの業界の出版物はいずれもきわめて優れています。Design007誌には「 The Digital Layout」、PCD&F誌には「 The Digital Route」という新しい業界コラムがあります。これらの2つの新コラムが、設計者にとって、認証およびIPC Designers Councilについて詳しく知るためのよい補足リソースになることを願います。最後に、詳細について、私自身や他のインストラクターに直接、お気軽にお問い合わせください。

 

Warner: CIDトレーニングに関する見識と情熱をお聞かせいただき、ありがとうございました。

 

Chavez: こちらこそ。皆さんとこのテーマを共有でき、光栄です。

 

 

筆者について

筆者について

Judy Warnerは、25年以上にわたりエレクトロニクス業界で彼女ならではの多様な役割を担ってきました。Mil/Aeroアプリケーションを中心に、PCB製造、RF、およびマイクロ波PCBおよび受託製造に携わった経験を持っています。 また、『Microwave Journal』、『PCB007 Magazine』、『PCB Design007』、『PCD&F』、『IEEE Microwave Magazine』などの業界出版物のライター、ブロガー、ジャーナリストとしても活動しており、PCEA (プリント回路工学協会) の理事も務めています。2017年、コミュニティー エンゲージメント担当ディレクターとしてAltiumに入社。OnTrackポッドキャストの管理とOnTrackニュースレターの作成に加え、Altiumの年次ユーザー カンファレンス「AltiumLive」を立ち上げました。世界中のPCB設計技術者にリソース、サポート、支持者を届けるという目的を達成すべく熱心に取り組んでいます。

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