技術者向けPCB設計ガイド: 第1部 チーム

投稿日 二月 10, 2017
更新日 十月 27, 2020
技術者向けPCB設計ガイド: 第1部 チーム

はじめに

どのような人がPCBの設計プロセスとエンジニアリングに関与しているのでしょうか?当然、PCBを作成するすべてのタスクをたった1人が負っているわけではありません。構想を実現するために活用し、管理しなければならない工学的、科学的規制が数多く存在します。プロジェクト技術者としての最初のタスクは、チームを理解することです。

技術者向けPCB設計ガイド(第1部):チーム

この技術者向けPCB設計ガイド(第1部)は、初心者/学生、電子工学専門技術者に向けたPCB設計の無料ハンドブックシリーズの第1弾です。このシリーズでは、技術者の構想からプリント回路基板(PCB)を製造するための方法、段階、および慣行について理解することができます。PCBの構想から完全に実装されたPCBの納入まで、特定の要求に合わせて調整可能な実証済みの業界慣行に沿って、オンラインのPCB設計ソフトウェアを用いた基本設計の段階について説明します。

チーム

以下のようなメンバーでスタッフを構成することが可能です(図1を参照)。

図1:基本的なPCB設計チームの組織。

図1:基本的なPCB設計チームの組織。

設計技術者

設計者であるあなたはPCBエンジニアとして主導権を握り、このPCBの実現に際してタスクの実行と以下に示したPCB設計チームの管理とのバランスを取るのです。さらに、最終製品についても責任を負います。最終的な承認を行う立場であり、その責任は自分にあります。

製品設計サイクルが成功するかどうかは、製品開発を完了するために使用できる数多くの無料PCBエンジニアリングソフトウェアツールと共に、社内外のリソースを効果的に管理する能力にかかっています。

ERP/MRPシステム

企業資源計画(ERP)と資材所要量計画(MRP)がすべての始まりです。最初の構想から最終製品まで、ERP/MRPシステムは、プロセスの設計・開発と計画において重要な役割を果たします。製品の設計・開発のためにチームが使用するソフトウェアツールのほとんどは、MRP PCB材料システムと直接連動します。Altium Designerブックには、open database connectivity(ODBC)接続を使用して、ERP/MRPシステムに直接、リンクできるサプライヤーリンクシステムがあります。会社の部品データベースへのリンクと共に、このリンクを外部のサプライリソースで利用できるようにすると、すべてのデータをサプライチェーンにシームレスに統合できます。

PCB設計者 CID+

このチームメンバーは、設計とPCBレイアウトのプロセスのあらゆる側面に精通している必要があります。実際、場合によっては、完成した回路図と部品表を渡すだけで、PCB設計者がプロセス全体の管理を含む残りの作業を代わりに行ってくれます。これにより、自由に他のプロジェクト関連タスクに集中することができます。PCB設計者は、電子回路の電気特性と、PCBの製造と実装に必要なドキュメントの適用・作成方法について理解しています。さらに、設計者は、PCB実装に関連するプロセスだけでなく、PCB製造に関連する材料科学に精通している必要があります。

トレーニングを受け、IPC(米国電子回路協会)のCID(Certified Interconnect Designer-Basic)、またはCID+(Advanced)の資格を取得済みの設計者が最も適任です。CIDとCID+は、エレクトロニクス業界全体で認められている貴重な専門資格です。熟練のPCB設計者の手によるAltium Designer®は、完成したPCB設計ブックに求める結果を得ることができるPCB設計ツールを提供します。

(注:PCB設計者がいない場合には、ドキュメンテーションプロセスに関して非常に貴重な技術を持つことに加え、PCB設計ができ、外部の製造・実装リソースの状況を詳しく検討できる機構技術者に任せる必要があります。)

PCB設計者(2人目) /ライブラリ管理者

複数のPCB設計者がいる組織の場合もあります。2人目のPCB設計者がCID認定を取得している場合もあれば、そうでない場合もあります。PCB設計チームの長所と短所を把握し、それに応じてタスクを割り当てる必要があります。若手のPCB設計者には、会社のライブラリ管理のタスクを割り当てたり、専任のライブラリ管理者を配置したりするのも良いかもしれません。

ライブラリには、デザインで使用される部品のデータと、回路図シンボル、PCBフットプリント、3Dモデル、およびリジッドフレキシブル基板設計関連ドキュメントが含まれます。これは、設計が成功するか失敗するかを判断する際の基本的な要素です。ライブラリの作成、管理、および保管に適用されるガイドラインを作成する必要があります。

PCBサービス機関

組織には、数多くのPCBを取り扱うプロジェクトを完了するのに十分なリソースがない場合があります。大規模なプロジェクトの完了を支援するために、PCBサービス機関のサービスが必要になることもあります。PCBサービス機関は通常、業界で長年の経験を持つ高度な技術を備えたPCB設計者のグループで構成されています。提供されるサービスは、サービス機関によって異なります。設計サービスのみを提供するサービス機関もあれば、完成したPCB試作品と実装済みプリント回路基板の納入まで責任を負う完全な一括請負サービスを提供するサービス機関もあります。

どのような設計を外部リソースに委託するのかについては、賢明な選択が求められます。実際の設計を外部委託している場合であっても、そのような外部リソースを管理し、内部リソースによる再作業を必要とせず、設計タイムラインにも影響を与えない設計パッケージと完成したアセンブリの納入を確保する必要があります。Altium Designerブックのファイルエクスポート、およびファイルパッケージの各機能は、外部設計リソースに対して必要な一連の情報を提供するのに適しています。

機構技術者

PCB機構技術者は、早い段階で設計プロセスに関与し、PCBを収容する筐体について初期構想のモデルの開発を支援します。この担当者は、PCBと筐体の組み合わせが設計意図の要件を満たすようにするために、PCB設計者と緊密に連携します。PCBの形状、適合性、機能の変更が設計プロセス全体で発生することが多く、PCB設計者と機構技術者との間においてデータの共有をシームレスに行う必要があるという点において、設計プロセスは容赦ない場合があります。Altiumは、機械工学ツールセットとの接点となる複数の出力形式を提供すると共に、機構技術者がドキュメンテーションを容易にするために使用できるDraftsmanツールを提供します。

購買

外部リソースに対する調達は購買部門が行います。購買部門は、製造、実装、ターンキー、電子部品販売業者、試験施設、および試験装置の管理(および支払い)を行います。購買部門は、短期的、および長期的目標の達成を可能にする、さまざまな外部リソースの情報と、それらに対するアクセスを提供できる必要があります。Altium Designer Viewerライセンスは、購買部門が重要な情報を外部リソースに伝達するために必要な部品表やその他の出力データ形式にアクセスするために役立ちます。

社内実装

この部門には、実装済みPCBを納入できる高度な技術を備えた人材が必要です。試作のアセンブリにこのような人材を活用してください。設計プロセスの初期段階において配置に関する課題を解決することができます。設置全般および設計スケジュールの妨げにならない適切なドキュメントを使用した課題の特定には、このような人材との共同作業が不可欠です。Altium Designer Viewerライセンスは、社内実装管理部門が使用でき、ドキュメントへのアクセスとより適切な実装開始準備を可能にします。

品質保証

品質部門は、外部の製造・実装リソースと連携して、製品仕様を満たす完成済みアセンブリの納入を保証することができます。適切な人材が配置されたQA部門には、実装済みPCBの受け入れ検査を適切に行うためのリソースが用意されています。前述のIPCは、これらのタスクを実行するために必要なすべてのドキュメント、トレーニング、および認定を組織に提供することができます。また、製造部門と実装部門との連絡を容易にする一連の規格を維持しています。

PCB製造業者/PCB実装業者

賢明な選択をしてください。購買部門の対応により、選択できるオプションは多数あるはずです。部品や材料の価格設定、リードタイム、入手可能性は、ベア回路基板、または完成済みアセンブリの納入に影響を与える可能性がある要素のほんの一部に過ぎません。短納期の試作やリードタイムの長い大量注文、または一括受注契約に基づくさまざまなサービスの組み合わせなど、異なる分野に特化しているベンダーもあります。Altium Designerブックは、幅広いPCBブックの設計、製造、実装ファイル形式をエクスポートする既存の機能により、チームの利益に貢献します。選択肢の幅を広げ、製造・実装業者との関係を発展させることにより、双方からの期待が満たされるようにしてください。

高度なテスト

回路基板に高度なテストが必要な場合、必要なテストに応じて、設計サイクルが終了するまでかなりの時間が追加されることを忘れないようにしてください。Altium Designerのような設計環境を使用すると、設計サイクルの早い段階において実際のドキュメントを提供したり、早い段階で見積もりを行ったり、テスト済みのPCBの最終納入に影響する可能性のある変更を進めたりすることができます。

まとめ

製品設計のためにすべての活動やタスクを調整するというのは、控えめに言っても、大変な作業です。本ガイドを通じて引き続きこのシリーズを進めるにともなって、実証済みの設計方法論と設計レビュー手順を紹介し、目的とする最終設計を実現できる機会を増やします。


チームメンバーが多層PCB設計とエンジニアリングのプロセスにおける役割を理解することは、プロジェクトを計画的に成功に導くことにつながります。チームメンバーには、タスクを完了するための適切なツールも必要です。内部のチームメンバーは個々のタスクを完了するためのツールを持っている場合がありますが、外部のチームメンバーも独自のツールを持っているため、成功するためには、チーム間でツールと環境を伝達・連携できる必要があります。

専門的なPCB設計とエンジニアリングの市場においてさまざまな状況でツールが利用できるという点を考慮すると、幅広い範囲にわたってシームレスに連携可能なツールを備えることが不可欠です。Altium Designerは、そのような環境を提供します。さらに、Altium Designerは技術者専用のツールではなく、共同作業機能を備えた統合環境により、スタートアップ企業であるか、グローバルな組織であるかを問わず、あらゆる組織に合わせた調整が可能です。Altium Designerは、柔軟性のある、あらゆる組織の要求に適応できるライセンス環境を提供します。

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