PCBデータ管理システムおよびプロセスの最大の問題点

John Watson
|  投稿日 May 28, 2019  |  更新日 October 22, 2020

PCBデータ管理は、最終目的地のない旅のようなものです。この旅では、重大な問題が起こるかもしれません。しかも、たいていの場合、突然です。無視した場合、事態は悪化し、最終的にはPCBデータ管理システム、およびプロセスはすっかり台無しになる可能性があります。 

このブログでは、こうした問題をいくつか見ていきます。問題は突然現れる可能性があり、油断しているとたちまち困った事態に陥るので、この記事ではそれらの問題を「落とし穴」と呼ぶことにします。ですが、落とし穴をあらかじめわかっていれば、半分は勝ったようなものです。

船頭多くして船山に登る

ほぼすべてのPCBデータ管理システムで起こり得る一般的な問題の1つは、管理者が多すぎることです。つまり、誰もがある特定作業を行うことを許可されているということです。企業は、多くの場合、便宜上または有効性の理由でそれを許可しますが、これはひどい間違いです。 

PCB設計プロセスにおいて、ライブラリ管理者は最も重要な役割を果たしていると考えられます。すべてのPCB設計の基本はコンポーネントであり、コンポーネントの品質はひとえにライブラリ管理者の双肩にかかっています。 

先日、私自身もこれを経験しました。全員がライブラリにコンポーネントを作成できるという「決定が下された」ときです。このときは、40人前後のグループについての話でした。まもなく、誤った部品のせいで、ライブラリ全体のコントロールが失われ始めました。 

解決策は、ライブラリにアクセスするメンバーと実行できる操作を管理することです。数名のライブラリ管理者を選出したところ、コンポーネント作成が速やかに管理されるようになり、品質も大幅に向上しました。

管理外のライブラリ

私が会社に念押ししておきたいPCBデータ管理のもう1つの大きな問題は、管理外のライブラリのまん延と使用です。その名前が示すように、管理外のライブラリは、コントロールされたPCBデータ管理システムの外にあります。通常、レビューされていないコンポーネントが含まれており、完全に不適切なライブラリです。さまざまな理由から、設計者はそのようなライブラリを所有し、使用しています。しかしながら、PCB設計が失敗するリスクも負っています。私はこれまでにいくつもの問題を目にしてきました。製造組み立てにおいてのみですが、いずれも管理外のライブラリの不適切なコンポーネントが原因でした。

私たちは、Altium DesignerのItem Managerを使用して各設計を定期的にチェックし、各コンポーネントのソースを確認します。管理されていないライブラリの使用が判明した場合は、ただちに対応して削除します。

このような特定の問題の解決策は単純です。いかなる条件下でも、管理外のライブラリを許してはなりません。 

情報の品質保証

企業にとっては、PCBデータ管理システムの意義は1つです。つまり、お金です。会計台帳のどちら側に記載されるかは大きな問題です。情報は利益にも損失にもなり得ます。すべては、データの品質次第です。PCB設計で使用された管理外ライブラリと管理外コンポーネントでは、どちらがより不適切なのかはわかりませんが、どちらも同じ結果を招きます。それは誤ったPCB設計とお金の無駄です。 

レビュー プロセス

必要なのは、コンポーネントおよび部品の全体をレビューするための詳細な計画です。回路図シンボル、フットプリント、3Dモデル、シミュレーションなどのモデルがコンポーネント全体を構成するため、これらのモデルに関連する問題は、複数の部品に影響を与えます。そのため、レビューの際は特にこれらのモデルに注意を払います。 

このモデル レビューのプロセスは、リリース前のコンポーネントの全体レビューの一環です。通常、レビューの際はこれらのコンポーネントを隔離するので、誤って紛れ込んで設計を台無しにすることはありません。

変更管理

PCB設計の作業において、変更はお決まりのできごとの1つです。変更の特定、実装、検証の方法は、重要な問題です。特定のデータはおそらく変更されるということを知った上で、情報が静的か動的かを指定する必要があります。次に、監査プロセスを使用してそれらの変更を特定します。 

これらの変更を確定すると、レビュー プロセスを通じて、コンポーネントはライフサイクル状態が「新規」に戻って返送され、変更が正しく反映されたことを確認できます。 

不適切なソフトウェアの使用

最大の問題は、PCBデータ管理システムの最適な運用に必要なものはすべて揃っているのに、ソフトウェア パッケージが要求とかけ離れた標準未満のものであるということです。目的を達成するには、適切なソフトウェア パッケージというだけでなく、高性能なソフトウェア パッケージを選択する必要があります。これまで出会った中で1番のお勧めはAltium Designerです。多くのソフトウェアパッケージは、企業固有の要求に合わせて柔軟にカスタマイズできます。これは、このブログで最も重要な点です。最適な計画、組織、管理データを用意できても、ソフトウェアが追いつかないとしたら、何の意味があるでしょうか? 

自分自身の経験によれば、企業は、自分達が置かれている状況下で活動しますが、将来の状況については決して考慮しません。このため、アルティウムのような会社と協力することは最も重要な利点です。アルティウムのような企業はPCB設計者と提携関係にあり、その提携には成功という1つの目標があります。

まとめ 

読者の皆様が、PCB設計は簡単なプロセスではないということを理解し始めていることを願っています。多くの問題や障害が発生しますが、PCB設計を成功させるためにはそれらをじっくり検討する必要があります。これらの重大な問題を知り、積極的に問題を回避することは、非常に有効です。

先日、新人のPCB設計者へのアドバイスを求められました。何と言うべきかはすぐにわかりました。「常に学び続けろ」です。この仕事では、学ぶべきことが次々に出現します。幸いなことに、当社では、最も重要なトレーニング リソースのいくつかを利用できます。最もよいリソースの1つは、アルティウムの提供するコンテンツです。 

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筆者について

筆者について

Johnは、電子業界に約40年携わり、そのうち20年はPCB設計とエンジニアリングの分野で活躍してきました。設計者/技術者としてPCB業界の最先端を走り続け、最近ではトレーナーや指導者としても活躍しています。彼の専門は製造分野ですが、PCBサービスに関するいくつかの領域にも手を広げています。退役軍人として、陸軍の軍事情報の領域にも携わってきました。CID認定PCB設計者として、現在はAdvance CID認定の取得を目指しています。現在、Legrand IncのシニアPCBエンジニアとして、米国と中国のさまざまな部門でPCB設計者と技術者を率いています。

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