MIPI A-PHY自動車用SerDes仕様には何が含まれていますか？

投稿日 2021/10/14 木曜日
更新日 2024/07/1 月曜日

高速シリアル接続は、ネットワーキング機器、ストレージ、高解像度ビデオ/グラフィックスなど、多くのアプリケーションで高速データ転送に不可欠です。今日の自動車のコストが電子機器によって大きく左右される中、自動車用SerDesの仕様が最近まで存在しなかったことは驚きです。今年の9月、MIPI Allianceは自動車ADASの高速シリアルインターフェースの標準化を強化するため、自動車用SerDesのMIPI A-PHY v1.0仕様を発表しました。

新しい標準には、ADASと同様に、多くのことが含まれています。新しい仕様は、周囲センサーアプリケーションのインターフェース標準を定義していますが、より高いレベルのMIPI仕様をサポートすることを意図しています。自動車システムデザイナーの方は、新しいMIPI A-PHY仕様と、新しい自動車の他のMIPI仕様との相互作用についてもっと学ぶために、読み進めてください。

自動車用SerDesの概要

新しい仕様が出るたびに、それは電子機器の風景において潜在的に大きな変化を表します。MIPI A-PHYで定義された自動車用SerDesは、現代のシステム設計のトレンドに対応しており、自動車電子業界のOEMに、安全性とドライバー体験を向上させる多くの技術を統合するための自信を与えることを期待しています。

MIPI A-PHY仕様の標準

以下の表は、MIPI A-PHY仕様のいくつかの要件をリストしています。

なぜ自動車用SerDesが必要なのか？

新しいA-PHY仕様によって解決される特定の問題は何か、と問うのは公平です。しばらくの間、他のMIPI仕様（C-PHYおよびD-PHY）と自動車内の高速シリアルリンクとのインターフェースと相互作用はすべてアドホックであり、データ変換のためのいくつかのブリッジコンポーネントが必要でした。現在、高解像度カメラ、ディスプレイ、車両周囲のセンサー、インフォテインメントなどが新車の標準となっているため、このレベルの統合を対象としたインターフェースが必要になりました。

MIPI A-PHY仕様を開発する目標は二つあります：

他の高速シリアルプロトコル（CSI-2、DSI-2、DisplayPortなど）を長い共有リンク上で伝送できるようにすることで、システム設計を簡素化する。
現在異なるインターフェース間の変換に使用されているブリッジICを最終的に排除する。

上記のように、A-PHY仕様は超低エラー率での高速データ伝送を提供することを意図しています。他のMIPIプロトコルを同じ物理チャネルに統合することも、システムの簡素化に非常に役立ちます。これにより、以下で説明されるように、これらのシステムのブリッジICを排除することができます。

ブリッジICの必要性を排除し、長距離シリアルリンクを介した伝送を可能にすることで、全体のBOMコストを削減し、設計者はより複雑なプロトコル（例：自動車用イーサネット）をシリアル伝送に使用する必要がなくなります。合計すると、単一の物理層上で異なるデバイスとプロトコルの統合は、システムエンジニアがISO 26262と自動車安全性の整合性レベル（ASIL）の要件を満たすのに役立ちます。

この新しい標準が新しい車両の設計環境をどのように簡素化するかを見るには、現代の使用例を見ると役立ちます。

カメラとディスプレイの使用例

下の画像は、近い将来のA-PHYの理想的な使用法を示しています。この使用例は、カメラからのデータ（CSI-2入力）がA-PHYチャネルを介して転送され、Rxトランシーバーがデータをディスプレイ（DSI-2出力）に出力する方法を示しています。PCB上では、トランシーバー間でデータが直接転送され、トランシーバーからの出力がブリッジICに当たることなく直接物理層に入ります。

MIPI A-PHY相互接続の例。[改変元: 出典]

これを、トランシーバー間のプロトコルが独自のものであるか、単に異なる設計とプロトコルを使用している現状と比較してください。さらに、チャネルの両端での送受信はブリッジICによって仲介されます。

そのようなブリッジICの一例は、Renesas ISL76321ARZです。このICは、他のSerDesチャネル用のシリアライザICと同様に、データをSerDesチャネルに注入する役割を担いますが、MCUや他のプロセッサがデータを直接目的地に送信するのではありません。これらのタイプのコンポーネントには他にも便利な統合機能がありますが、標準化により、シリアルデータ伝送を提供するためだけのインターフェースチップの必要性がなくなります。下記は、ツイストペアケーブルを介したシリアル伝送を示す典型的なアプリケーション回路です。

Renesas ISL76321ARZの典型的なアプリケーション回路。[出典: ISL76321ARZデータシート]

今後登場する新型車両や将来の自動運転車内では、MIPI A-PHYプロトコルがセンサーフュージョンを実現し、より少ない中継コンポーネントを使用して単一の物理チャネルに高層プロトコルを統合します。自動運転車は、さまざまなセンサーからの高速データフィードを必要とするため、センサーデータを高速チャネルで融合する必要性は重要です。自動運転車の新しい設計では、このデータをすべて処理し、非常に低い遅延で車両を制御する必要もあります。MIPI A-PHY標準は、これらの側面を実現し、より安全で充実したドライバー体験を提供します。

自動車用SerDes設計に必要なその他のコンポーネント

MIPI A-PHY仕様がまだ新しいため、標準に適合するトランシーバーはまだ利用可能ではありません。しかし、新製品がMIPI A-PHY仕様の基準を満たすことができるようにするために必要な他のコンポーネントがいくつかあります。

MIPI A-PHY互換トランシーバーコンポーネントに加えて、設計者は新型車両が移動するIoTデバイスになるにつれて、多くの課題に直面することになります。コンポーネント要件には以下が含まれます：

自動車用SerDesの新しいコンポーネントが大量に利用可能になると、Octopartの高度な検索およびフィルタリング機能を使用して、必要な部品を見つけるために必要なツールが手に入ります。Octopartの電子部品検索エンジンを使用すると、現在のディストリビューターの価格データ、部品在庫、および部品仕様にアクセスでき、すべてがユーザーフレンドリーなインターフェースで自由に利用できます。当社の集積回路ページをご覧ください。

最新の記事を読むには、ニュースレターに登録してください。