少年の頃、私の部屋は常に散らかっていました。あらゆるものがどこにあるかわかっていると思っていたので、掃除する理由はありませんでした。最終的には、両親と友人からの強いプレッシャーに屈し、私は部屋を掃除しました。違いは驚くべきものでした。足の踏み場ができて、はるかに歩き回りやすくなりました。
オートルーターによるPCB配線についても同じことが言えます。オートルーターの配線は、見た目が悪く雑然とすることが知られています。そのような基板は、場合によっては追加設計が難しく、またいいかげんな設計に見える可能性もあります。こういった望ましくない配線は、通常次の3タイプのいずれかに分類されます。
1) バス配線の分割
2) 長く曲がりくねった配線
3) 望ましくないコーナーやスタブがある配線
何年もの間、PCB設計者は、オートルーターのスピードを必要とするたびに、配線に関するこれらの問題に対応してきました。自動インタラクティブルーターは、代替ルーターとしてはあまり知られていませんが、オートルーターに付き物の配線の問題はなく時間を節約することができます。
オートルーターは、PCBの配線時に多くの問題を引き起こす可能性があります。最初に目を引く問題は、バス配線の分割です。
バス配線は、類似するネットをグループ化した、均一な配線パターンです。例えば、8ネットのデータバス(D0からD7)はできる限りすき間なく配線する必要があります。このような配線は、トレースの長さとトポロジーを一致させることで、データバスの信号特性を維持します。
オートルーターは、バスをグループとして配線せず、バス内のネットを別々のものとして認識します。各ネットを配線するため、オートルーターは、そのバス配線から他のネットの配線を押しのけます(push & shove)。全てのネットの配線が完了したときには、オートルーターは、均一なバスを完全に分割しています。
これに対して、自動インタラクティブルーターは、デザイン内の全てのネットではなく、ユーザーが選択したネットを操作します。また、パターン幅、クリアランス、レイヤー、およびトポロジ―についてユーザーが設定したネットおよびネットクラスのデザインルールに従います。その結果、整然として緻密なパターンのバス配線になります。さらに、自動インタラクティブルーターでは、オートルーターが配線方向を決定するのとは異なり、ユーザーがバス配線の経路を指定します。
整然で均一な配線パターン
短いダイレクトトレース
オートルーターによるバス配線で起こり得る問題については上記で考察しましたが、オートルーターで分割されるのはバス配線だけではありません。オートルーターによる基板配線の次なる問題は、経路が基板上を蛇行する、長すぎる配線です。
オートルーターは、ネット配線を行う場合、配線完了のためにどのような経路でも選択する可能性があります。オートルーターは、障害物があると、間違った方向になるとしても最も容易な選択をするよう設計されています。単純なネット接続をオートルーターで配線した場合、配線が複数の基板層におよび、非常に長くなることも珍しくありません。
それに対して、自動インタラクティブルーターは、設計者が選択したネットに限定して配線を行います。オートルーターのように設計内の他の全てのネットを考慮することはなく、始点から終点まで、選択したネットを配線します。これにより、配線されたトレースは蛇行することなく、可能な限り短くなります。さらに、自動インタラクティブルーターがたどる経路を指定すると、配線されたトレースはその経路の範囲内にとどまります。
短いダイレクトトレースが目標です
配線によって生じる望ましくないもの
ほかに発生する可能性がある問題としては、配線に小さな望ましくないものができることです。それらは分割されたバス配線や長く蛇行する配線ほど明らかではありませんが、大きな悩みの種になる可能性があります。
オートルーターを使用して配線すると、jog、コーナー、スタブなどの望ましくないものが生成されます。これは、オートルーターがトレースセグメントを削除してから再度配線して、デザイン内の全てのネットを接続するからです。オートルーターの処理では、それらの小さな問題は放置されますが、決して小さくない問題に発展する可能性があります。配線のスタブは結果的にアンテナの役割を果たし、その設計にシグナルインテグリティーの問題を引き起こすことがあります。
自動インタラクティブルーターでは、配線のためにトレースを削除しないので、この問題を回避できます。代わりに、自動インタラクティブルーターは、可能な限り最短の経路を使って、選択したネットを単一経路に配線します。選択したネットが配線されると、自動インタラクティブルーターは、配線を完了し、それらを再度配線することはありません。これにより、オートルーターで生じる配線の望ましくないものの生成を回避できます。
設計者がPCBオートルーターで配線を行った場合、最終的に、分割されたバス配線、蛇行する配線、望ましくないものが生じた配線という3つの問題に対応する必要があります。これらの問題は、自動インタラクティブルーターを使用することで解消できます。自動インタラクティブ配線では、従来のオートルーターが引き起こす可能性のある問題を回避しながら、必要な配線を正確に行うことができます。
Altium Designer 18のようなPCB設計ソフトウェアは、設計者を手助けするための高性能な設計リソースを全て備えています。主要なリソースの1つに、ActiveRouteの強化バージョンがあり、上記の自動インタラクティブルーターの利点を提供します。Altiumが設計者に提供するPCB設計の配線ソリューションの詳細をご希望ですか? Altiumの専門家にご相談ください。