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Staaker社のPCB設計者 Tor-Anders Lunder氏と自己追尾型ドローン
Judy Warner: Tor-Andersさん、PCB設計者になり、Staakerの一員になられるまでのいきさつを少しお話いただけますか。 Tor-Anders Lunder: はい。トロンハイムにあるノルウェー科学技術大学(NTNU)で修士号を取った後、既にPCB設計に関するいくつかのプロジェクトに参加していたのですが、そのうち設計から実装までの工程全体に興味を抱き、この分野をもっと掘り下げて学びたいと思うようになりました。私は2000年から、RFICのスタートアップ企業であったChipconでアプリケーションエンジニアとしてのキャリアをスタートしました。Chipconは2006年にTexas Instrumentsに買収されています。Chipconで、私はリファレンスデザインを担当したのですが、ここでPCBプロセスや設計段階で避けなければならない落とし穴について多くのことを学びました。2007年にRadiocraftsに移り、無線モジュールの設計とそのリファレンスデザインを任されました。フォームファクターが小さいため、ここではPCB設計の新たな課題に取り組むことになりました。2016年に入って、私は自分の「パズル」に欠けている最後のピースを認識するようになりました。それがECADとMCADの統合です。私は最終製品の開発により深く携われる機会を求め、Staakerはまさに理想的な場所だったのです。 Warner: 先頃ドイツ、ミュンヘンで開催された「AltiumLive 2017: 年次PCB設計サミット」でプレゼンターを務められましたが、その概要とプレゼンターを引き受けた動機についてお聞かせいただけますか。 Lunder: このプレゼンテーションでは、マルチボードシステムのPCB設計を実現するためにAltium Designerの3D機能を使用するメリットを中心にご紹介しました。あるStaakerのドローン設計を例として取り上げ、複雑な製品開発を3Dモデルが「最初から正確に」進めることを可能にする理由とその仕組みを解説しました。以前から私は、Altiumについて詳しく学ぶ非公式の場、それに加えてPCBの製造や実装に関わる業界とのつながりも求めていました。「AltiumLive 2017」の資料ではその全てが強調されていましたので、ぜひ参加したいと思ったのです。また、Altiumの使いやすい点をご紹介することで、全てのプレゼンターがこの素晴らしいイベントに招待を受けることは、スタートアップ企業の一員として互いにメリットがあると思えました。 Warner: Altiumのプログラムがプレゼンターにとっても有益であったとうかがい、とてもうれしく思います。お引き受けくださり、ありがとうございました。ドローン用の電子部品を設計するにあたって、何か固有の課題に直面することはありますか。きわめてスポーツ性の高い活動に親しむ人々を特に意識して設計されていると思うのですが。 Lunder: 最大の課題はドローン内部のサブシステム間のノイズをどのように低減するか、またあらゆる状況下でセンサーをどのように最適に動作させるかということです。それに加えて、FCC/CE準拠のためのEMCに関する検討事項の解消があり、これはやっかいで時間もかかります(Staakerのドローンの動画を見る)。
Thought Leadership
多層PCB設計の『パーフェクト・ワールド』を見つける
私はずっとクリント・イーストウッドの大ファンです。20世紀の都会にいた私としては、 ダーティーハリーが銃を少々使いすぎだという印象がありましたが、名無しの男のほうは手に負えない無骨さが時代にぴったりとマッチしていました。言うまでもなく、私は彼がごろつきを打倒したり、やくざ者よりも先に銃を抜いたり、女性を射止めたりするのをいつだって応援していましたが、最も興味をそそられたのは、彼が何でもあっという間に決断を下すことでした。もちろん、結果はそのときどきで違います。 良いときもあれば悪いときもあります。それどころか、かなり悲惨なときもあります。 PCBの設計でも、多層PCBを選択するかどうかによって結果が変わります。多層PCBを無用に使用する設計者は大勢いますが、それによって設計が複雑になったり、製造コストが上がったり、現場での修正や修復が実質的に不可能になったりします。 名無しの男が登場する大半の映画の筋書は、善人に対する悪人のむごい仕打ちや卑劣な行為から始まり、ヒーローが悪を正してエンディングを迎えます。この筋書きに沿って、PCBの設計と開発を失敗させ得る要因と、多層PCBを使用するかどうかの決断に組み入れるべき要素について見ていきましょう。 多層PCBのハートブレイク・リッジ/勝利の戦場 PCB設計の観点から見ると、多層PCBはつい使いたくなってしまうものです。結局ところ、「小さければ小さいほうがよい」という考え方は現在の電子設計全体に広がっているようです。ただし、小さいことが設計の主な検討事項でない限り、その罠を避けるべき大きな理由があります。その例をご紹介しましょう。 設計の複雑性: 多層PCBを設計する際は、すべてのスルーホールやビアを正しく整列させることが不可欠です。ここにミスがあると電流に影響が及び、取り付けに関する問題が発生することがあります。また、奇数のレイヤーや厚さの異なる内層を使用すると、基板の湾曲やねじれが生じることがあります。この場合は基板が取り付け不可能になったり、テスト用に格下げされたりします。 これはまずい事態です。さまざまな種類の信号が多層PCBで配線される通信アプリケーションでは、一致しないインピーダンスやクロストークが原因で性能の問題が発生する場合があります。 これもまずい事態です。 製造コストの増加: 多層PCBの製造には、他の基板よりもはるかに高額なコストがかかります。必要になる材料も時間も増えるうえ、技術者は高度な技能を持っていなければなりません。レイヤー数を2つから4つに増やしただけで、製造コストが100%増加することもあります。 これはまずい事態です。 ベンチの修復が困難または不可能: 製造プロセスでも見られるように、小さなエラーは発生するものです。レイヤー数が奇数であったり、レイヤーのサイズが異なっていたりする基板の場合は、これが特にあてはまります。通常、シングルレイヤー(またはダブルレイヤー)のPCBでは、こうしたエラーを容易に修復して基板を使用できる可能性があります。ところが、内層に問題がある場合は修復が実質的に不可能で、基板は使い物になりません。 これはまずい事態です。 見落とされてしまうことがあるもう1つの問題は、レイヤーの増加による熱の上昇です。これは、製品を現場でしばらく稼働させないと表面化しません。製品が機能停止にいたるほど問題が深刻な場合は、Recall(リコール)、Redesign(再設計)、Remanufacture(再製造)の「3R」になってしまいます。 これは悲惨な事態です。 おわかりのように正しい選択をしない限り、多層PCBは重大な問題を引き起こす原因になります。ただし、長所もあります。選択と設計のプロセスについて慎重に検討すれば、クリント・イーストウッドのようにさっそうと夕陽の中へ去って行けるでしょう。
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