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面パターンで繋ぐ - フィルとリジョンとポリゴン 面パターンで繋ぐ - フィルとリジョンとポリゴン 1 min Blog プリント基板設計では、回路図通りに正しく接続するだけでなく、信号を正しく伝える事や電流容量に対する配慮が必要になります。この為、細い均一な線幅で配線するだけでなく、広い多角形による配線が必要になります。この広い面パターンの配置はベタ塗りとも呼ばれ、GNDの配線によく利用されます。基板設計CADのAltium Designerには、この面パターンのために「フィル」「リジョン」「ポリゴン」の3つのオブジェクトが用意されています。そこで、今回はこれらの併用や使い分けの為に、それぞれの特徴をおさらいしたいと思います。 「フィル」– 狂いの無い四角形を素早く作成 フィルは、PCB-CADの機能が十分に進化していない、未成熟な段階のベタ塗りオブジェクトです。四角形しか作成する事ができず、多角形が必要な場合には、複数のフィルを貼り合わせたり、トラックを併用したりする事が必要です。 形状が単純な為、PCBデータやGerberデータのサイズを節約できますが、複雑な形状の作成は困難です。そのため、今となっては配線用のオブジェクトとして使用するメリットはほとんど無くなってきています。 しかし、SMTパッドのソルダーレジストを、実オブジェクトで定義したい場合などには便利です。フィルは、マウスを一回ドラッグするだけで作成でき、大きさの変更もハンドル又はプロパティパネルで縦(Width)と横(Length)の2カ所を修正するだけで済み、回転も簡単です。また、作成時には外形の平行度が常に保たれ、狂いの無い四角形を迅速に配置できます。 「リジョン」– 複雑な形状の面パターンをマニュアルで作成 リジョンは、マウスのクリックで順に頂点をクリックしていく事によって、複雑な形状の面パターンを作成する事ができます。また、基板外形を作成する時のように、[J] - [L](Jump to Location)ショートカットを用いて、数値入力で精密な多角形を作成する事ができます。もちろん円弧で外形を描く事や、配置した後の直線部分を円弧に変更する事もできます。このリジョンには自動ベタ抜き機能は無く、異形パッドやスイッチの接点、RF回路などに対して、決められた通りの形状の面パターンを配置したい場合などに適しています。 「ポリゴン」-自動ベタ抜き機能により、複雑な面パターを瞬時に作成 ポリゴンは、3つの面パターンオブジェクトのうち、最も多彩なものです。障害物に対するクリアランスを保ちながら、空いているスペースを面パターンで埋めつくす事ができます。これは、「自動ベタ抜き」とも呼ばれます。このポリゴンの外形(領域)は、リジョンと同様の方法で作成・変更ができます。 ポリゴンの編集・管理機能 ポリゴンではその「自動ベタ抜き」のすばらしさだけに目を奪われがちですが、それだけではなく、編集や管理の為の機能も充実しています。 カットアウト機能では、領域の内部を切り抜く事ができます。また、作成済みの領域を分割する事もできます。さらに、ポリゴンの形状・属性をプロパティパネルによって編集でき、基板上に配置された複数のポリゴンを包括的に管理できる、ポリゴンマネージャ(Polygon Pour 記事を読む
タイトルブロックに迷わない為に タイトルブロックに迷わない為に 1 min Blog 回路図を作成する場合には、新しい回路図シートを開き、そのシート上にオブジェクトを配置して行きます。しかし、それだけで回路図が完成する訳ではなく、対外的なリリースに必要な図面情報をタイトルブロックに記入しなくてはなりません。 しかし、このタイトルブロックの内容はワークスペース上で直接編集する事ができません。また、基板設計CADのAltium Designerは、テンプレートによるカスタマイズ機能を備えており、使い始めには、その多様性に戸惑ってしまう事もあります。 そこで、今回は、このタイトルブブロックの全体像と利用方法についてまとめてみました。 タイトルブロックは通常、図面の右下に配置され、リファレンスゾーンと共に図面枠を構成しています。各項目への内容の記入はプリファレンスパネルを使って行います。また、タイトルブロックは、標準様式のものが予め用意されている他、カスタムテンプレートによって任意の様式のものを作成する事ができます。タイトルブロックはそれぞれの企業や団体によって様式が異なりますが、このカスタムテンプレートによって規定どおりの様式ものを用意する事ができます。 回路図シートの図面枠とタイトルブロックの種類 図面枠はタイトルブロックとリファレンスゾーンで構成されており、その設定はプリファレンスパネルを使って行います。またタイトルブロックは、一般的な様式として[Standard]と[ANSI]の2種類が用意されている他、テンプレートによるカスタマイズも可能です。 タイトルブロックへの情報の記入 タイトルブロックへの情報の記入は[Properties]パネルの[Parameters]ページで行います。テンプレートを利用した場合には、[Parameters]の各項目に入力した文字が即座に反映されます。また、文字のフォントとサイズは、テンプレートのスペシャルストリングに使用したものが適応されます。 テンプレートの編集 テンプレートをカスタマイズする事により、独自の様式のタイトルブロックを作成する事ができます。新規に作成する事もできますが、既存のテンプレートを修正する事により作成の手間を省く事ができます。テンプレートは[.SchDot]の拡張子を持つファイルによって提供されています。そして、回路図エディタにこの[.SchDot]ファイルを読み込むと、回路図編集と同じコマンドを使ってテンプレートを編集する事ができます。 通常、タイトルブロックの外形と記入枠は[Line]で作成しますが、DXFフォーマットで保存されたものを読み込んだり、他のツールからコピーアンドペーストで貼り付けたりする事ができます。 記入枠にはタイトルブロック用として予約済の、スペシャルストリングを配置します。またテンプレートには、[Parameters]の内容も保存されますので、会社名や住所などは、このテンプレートの段階で記入しておくとよいでしょう。 出来上がったテンプレートは、拡張子[.SchDot]で保存すると、回路図シートに割付ける事ができるようになります。 社外から設計を受託するような場合には、複数のタイトルブロックを使いい分ける事が必要になります。このような場合には、シンボルライブラリと共に、共通のリソースとして事前に必要なシートテンプレートを用意しておくとよいでしょう。 今すぐ Altium Designerの無償評価版をリクエストして、世界最高のPCB設計ソリューションをお試しください! 記事を読む
片面基板の設計の要点 片面基板の設計の要点 1 min Blog プリント基板は電子回路の配線手段として登場し、電子部品と歩調を合わせて進化してきました。 1960年代に入りトランジスタが使われるようになると、真空管時代の空中配線に変えてプリント基板が使われるようになりました。そしてその後 IC・LSI が現れ、その進化に合わせて基板の多層化が進みまました。その結果、現在のデジタル機器では当り前のように多層基板が使われるようになりました。 片面基板はプリント基板の原型であり、今では時代遅れなものに見られがちです。しかしまだ役目を終えた訳ではなく、いたるところで使い続けられています。例えば、回路規模が小さく実装スペースに余裕がある家電製品などでは、さほど実装密度を上げる必要は無く、片面基板で充分な場合があります。そして、なによりも片面基板は安価ですので、今後も需要が途絶えるは無さそうです。 そこで今回は、このシンプルな片面基板を取り上げ、設計上の要点を解説したいと思います。 片面基板の特徴と課題 片面基板では、ただ一つの銅箔面で全ての配線を完結しなくてはなりません。片面基板の設計ではこの事によって生じるさまざまな課題を解決しなくてはなりません。 例えば、片面基板では配線を交差させる事はできません。またプリント基板は電子部品間の端子間を接続し回路を形成するという役割の他に、部品を固定するというもうひとつの役割がありますが、片面基板ではこの事に対する特別な配慮が必要になります。 ストレスに耐えうる強度を得るために 片面基板に於いても、両面基板と同等の精度でエッチングや穴加工を行う事ができます。しかし片面基板でよく使用される紙フェノール基板は、両面基板で使われるガラス基板ほどの強度は無く、熱に対しても敏感です。このため、精細な配線パターンを用いると断線の危険性が高まります。 また、スルーホールが形成されませんので、片面に置かれたパッドだけで部品を保持しなくてはなりません。このため、大きなサイズのパッドを使って、穴加工後の箔残りを十分に確保しなくてはなりません。 配線パターンの幅 両面基板ではピン間3本の線幅基準である、0.14mm幅の配線パターンが当たり前のように使われます。しかし、紙フェノールの基材を使う片面基板では、強度が不十分な上に熱による収縮・膨張によって断線が起こりやすくなります。このため、片面基板ではピン間2本またはピン間1本の線幅基準である、0.2mm~0.3mm程度を最小線幅とします。この最小線幅は、基板のサイズや用途を考慮してケースバーケースで決める事が必要ですが、もし0.2mm以下の線幅で配線する場合には、ガラス基板を用いるのが一般的です。 尤も、実際に片面基板が使用されている例を見てみると、1,27mm程度 のグリッドを使って、0.5mm以上の線幅で配線されている場合が多いようです。 片面基板のパットサイズ 片面基板ではスルーホールが形成されない為、部品を半田面のパッドだけで支えなくてはならず、両面基板よりもパッドサイズを大きくしなくてはなりません。小型の抵抗やコンデンサ、ピン数の多いICなどでも、穴径に対して1.0mm以上大きいサイズのパッドを用いて、穴加工後の箔残りを0.5mm程度確保します。 また重い部品や、バッテリーなどの保守性が求められる部品に対しては、穴径 + 記事を読む