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xSignalによる高速伝送路のサポート xSignalによる高速伝送路のサポート 1 min Blog 高速伝送路では、反射による信号の劣化を避ける為にさまざまな配慮が必要です。 まず、伝送路の特性インピーダンスを整合させる事が必要です。配線パターンのフィジカル(トラックの幅と間隔・プレーンとの間隔)に一貫性を持たせ、ビアなどのスタブ要素を最小限に留めます。そして、電流ループ内のインピーダンスを全て整合させるため、必要に応じてダンピング抵抗(送端終端抵抗)や終端抵抗(遠端終端抵抗)を入れます。 そして、最適な配線トポロジーを選ぶことも重要です。高速回路では一筆書きが基本とされていた時期もありましたが、近年では配線の分岐が避けられないケースが増え、T分岐型のトポロジーがよく用いられるようになってきています。このT分岐型のトポロジーでは、複数の終端に対して対称に配線を行う事が求められます。 デザインルールによる高速伝送路のサポート Altium Designerは、このような高速伝送路の配線をサポートする機能を数多く備えています。例えば、等長配線や差動ペア配線ツールを備えており、さらに配線品質を検証するためのSIツール(伝送線路シミュレータ)も用意されています。そして、これらの配線・検証機能はハイスピードルールと呼ばれる、高速伝送路に特化したデザインルールによって精密に管理されています。 このハイスピードルールには、Parallel Segment(並行線長の制限)Length(配線長の制限)Matched Length(配線長の統一)を始め8種類の項目が用意されています。 また、デザインルールチェック機能の一部としてSIツールが組み込まれています。このSIツールの制約条件もデザインルールチェックの設定画面で規定する事ができます。 xSignalによる高速伝送路のサポ-ト Altium Designerは、xSignal と名付けられた独自の機能で高速伝送路の配線をサポートしています。この機能により、ネットを複数のパス(経路)に分解して、より詳細にデザインルールの適応範囲を指定できます。 例えば、xSignalを利用しない場合には、ルールスコープの最小単位はネットになります。しかし、ネットには複数の受信端(信号を受け取る側のノード)が含まれている場合があります。このような場合、高速伝送路では、複数の受信端への配線を(同電位であったとしても)それぞれ別の配線パスと見なさなくてはなりません。例えば、CPUに対して4個のメモリが接続されている場合には、1つのネットではなく4つの配線パスとして各メモリに到達する信号を管理しなくてはなりません。 xSignalはこれを可能にします。また、ダンピング抵抗を挿入する場合があります。この場合には、伝送路が2つのネットに分割されてしまいますが、xSignalによってひとつの配線として管理する事ができます。 [xSignal ウィザード]でxSignalを自動作成した後、PCBパネルにリストされた4つのxSignalを選択してDRAM_A0ネット全体をハイライトさせた状態。この基板では、CPUに4個のDRAMが接続されているので、DRAM_A0ネットには4つの配線パスが存在します。よって、DRAM_A0ネットからはDRAM_A0_PP1、DRAM_A0_PP2、DRAM_A0_PP3、DRAM_A0_PP4の4つのxSignalが生成されます。この4つのxSignalを全て選択する事によりDRAM_A0ネット全体がハイライトされます。一見すると、T分岐は一ヶ所に見えますが、DRAMが基板の両面に実装されており、一度T分岐した後、再度、上下のDRAMに向けてT分岐しています。生成されたxSignal、又はxSignal Class をルールスコープとして利用する事により、ハイスピードルールを緻密に規定する事ができます。 記事を読む
 効率化の決め手はデータの再利用と共用 効率化の決め手はデータの再利用と共用 1 min Blog 基板設計CADが隅々まで行き渡り、回路図を手で描く時代はとうに過ぎ去っています。しかし、ベテラン世代のエンジニアの中には手書き時代の記憶が脳裏に焼き付いている人も多いのではないでしょうか? 鉛筆と消しゴムによる手設計の時代 CADの無い手書きの時代は鉛筆と消しゴムがエンジニアのメインツールでした。何から何まで手で描かなくてはなりません。CADのようにライブラリから部品を持ってくる訳にはいきませんので、ひとつひとつ手で描かなくてはなりません。また、部品や配線の位置を動かす場合には、消しゴムで消して書き直さなくてはなりません。 とりわけプリント基板設計は手間のかかる仕事でした。紙の上にフットプリントや配線パターンを描きながらレイアウトを仕上げて行きますので、書いたり消したりの作業を延々と繰り返さなくてはなりません。そして設計が終わってもまだ仕事は終りません。CADのようにプロッタでアートワークを作画する事ができませんので、手作業で版下を作らなくてはなりません。版下の作成はグリッドが印刷された専用のフィルム上に多数の丸いシンボル(パッド)やテープ(トラック)を手で貼るという手間のかかる作業でした。 効率化の決め手はデータの再利用と共用 CADの普及により手書き時代の非効率な作業から解放されました。とりわけ、一度、作成したデータを何度でも再利用できる事にCADの便利さを実感します。部品はライブラリから簡単に取り出せます。コピーアンドペーストやスニペットで何度でも既存のデータを使いまわせます。これらの機能の恩恵を受けエンジニアの負担は激減しました。 さらに、基板設計CADのAltium Designerには既存のデータを断片的に再利用するだけでなく、回路図シート全体を再利用したり共用したりする為の機能がいくつも用意されています。 デバイスシートによる回路図の再利用 デバイスシートは回路図を特定のフォルダーに保存し、それを部品のように呼び出して再利用する事ができる機能です。例えば、繰り返し使う電源回路などをデバイスシートとして保存しておくと、必要なときに呼び出して利用することができます。 回路図上に配置されたデバイスシートのルックスはシートシンボルと似ていますが、角が円弧になっており中央には大きなリサイクルマークが示されます。なおシート上に配置されたデバイスシートは読み取り専用になっており編集する事はできません。 実績のある既存の回路図を再利用する場合には、不用意に書き換えてしまわないよう注意することが必要ですが、デバイスシートを使用するとそのような心配はありません。 マルチチャンネルデザインによる回路図の共用と簡素化 同じ回路を繰り返し使用する場合には、マルチチャンネルデザインによって共用と表現の簡素化が可能です。 例えば、オーディオミキサーのように多数のチャンネルを持つ機器の場合、1チャンネル分の回路図を用意し、そのシートシンボルの[Designator]にRepeatキーワードを与える事により、掛け算のようにチャンネルを増殖できます。 この機能を使わず、必要なチャンネル数のシートシンボルを配置する事によって多チャンネルの回路図を作成する事もできますが、マルチチャンネルデザインを使うとシートシンボルを1つ配置するだけで済みます。このため、チャンネル数が多い場合には特に有効です。 コンパイルマスクによる回路図の共用 コンパイルマスクは回路図上の任意のエリアを囲み、そのエリア内のオブジェクトがデータとして出力されないように無効化するための機能です。無効化されたエリアはワンクリックで有効な状態に戻すことができます。 この機能は、シミュレーション用の回路図とプリント基板用の回路図を共用する場合に便利です。例えば、シミュレーションを実行するための信号源や電源を コンパイルマスクで無効化する事により、これらをプリント基板用の部品表やネットリストから除外する事ができます。 記事を読む
Altium Designerでブラインドビアとベリードビアを使用する Altium Designerでブラインドビアとベリードビアを使用する 1 min Thought Leadership 5ポンド用のバッグに10ポンドの荷物は入らない――この古いことわざは、PCB設計の配線トレースに特にあてはまります。残念ながら最近はこのような要求がノルマになっているように見えます。近頃はだれもが設計の密度を上げることやフォームファクタを削減すること、あるいはその両方を望んでいますが、これに対応するための方法の1つが、配線でブラインドビアとベリードビアを使用することです。これらのビアを使うと、スルーホールビアが接続されていないレイヤーでスルーホールビアが占めていたはずのスペースを利用できるため、配線方法の選択肢が広がります。 この設計技術が開発されてから、かなりの時間がたっているものの、まだ使用したことがないPCB設計者は大勢います。これらのビアを使い始めたとしても、他のビアに戻りたくなくなる恐れがあるため注意が必要です。また、製造コストも上がってしまうため、使用にあたっては事前の計画も必要です。ブラインドビアとベリードビアの使い方をよくご存じでない方のために、Altium Designerでのこれらのビアの使い方を簡単に説明します。 Altium Designerでビアを使用する 製造、実装を通して、レイアウトを正確かつ確実なものにする必要があります。選択した材料とメッキ、使用予定の半田、コンポーネントと試作品の入手した見積もり、基板のその他の要件も考慮します。Altium Designerのブラインドビアとベリードビアは、レイヤースタック全体ではなく特定のレイヤーを接続するように設定される以外は通常のビアと同じです。そのため、ブラインドビアとベリードビアの設定および使用方法を理解するには、まず通常のビアの使い方を理解する必要があります。 Altium Designerのパッドスタックとビアは、属性を定義することで作成される設計オブジェクトです。パッドスタックとビアの作成を完了するには、それらのサイズ、穴のサイズ、許容差、その他の属性を指定します。これらは、テンプレートから作成することも、その場でご自身で定義することも可能です。下の画像は、PCB設定メニューのビアのデフォルト設定を示しています。 Altium Designerでのデフォルトのビア設定 上図に、デフォルトビアに使用したテンプレート、穴情報、ビアのサイズ情報を示します。また、Altium Designerでビアの詳細をコントロールするように以下の基準に従って設定できます。 [Simple]: 1つのサイズですべてのレイヤーに対応 [Top-Middle-Bottom]: トップ、ミドル、ボトムのサイズを個別に指定できます。 [Full Stack]: 全レイヤーのサイズを個別に設定できます。 記事を読む