「DCパワーインテグリティー」という言葉をそのまま受け取ると、ごく単純なトピックのように思われます。実際は、プリント基板上の各コンポーネントに、必要に応じて必要な電力(電流および電圧)を確実に供給する必要があるだけです。しかし、それはほんの表面的なことです。新たな現実はもう少し複雑です。ピッチの細かいデバイスパッケージを扱う仕事を始めると、前述のデバイスの製造上の制約や電力要件が、ほとんど容認されないものです。全ての電源ピンに必要な電流を得ることが難しいばかりでなく、複数の電源電圧を扱うことになります。つまり、レイヤー数の多いPCBが必要である場合以外は、さまざまなスプリットプレーンを通じてデバイスへの電力を得る必要があります。そしてそこにトラブルが発生するのです。 適切な電源分配ネットワーク(PDN)を計画し、設計する必要があります。多くの設計者にとって、PDNはPCB設計プロセスにおいて異質でやっ かいな部分です。実際のPDN構築はかなり要求が厳しく、特殊なトレーニングや経験を要する可能性があるため、まさにそのように言えます。一方で、電源分配ネットワークのパフォーマンスの最適化はそれほど複雑ではありません。実際、PDNの最適化の基本目標は、各負荷に対して十分な電流および電圧を供給して動作要件を満たすという、PCB設計プロセスと同じくらい単純なものである可能性があります。各電源と対応する負荷の間に十分な金属を確保することは、PDNのパフォーマンスに関してPCBで最も重要な点です。 今やパワーインテグリティは目新しい問題ではありません。実際のところ長らくよく耳にする話題でしたが、真剣な問題として取り上げられるようになったのはここ数年のことです。主な原因は、基板がますます小型化していることです。ウェアラブルがよい例です。スマートウォッチは、ワイヤレス接続、 バッテリー、画面の全てが小さなパッケージに組み込まれた小型コンピューターを手首に装着するものです。これは信じられないことです!ますます小型化する製品を探求することで、電源の電圧許容差がより厳しくなる一方、より大きな電流が流れるコンポーネントの密度は高くなりま す。そして、全ての操作段階でそれらのコンポーネントに適切な電力を供給できる必要があります。
パワーインテグリティの問題は単純で、コンポーネントが必要に応じて必要な電力を得ることができない状況になることです。この問題を解決する ことが本当にそれほど難しいのでしょうか?銅箔やビアを追加すれば解決します。ただしビアや銅箔の追加は問題解決には役立つかもしれませんが、いつでもできるわけではありません。 銅箔に関して言えば、温度であれ電圧であれ発生する可能性のある問題に対処するため、基板へ銅箔をできるだけ大量に塗布したいと思うかもしれませんが、そのような時代は終わりました。サーバーの設計ですら非常に高密度になり、基板面積は、過度に保守的な設計慣習によって無駄使いできない貴重な要素になっています。電源供給用の金属は全て「不可欠」であり、レイヤーを追加したり基板サイズを大きくする余裕はありません。これは、今日特にIoTやウェアラブルに当てはまり、従うべきフォームファクターになっています。 (※続きはPDFをダウンロードしてください)
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