6層PCBスタックアップの設計ガイドライン

Zachariah Peterson
|  投稿日 May 4, 2022  |  更新日 June 25, 2023
6層PCB設計

4層基板では足りないと感じたときが、6層基板にステップアップするときです。層が増えることにより、より多くの信号、より多くのプレーンペア、または導体の組み合わせを実現するためのスペースが生まれます。PCBスタックアップでの配置方法や、6層PCBでの配線方法に比べれば、追加された層をどのように使用するかは大して重要ではありません。6層基板をこれまで使用したことがない方、またはこのスタックアップで解決が難しいEMIトラブルが発生したことがある方は、6層基板における設計ガイドラインとベストプラクティスに関するこの記事をこのまま読み進めてください。

6層を使用する理由

基板の製作に着手する前に、6層基板を使用する理由を考えることが大切です。信号用のパスが増える以外にも、いくつもの理由があります。6層スタックアップの最も基本パターンでは、4層基板のSIG/PWR/GND/SIGスタックアップと同様に、スタックアップの中央に2つの追加部分に信号を配置していますが、SIG/PWR/SIG/GND/SIGはEMCの観点から、これは実際には最悪の6層PCBスタックアップであり、これはDCで動作する基板でのみ選択すべきです。

私が4層基板ではなく6層基板を選択する理由には、次のようなものがあります。

  1. 4層のSIG+PWR/GND/GND/SIG+PWRスタックアップを使用しており、コンポーネントの表面層にもっと余裕が必要な場合、PWRとSIGを内側層に配置すると、PWR/GNDプレーンペアでデカップリングが行われます。
  2. 混在信号基板の場合、アナログインターフェース専用の表面層全体を使用でき、低速のデジタル配線用に内側層を追加できます。
  3. I/O回路数の多い高速基板を使用しており、基板の異なるレイヤーに信号を分離したい場合も、#1と同じ戦略を実装できます。

これらすべての構成で、追加する信号層は2つではなく1つだけです。もう1つの層は、GNDプレーン/電源レール/フルパワープレーン専用です。スタックアップにより、基板のEMCとシグナルインテグリティー、レイアウト、配線戦略が決まります。

信号を配線する方法

配線を始める前に、6層PCBで使用する典型的なPCBスタックアップについて見てみましょう。

6層PCBスタックアップ
6層PCBの例。

このスタックアップでは、最上層と最下層が薄い誘電体上にあるため、これらの層はインピーダンス制御信号に使用する必要があります。誘電率に応じて、15~20mil幅のマイクロストリップ配線が必要になるため、おそらく10milが使用すべき最も厚い誘電体です。差動ペアを使用してデジタルインターフェースを配線している場合、この配置間隔によってトレース幅を縮小することもできるため、よりピッチの細かいコンポーネントに配線することができます。たとえば、当社では、複数のマルチギガビット・イーサネット・チャネルをサポートする多くの小型フォームファクターネットワーキング製品に、上記のスタックアップを使用してきました。

外側層ではるかに狭いトレース幅を使用する必要がある場合は、外側の誘電体の厚さを減らし(4~5milなど)、L3~L4の誘電体の厚さを増やし、基板の厚さ目標を達成します。次に考慮すべき点は、電力の配線方法です。

電源を配線する方法

上記の6層PCBスタックアップの例では、1つの層全体がPWR専用となっています。これは一般的に6層PCBでお勧めの方法です。これによりコンポーネントの表面領域が解放され、ビアを介してこれらのコンポーネントに電力を供給しやすくなるからです。

例として、以下に示すBGAをご覧ください。このBGAは、複数の電圧で大量の電流を必要とする典型的な高速インターフェースコントローラーで、多くのボールが電源とGNDに接続されます。FPGAなどでは、フットプリント全体に電源とGND用の複数のピンがある場合があります。単一層を電源専用にすることで、必要に応じて複数の電圧を高電流で使用できるように、プレーンをレールに分割することができます。こうすることで、異なる電圧でこれらのレールをオーバーラップさせる必要がなくなり、 EMI問題を防ぐことができます

6層PCB設計のガイドラインBGA
このFPGA BGAフットプリントでは、中央にある複数のピンがGNDと複数のVCCレール専用であることがわかります。GNDピンはレイヤー2のプレーンに直接接続でき、VCCピンはレイヤー3の異なる電源レールに接続できます。

内側層に電源を配置したからといって、他の場所に電源を配置できないわけではありません。銅箔を使用したレールとして、または太いトレースとして、他の信号層に電源を配線することができます。

おそらく複数の電圧で、6層基板による大電流動作が必要な場合は、追加の信号層ではなく、追加の電源層を使用することをお勧めします.つまり、スタックアップ内の内側層にGNDと交互に配置した2つの電源層を入れます。さらに一歩進んで、バック層にパワープレーンを配置して、電流処理能力をさらに高めることもできます。これにより、DC抵抗と電力損失を抑えるために、より重い銅箔を使用し、広い領域に電源を配線するのに十分なスペースが得られます。

このほか、4層基板や8層基板でEMCを確保するために採用される重要な配線戦略は、6層基板でも適用されます。上記の例のような6層スタックアップを使用すれば、配線や信号・パワーインテグリティーの確保がさらに簡単になります。4層や8層基板で考慮すべきDFMは、6層基板にも当てはまります。レイアウト作成、トレースのサイジング、配線を始める前に、製造業者からスタックアップの承認を得るようにしましょう。

スタックアップを作成して配線を開始する際には、これらの6層PCBの設計ガイドラインに従ってください。6層回路基板を作成する準備が整ったら、Altium Designer®の最適なPCB設計ツールを使用しましょう。ここには、基板のレイアウト、配線、製作準備のために必要なツールが一式揃っています。PCBフットプリントを作成し、チームや関係者と共有する場合は、Altium 365™プラットフォームを使って共同作業できます。高度な電子機器の設計と製造に必要なものはすべて、1つのソフトウェアパッケージに含まれています。

ここでは、Altium 365とAltium Designerでできることについて、その一部を紹介したに過ぎません。今すぐ、Altium DesignerとAltium 36の無償評価版をお試しください。

筆者について

筆者について

Zachariah Petersonは、学界と産業界に広範な技術的経歴を持っています。PCB業界で働く前は、ポートランド州立大学で教鞭をとっていました。化学吸着ガスセンサーの研究で物理学修士号、ランダムレーザー理論と安定性に関する研究で応用物理学博士号を取得しました。科学研究の経歴は、ナノ粒子レーザー、電子および光電子半導体デバイス、環境システム、財務分析など多岐に渡っています。彼の研究成果は、いくつかの論文審査のある専門誌や会議議事録に掲載されています。また、さまざまな企業を対象に、PCB設計に関する技術系ブログ記事を何百も書いています。Zachariahは、PCB業界の他の企業と協力し、設計、および研究サービスを提供しています。IEEE Photonics Society、およびアメリカ物理学会の会員でもあります。

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