宇宙用途でのフレキシブル回路の利点

投稿日 七月 12, 2017
更新日 十一月 5, 2020
宇宙用途でのフレキシブル回路の利点

planets in space

 

時々、なぜ宇宙旅行が重要か質問されます。毎晩眠りにつくとき、私にはその答えは明白であるように思えます。私の枕は、NASAが開発した形状記憶フォームで作られています。宇宙探検に対するNASAの取り組みから、今日私たち全てが恩恵を受けている他の多くの重要な発見や機器が生まれています。フレキシブル回路も、元は航空宇宙産業向けに開発された有用な技術です。地球を回る飛行や地球から離れた飛行の場合、リジッドフレキシブル基板やフレキシブル基板には、従来のPCBに比べて長所がいくつかあります。軽量化や小型化、信頼性の向上、より革新的な設計などのため、フレキシブル回路は、無限の可能性を持つ選択肢になります。これらの利点の全てを際立たせる素材が、Kapton®です。

軽量で小型

宇宙探検で重量はあまり問題ではないと思うかもしれません。そもそも宇宙では全てに重量がありませんよね? あいにく、ロケットやその積み荷は、打ち上げの間にまだ重力を体験します。ものを地上から軌道まで運ぶのが、全プロセスで最もエネルギーを必要とする部分の1つです。フレキシブル回路は従来のPCBより軽くて占有スペースが小さく、航空宇宙分野に最適です。

フレキシブル回路は、通常の基板よりもともと軽量です。厚いリジッド基板を使用せず、薄い膜の上に実装されるからです。レイヤーを追加すると、基板軽量化の影響は大きくなります。最大75%の軽量化が可能です。大したことではないように思えるかもしれませんが、自分でロケット燃料の代金を払う必要があれば、1オンスでも重要です。

フレキシブル回路は、より軽いだけでなく、より小型でもあります。薄い膜が厚い基板よりスペースを取らないのは当然ですが、体積を節約できるのは主に柔軟性のためです。従来の基板は、一定の3Dスペースを必要としますが、フレキシブル基板は、隅や割れ目に押し込んだり折り重ねたりできます。また、曲げてユニークな3D図形を作り、未使用スペースを埋めることもできます。創造力が十分あれば、通常の基板と比べて最大60%のスペースを節約できます。積み荷が大きければ、打ち上げロケットは大きく重くなるので、大きさは重要です。

 

 

Rocket launching
打ち上げの間に余計な重量を運びたくありません。

 

 

信頼性

宇宙用の基板を設計するとき、信頼性は非常に重要です。NASAが36年前に打ち上げたVoyager Oneは、まだ飛んでいます。回路が36年間宇宙を飛ぶには、信頼性が相当高い必要があります。フレキシブル基板が耐える動的な力は、従来の基板より大きく、フレキシブル基板を使えば、故障率の高い連結ポイントがなくなります。

宇宙船は、主に打ち上げの間、あらゆる種類の動的な力にさらされます。従来の基板は動的な力に弱く、故障の最大20%は振動が原因です。フレキシブル基板やリジッドフレキシブル基板は、運用の間にねじれるよう作られており、故障するまで何千回も曲げることができます。これによって、フレキシブル基板は壊れるのではなく曲がり、厳しい条件で機能し続けます。

はんだ接合部や圧着などの接続部も、故障のリスクが大きい場所です。これらの接続部も動的な力によって壊れる場合があります。フレキシブル回路は、接続部がないので、このリスクがありません。フレキシブル基板のほとんどの接続は、基板内で行われています。接続部が故障すると、PCB全体が故障する可能性が高くなります。したがって、フレキシブル回路は、ほぼ完全に基板の破損点を取り除きます

 

 

Satellite orbiting earth
フレキシブル回路は展開型部品に最適です。

 

汎用性

真空の宇宙は、困難な問題に満ちた手ごわい場所です。これらの障害を克服するため、技術者は、汎用性のあるコンポーネントを必要とします。フレキシブル回路は、設計者が宇宙船で奇妙な図形や伸縮できる部品を実装できる物理的な適応性を提供します。

時に、宇宙船の小さな領域に大きく硬い四角形を押し込むのは、不便です。フレキシブル回路は、取り付けられた表面にぴったり合います。つまり、必要などんな場所にでも取り付けることができるのです。中央ユニットから大きく広がったセンサーアレイまで配線する代わりに、アレイのすぐ隣に回路を取り付けることができます。

伸張性のある部品を実装したいとき、柔軟性も役立ちます。人工衛星には展開可能なソーラーパネルのようなものが見えます。動的な力や振動が従来の基板を弱める場合があるように、広がったり縮んだりする部品は、従来の電線やPCBを傷める可能性があります。通常は、リスクを覚悟の上で、そのタイプの装置を組み込むかもしれません。しかし、フレキシブル回路は、そのような動きのために作られているので、不安なく伸張性のある装置を使用できます。

Kapton®

フレキシブル回路は、多くの素材からできていますが、特定の素材が、既に宇宙用途に広く使用されています。Kapton®は、細いポリイミドフィルムであり、既に複数の宇宙飛行で、ヒーターから太陽電池まであらゆるものに使用されています。

Kapton®がしばしば選択される理由の1つに、その軽量性があります。ロケットのケーブル絶縁からローバーのヒーターまで、あらゆる用途で主な選択肢になっています。Kapton®が使用される理由には、その機械的性質や耐振性もあります。運用の間、ソーラーパネルや光学センサーなどの安全を維持するのに役立ちます。この素材は、フレキシブル回路が宇宙旅行に役立つ性質を全て備えています。非常に多くの宇宙飛行で使用されているのも驚きではありません。

行き先が、はるか火星までであっても、国際宇宙ステーションなど、どこかより近くであっても、積み荷を最終目的地に確実に到着させたいものです。フレキシブル回路は、宇宙船のサイズを最小化し、宇宙船を打ち上げるのに役立ちます。また、信頼性を改善し、設計のオプションを増やします。

フレキシブル回路を使用すべき理由を理解したら、次は、その作成に役立つPCB設計ソフトウェアが必要になります。幸運なことに、Altium Designerには、フレキシブル設計が簡単にできるツールが備わっています。Altiumは、お客様の宇宙船をただちに打ち上げるのに役立ちます。

フレキシブル回路についてのご質問は、Altiumの専門家までお問い合わせください。

 
 
 
 
 
 

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