ついに、回路基板ができあがり、PCBを実装する準備が整いました。回路図が完成し、レイアウトの確認と承認が済み、いよいよ組み立てです。ただし、そのためには部品表を作成する必要があります。幸い、それらのドキュメントを手作業で作成したのは遠い昔のことです。どのCADシステムでも、部品表は、ライブラリやその他のプロセスによって自動的に作成されます。しかし、そのためには何をする必要があるでしょうか?
Altium Designer 18を使用すると、部品表(BOM)を非常に簡単に作成することができます。さまざまなオプションを選択して、非常に直感的な特定のニーズに応じて情報を構成したり整理したりできます。ここでは、設計から簡潔なBOMレポートを作成するために必要な手順について説明します。
例として、いくつかの部品で構成される非常に単純な設計を取り上げます。これにより、画面に収まらないような部品表ではなく、簡潔で扱いやすいレポートができます。
Altium Designerでは、回路図、レイアウト、ActiveBOM(設計内のコンポーネントに直接アクセスするためのツール)のいずれかからBOMを作成することができます。BOMレポートの生成機能には、これらの3つの設計オブジェクトで同じメニューを選択してアクセスできます。3つの設計オブジェクトのいずれかをアクティブな状態にして、[Reports] ≫ [Bill of Materials] を選択します。3つのオブジェクトには若干の違いはありますが、下図のようにBOMレポートメニューは基本的に同じです。
Altium Designerの回路図、レイアウト、Active BOMのBOMレポートメニュー
Altium Designerでの回路図の作成やレイアウトの作成には慣れていても、ActiveBOMを使ったことがない場合もあるでしょう。ActiveBOMは、回路図やレイアウトと同様の、別の設計ポータルです。違いは、接続データ(配置と配線)を操作するのではなく、基板設計内のコンポーネントデータを直接操作する点です。ActiveBOMで作業するには、最初に、下図のように [File] ≫ [New] ≫ [ActiveBOM Document] メニューコマンドにアクセスして、ActiveBOMドキュメント(オブジェクト)を設計と関連付ける必要があります。
設計へのActive BOMドキュメントの追加
ActiveBOMは、設計のコンポーネントを扱うための追加機能(部品ベンダーとのクラウド接続を含む)を提供します。これにより、コストや入手可能性など、使用する部品のリアルタイムのデータや情報を収集することができます。また、ActiveBOMと回路図やPCBレイアウトの間でクロスプローブを行うこともできるため、ActiveBOMは設計のレビューやその他の関連作業に欠かすことのできないツールとなっています。
ただしここでは、この記事の目的のため、必要な部品またはコンポーネントについてそれらのツールで生成できる実際のBOMレポートにのみ焦点を当てます。このため、PCBレイアウトから生成されたBOMレポートを使用します。
下図は、Altium Designerのレイアウト側から開いた部品表レポートダイアログボックスです。このダイアログボックスは、オブジェクトをドラッグして構成し、必要なフォーマットにできます。
[Grouped Columns] が定義されていないBOMレポートメニュー
上図のように、この設計例の各コンポーネントは、ダイアログボックスのメインデータ領域に個別に一覧表示されています。ただし、ユーザが指定できるパラメータを使って、コンポーネントを「グループ化」することができます。グループ化するには、ダイアログボックスの左側の [All Columns] カテゴリからそのすぐ上の [Grouped Columns] カテゴリにパラメータを移動します。この図では、[Grouped Columns] カテゴリは空の状態です。
[All Columns] カテゴリの [Comment] パラメータにカーソルを合わせ、マウスの左ボタンを使用して [Grouped Columns] カテゴリにパラメータをドラッグします。結果は下図のようになります。[Comment] が [Grouped Columns] に移動し、同じコメントを共有する全ての部品が、ダイアログボックスのメインデータ領域の同じ行に一緒にグループ化されて表示されています。
[Grouped Column] が定義されたBOMレポートメニュー
ダイアログボックスのメインデータ領域に表示する列を指定することもできます。例えば、下図では、[Description] と [Designator] が表示されないよう指定されています。
[Description] と [Designator] が非表示のBOMレポートメニュー
Altium Designerには、他にもいくつかの部品表フォーマットオプションがあります。以下の3つの画像のうち、1つ目では [Designator] 列をドラッグしてメインデータ領域の左側に再配置しています。次に、[Designator] 列の最初の小さいドロップダウン矢印を使って、C1とC2が1番下になるよう列の並び順を逆にしました。
最終的には、[Designator] 列の2番目の小さいドロップダウン矢印を使って、表示されるデジグネータをフィルタリングしました。この例では、P1を除く全てのデジグネータがフィルタリングされ、P1のみが表示されています。
Altium DesignerのBOMレポートメニューの他のフォーマット例
このように、さまざまなフォーマットオプションが用意されています。また、BOMのその他のデータを操作して、機能を追加または削除したり、設計バリアント向けに構成したりすることもできます。
必要に応じたフォーマットのデータができたので、次にデータをエクスポートします。Altium Designerでは、複数の出力ファイル形式から選択できます。
これらのオプションは、ダイアログボックスの右下隅の [File Format] プルダウンメニューから選択できます。
BOMをExcelワークシートとしてエクスポートする場合、Altium Designerでは、ドロップダウンリストからテンプレートを選択することで、あらかじめ定義されたExcelテンプレートを使用することもできます。エクスポートすると、BOM情報が新しいExcelワークシートに読み込まれ、選択したExcelテンプレートが適用されます。次に、テンプレートのフィールドおよび列のステートメントを使って、BOMデータがスプレッドシートにマッピングされます。下図は、「BOM Default Template」を選択した例です。
BOMレポートメニューのExcelワークシートオプション
これで、部品表をエクスポートできるようになりました。[Bill of Materials] ダイアログボックスの左下隅の [Export] ボタンをクリックします。ファイルナビゲーションウィンドウが開き、出力先ファイルの名前と場所を指定できます。ファイルを指定して保存すると、部品表がエクスポートされます。
Altium Designerには、部品表生成ツールなど、PCB設計者の作業を楽にするために考えられた多数の機能が用意されています。さまざまなフォーマットおよびエクスポートオプションを提供することにより、後でファイルを編集しなおすことなく、基板に必要な部品およびコンポーネントを入手するための正しい出力ファイルを作成し、製造業者に送ることができます。
Altium Designerをまだお使いでない場合は、ぜひお試しください。設計プロセスの生産性向上をお手伝いするため、PCB設計者のことを考えて開発されたPCB設計ソフトウェアであることをご理解いただけます。
アルティウムは、実際のPCB設計で完全な部品表とともにその他の出力ファイルを作成するお手伝いをします。詳しくは、アルティウムのエキスパートにお問い合わせください。