このたび、IPC社とアルティウムは、広がりを見せているNexarエコシステムパートナーにIPC社が参加することを正式に発表しました。このインタビューでは、IPC社の規格/テクノロジー担当副社長であるDavid Bergman氏にお話を伺いました。この新しいパートナーシップがどちらの組織にも双方向的に価値をもたらすことについて、Bergman氏がどのように考えているのかを語っています。
Judy Warner
Nexarパートナーシップについてお話をお伺いする前に、規格/テクノロジー担当副社長としての役割がどのようなものかをお聞かせいただけますか?
David Bergman
世界的にはIPC規格、そして毎年開かれるIPC APEX EXPOなど、組織内のいくつかの活動を監督しています。職員の中で最も在職期間が長いため、IPC社の史学者とも言えるでしょう。
Warner
現在、設計に関する規格はいくつありますか?
Bergman
たくさんあります。その一部は、リジッド基板、フレキシブル回路、高速設計のほか、プリンテッドエレクトロニクスに関する規格です。他にも、製造可能な設計を行うためのベストプラクティスを設計者に提供するDFMなどがあります。
Warner
読者の皆さまはまだご存じないかもしれないので、IPC規格がどのように作られるのか教えていただけますか?
Bergman
まず、IPC社の職員や担当者が規格を策定することはありません。IPC委員会において、数百人に及ぶ対象分野の専門家と業界専門家のボランティアの総意によって作成されます。規格の健全性が維持され、技術の進歩に合わせて絶えず更新されるよう、このプロセスは厳格に進められます。
Warner
Bergmaさんとしては、アルティウムのNexarパートナーになることの価値をどのように見ていらっしゃいますか?
Bergman
エレクトロニクス業界は複雑でペースが速いため、特定の専門分野に深く入り込みすぎ、重要な情報や知識、リソースを見失ってしまうことがあります。IPC社で仕事をしている私でさえ、すべてを把握しきれないことがあるくらいですから。そのため、設計規格やトレーニング教材など、IPCのリソースを、設計者の方々にNexarを通じて簡単に利用していただけるようにする予定です。また、高校、専門学校、大学の学生が業界とつながれるよう、アルティウムの教育部門とIPC Education Foundationが連携することで、次世代のエレクトロニクス専門家をサポートしていきたいと考えています。
Nexarは、IPC社が今後も製造業者を含めたエレクトロニクスエコシステム全体に価値を提供するのに役立つでしょう。これは業界全体にメリットをもたらします。
Warner
IPC社には「IPC Edge」と呼ばれる学習プラットフォームがあり、Nexarを通じてAltium 365のユーザーに提供される設計コンテンツなど、さまざまな種類の学習コンテンツが用意されています。これについて教えていただけますか?
Bergman
インタビューの前に少し調べてみたのですが、現時点で168時間に及ぶインストラクター主導の学習コンテンツが提供されており、これはさらに拡大される計画です。これらのコースでは、設計者になったばかりの人から、組み込みシステムやフレキシブル回路、軍事/航空などを扱う専門設計者まで、さまざまな設計者を対象に指導が提供されます。たとえば、設計者が製造向けの設計を行えるよう、自らの知識をさらに広げたいと考えているとしましょう。そうした場合には、5年以上の経験を持つ設計者を対象にCIDコースとCID+コースが用意されています。
Warner
IPCのメンバー、Altium Designerを利用する設計技術者、そしてエレクトロニクス業界にとって、このパートナーシップを有益なものにするための新しい方法を、IPC社とアルティウムが協力しながら時間とともに特定していけるものと確信しています。設計者と業界の橋渡しする試みの1つが、AltiumLiveとIPC APEX EXPOの同時開催ということですね。今回の同時開催は、IPC社とアルティウムのコミュニティの物理的な隔たりをなくすための第一歩となるでしょう。
こうしたイベントとコミュニティがそれぞれの場所やNexarでどのような相乗効果をもたらすのか楽しみです。本日は貴重なお話をありがとうございました。
Bergman
こちらこそ、ありがとうございました。アルティウムのチーム、設計コミュニティ、エコシステムのメンバーの皆さまと1月にお目にかかるのを楽しみにしています。