インタラクティブなPCB自動配線を最大限に活用するPCB配線

投稿日 十月 13, 2017
更新日 十二月 19, 2020

屋根の上の作業者

 

数年前、私は家の屋根を替える手伝いをしました。最初の作業は古い屋根板の撤去でした。1度に1枚ずつ屋根板を引きはがして私は得意満面でしたが、プロの屋根職人がこちらにやって来て首を左右に振りました。その職人は、雪かきのようなシャベルを使って、私が手で5枚引きはがすより少ない時間で200~300枚の屋根板を撤去しました。その日、私は屋根の上で、よい仕事をするためには常によりよい方法を探す必要があることを学びました。

 

PCB設計の配線でも、私たちは作業を行うためのより効率的な方法を求めます。設計者は、おそらく、可能な限り最も整然とした配線を手動で行うのに必要な時間がわかっています。また、オートルーターならより短時間で作業を完了できるが、望ましくない配線結果になることも知っています。屋根板をはがすためのより有効な方法としてシャベルがあったように、私たちには、より効率的に配線できる自動インタラクティブルーターがあります。

 

「自動インタラクティブルーター」という語をあまりご存知ない設計者にとって、これは比較的新しい配線技術です。この機能は、手動による配線の外観と精度を提供しながら、1秒あたり約1つのネットを配線できるよう設計されています。自動インタラクティブルーターはバッチオートルーターではありません。また、基板全体を配線するようにも設計されていません。これは、ユーザーがコントロールし、ルーターが作業を行う、インタラクティブなPCB自動配線機能です。

 

自動インタラクティブルーターは、ほとんどの場合プロセスの時間を短縮できますが、これによってとりわけ効率化される回路の領域があります。特に、レイヤーを変更せずに特定の順番で接続する必要がある単一または複数のネットがそれです。さらに具体的には、point-to-point配線、BGA breakout配線、バス配線などです。

 

Point-to-point配線

ご存知のとおり、PCBには多くのpoint-to-point接続があります。例えば、狭い回路グループのコンポーネントピンを接続する短いネット、SMTパッドからのビアのエスケープパターン、基板の全長にわたるネットなどです。手動での配線は難しくはありませんが、時間がかかります。オートルーターは非常に短時間で配線できますが、基板の他の部分に望ましくない配線が行われる可能性があります。オートルーターの使用を短い接続に限定することはできますが、使用に先立ち設定時間が余分に必要になります。

 

自動インタラクティブルーターは、信じられないくらい高速で同じ配線を行います。ユーザーは、配線するネットを選択してルーターを動作させるだけです。自動インタラクティブルーターは、データベースで設定済みの設計規則に従い、可能な限り最短の経路を使って配線を行います。また、オートルーターでは必要となるような面倒な設定はありません。

 

コンピューターのマザーボードの回路

自動インタラクティブルーターは最短でpoint-to-point接続をするようにうまく機能します

 

BGA配線

BGAから手動で配線する前に、最適なネットの接続順序を明らかにしておく必要があります。設計者が可能な限り最も効率的な配線パターンで配線し、BGAを接続するには、この順序が重要です。効率的な配線パターンは、基板に配線を追加するための空きスペースを残すだけでなく、ビアを不要にします。ビアは他の配線に必要になるかもしれないスペースを使ってしまいます。また望ましくない信号特性を引き起こす可能性があります。オートルーターによるBGA配線では、通常オートルーターが最適なネットの接続順序を選択しないので、実際のところビアの数が増えます。

 

このような場合、自動インタラクティブルーターが役に立つことができます。自動インタラクティブルーターは、ユーザーに代わってすばやくBGA接続の順序を決定します。ユーザーが選択したネットは、配線が有効になっている基板レイヤーにトレースを均等に配分できる順序で評価されます。続いて、ビアを使用せずに統一性のある精密な配線パターンでBGAを接続するよう、配線が行われます。これらの統一された配線パターンでは、後のトレース調整や配線編集のために必要な予備の基板スペースができます。

 

コンピューターのマザーボードのトレース配線

バス配線で、自動インタラクティブルーターは別の強みを発揮できます

 

バス配線

多くの場合、バスは統一された配線パターンを作成するため、手動で配線します。統一された配線パターンでバスを配線しなかった場合、バスの信号特性に関する問題が発生する可能性があります。統一性のあるパターンのバス配線を手動で行う場合の欠点は、時間がかかるということです。バスには多数のネットがあり、また基板によっては複数の異なるバスがあります。その例として、ネット数が多い複数のバス配線で構成されるDDR(double data rate)回路が挙げられます。

 

自動インタラクティブルーターは、ユーザーの代わりにバスのネットを配線しますが、コントロールはユーザーが行います。最初に、ユーザーが配線対象のバスのネットを選択します。次に、基板上に、バスの配線を行いたい経路を描画します。この経路は、バスの方向と幅をルーターに指定するテンプレートです。自動インタラクティブルーターは、その経路やデザインルールに従い配線します。ルーターはすばやくこの作業を完了し、結果として、非常に整然としたバス配線パターンが得られます。

 

屋根板を撤去するためにはシャベルがとても有効な手段だったように、PCB設計の配線にとっては自動インタラクティブルーターがはるかに有効な手段です。このルーターの最適な使用方法を把握することは、よい仕事をするための鍵です。上記で、使用方法の中から3つの方法を説明しました。Point-to-point、BGA、バスはいずれも、自動インタラクティブルーターがユーザーの作業を有効にサポートできる配線領域です。

 

配線は、よりよい作業のためにAltiumがお手伝いできる、PCB設計プロセスの一部です。Altium Designer 18は、強力なリソースを備えたPCB設計ソフトウェアで、ActiveRouteによる自動インタラクティブ配線もそのリソースの1つです。次のPCB設計の配線にActiveRouteがどのように役立つことができるか、関心をお持ちですか? アルティウムの専門家にお問い合わせください。

 

 

 

 

 

 

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