ESDとは何か、ESDはどのようにPCB設計に影響するか?

Zachariah Peterson
|  投稿日 2017/06/9, 金曜日  |  更新日 2020/12/30, 水曜日
ESDとは何か、ESDはどのようにPCB設計に影響するか?

激しい雷雨

 

 

2、3年南部に住んだ後、乾燥した西部に引っ越したところでした。私は、ここで育ちましたが、しょっちゅう静電気がバチッと起こるのを忘れていました。南部は湿度が高いので、空気の導電性が高くなります。一方、ここでは空気が乾燥し、絶縁されているので、静電気の衝撃は、ずっと大きくなります。子供の頃、靴下でカーペットの上を走り回り、お互いに静電気のショックを与えようとしたものです(結婚式では大いにひんしゅくを買い、注意されました)。

ショックを受けるごとに、今でも驚きますが、被害はありません。電子機器の場合は、そうはいきません。人が感じないほどのわずかな電圧によって破壊される場合もあります。その結果、PCB設計での軽減や保護を計画することが重要になります。

 

 

カーペットで靴下を履いている人

故意でなくても歩くだけで、ショックに十分な電圧差が簡単にできます。

 

 

ESDとは何か?

静電放電(ESD)が発生するのは、電荷の異なる2つの物体が、物体間の絶縁が破壊されるほど近づいた、または帯電したときです。家庭用製品の場合、この破壊は通常、空気中で発生し、電圧は40kV/cmを超えます。

稲光は、最も身近なESDであり、雲と地面が巨大なコンデンサーを形成します。それほど劇的ではありませんが、夜にフリースやウールの毛布を振ると、小さな閃光が飛ぶのを見ることができます。

 

 

 激しい雷雨

稲光は大規模な静電放電であり、雲と地面の間の空気の絶縁が破壊されたときに起こります。

 

 

これがPCBにどう影響するのか?

人やパッケージ、ケーブル、毛皮で覆われたペット、または反対の電荷を含む他の物体に触れると、または接近すると、どのPCBもESDの影響を受ける可能性があります。触れると、その電圧が放電され、比較的大きな電圧スパイクが発生します。電圧スパイクが逃げる際、放電電流がPCBで電磁場を生成します。ESD保護の目標は、放電とそれによって生じるEMの影響を最小化することです。

特に、多くの最新のチップセットは、非常に小さなリソグラフィパターンを使って作成され、高電圧に対する耐性が、ほとんどまたはまったくありません。その動作電圧である3.3Vを超えるDC値でも同じです。これらのコンポーネントの1つに直接到達するESD事象は通常、悲惨な結果をもたらし、ICを完全に破壊していまいます。

PCB設計のほぼあらゆる要素(トレース、配線、レイヤー、コンポーネント配置、スペーシング)が、基板のESD保護に影響する可能性があります。つまり、設計プロセスの初期にESDを考慮する必要があります。そうしないと、配線やコンポーネント配置の問題を修正するため、大規模なPCB設計変更が必要になるおそれがあります。

製品でESDの原因になるのは何か?

翼竜のような幅広い翼や、静電気を集める大きな足を持つ巨大生物を回避しても、まったくありふれた活動からESD事象は発生します。しばしば、歩くだけでも、普通のコンポーネントを破損するのに十分な電荷が蓄積されます。

PCBでは、放電は通常、ユーザーインターフェイスまたは別の入力で起こります。ケーブルを差し込んだり、ボタン、キー、または画面を押したり、あらゆる活動によって、しばしば放電が発生します。また、コンポーネント自体に触れることが、非常に悪い結果になる場合もあります。私は、それによって多くのRFモジュールを失いました

 

 

古いコンピュータースピーカーの入力

プラグやコネクタは、消費者向け製品で最も一般的なESDの原因となります。
 

 

どのように基板を保護するか?

PCBのための最初の防衛線は、外部接続から基板を保護することです。これは、ユーザーが製品に関与する最もよくある事例なので、慎重に考慮する価値があります。何かを差し込んだり、ケーブルを抜いたり、ボタンを押したりするたびに、機器にはESDのリスクが発生します。

PCBで、全てのコネクタの接続に、銅箔のランド、つまりパッドを使用してください。入力のショックが基板の他のコンポーネントにすぐに伝達されないよう、パッドをPCB GNDから離しておく必要があります。

GNDに接続する代わりに、各外部接続でTVS(過渡電圧サプレッサー)を使用して、基板とその敏感なコンポーネントを保護してください。TVSは、ダイオードの小さな回路であり、ほとんどの電圧入力をブロックして、高電圧条件ではブレークダウンを生じるため、PCBの他の部分を保護するのに役立ちます。

利用すべき他の設計実践がいくつかあります。

  • 回路ループを減らす

  • 優れた接地方法を使用する

  • 寄生インダクタンスを最小化する

  • トレース長を制限する

今後数週間にわたって、これらのポイントについて詳しく説明します。

部品の電圧許容差を追跡する、トレース幅を確認する、他の全ての要件を把握している、というのは面倒な場合もありますが、十分に保護された基板を設計するのに必要な部分であることは確かです。Altium VaultおよびAltium Designerの機能など、優れたPCBツールによって、要件やデザインルールの追跡をより簡単にできます。すると、PCB設計に集中できます。Altiumの担当者が、すぐにお手伝いします。それとも、自宅で飼い犬に風船をこすりつけて毛を立たせ、ESDをテストした後にしましょうか。

ESDに関するご質問は、アルティウムの担当者までお問い合わせください

 

 

 

 

 

筆者について

筆者について

Zachariah Petersonは、学界と産業界に広範な技術的経歴を持っています。PCB業界で働く前は、ポートランド州立大学で教鞭をとっていました。化学吸着ガスセンサーの研究で物理学修士号、ランダムレーザー理論と安定性に関する研究で応用物理学博士号を取得しました。科学研究の経歴は、ナノ粒子レーザー、電子および光電子半導体デバイス、環境システム、財務分析など多岐に渡っています。彼の研究成果は、いくつかの論文審査のある専門誌や会議議事録に掲載されています。また、さまざまな企業を対象に、PCB設計に関する技術系ブログ記事を何百も書いています。Zachariahは、PCB業界の他の企業と協力し、設計、および研究サービスを提供しています。IEEE Photonics Society、およびアメリカ物理学会の会員でもあります。

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