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Thought Leadership
複雑なパッド形状の実装方法
PCB設計への複雑なパッド形状の実装方法 大部分のコンポーネントのパッケージのパッド形状は、共通して単純な長方形または円形です。そのようなパッケージのフットプリントを作成することは、手作業でも、自動IPCフットプリントジェネレーターを使っても、簡単な作業です。しかし時として、コンポーネントのパッケージは複雑なパッド形状を必要とし、それらをうまく調整するのに人手による多くの労力と余分な時間が必要になることがあります。複雑なパッド形状を素早くPCB設計に実装し、時間と労力を節約する方法があれば非常に便利です。 複雑なパッド形状を素早く設計に配置 場合によっては、設計の際に幾何学的に複雑または不規則な形状のパッドが必要になることがあります。例えば、LED照明のコンポーネントは、複数の切り抜かれた曲線を含む独特な形状の放熱パッドを必要とする場合があります。そのような曲線は、複数の標準の円形/長方形パッドを組み合わせることや、フィルまたはリジョンを手作業で配置することでは実装できません。それを行うには、見落とされがちだった1つの方法があります。つまり、閉じた輪郭線を形成する一連の直線と円弧として必要な形状の輪郭線を配置(またはインポート)できる場合は、その輪郭線そのものを、パッドを定義する精密な形状のリジョンにPCBライブラリエディター内で簡単に変換できます。その上、そのリジョンオブジェクトのプロパティ設定を使って、はんだペーストマスクをDRCルールで自動的に制御できます。この方法をもっとよく理解するために、以下に示すBourns社SRR5028シリーズシールド付きSMDパワーインダクターのフットプリントを作成することでこのプロセス全体を詳しく検討できます。まず、この例の製品(製品番号SRR5028-101Y)のデータシートが部品メーカーのウェブサイトの こちらにあります。この2ピンデバイスの各パッドは半径2.2mmの切り抜かれた曲線を含んでいます。次に、データシートに記載されている例を使ってパッド形状の輪郭線を定義してみましょう。 パッド形状の輪郭線の定義 SRR5028シリーズのデータシートの推奨レイアウトのセクションに、コンポーネントのパッドの主要な寸法が原点に対して図示されています。コンポーネントの原点に対する各パッドの主要な寸法を取り込むために、PCBライブラリエディター内でメカニカルレイヤーに6つの直線と1つの円を配置します(図1参照)。これらの直線と円の正確なサイズと配置が、部品メーカーのデータシートに記載された寸法と完全に一致していることを確認します。部品メーカーの寸法を正確に再現できるように、PCBライブラリエディターのスナップグリッドを0.05mmに設定します。 部品メーカーのデータシート(左)から作成したメカニカルレイヤーの輪郭線(右) コンポーネントのパッドの主要な寸法を配置および確認したら、メカニカルレイヤー上のパッド形状を表す2つの閉じた輪郭線のみが残るように、無関係な直線または円弧を全て切断、リサイズ、除去します。この例では、閉じた輪郭線を手作業で作成および確認しました。その代わりに、DXF/DWGフォーマットから複雑なパッド形状の輪郭線をインポートすることもできます(そのようなデータが存在し、それを使う方がより実用的である場合)。 Altium Designerで複雑なパッド形状を簡単に作成またはインポート 部品メーカーの推奨レイアウトでは、一部のコンポーネントで複雑または不規則なパッド形状が必要となることがあります。複雑なパッド形状を素早く実装する簡単で効率的な方法があることを常に心に留めておいてください。直線と円弧を使った複雑なパッド形状の正確な輪郭線を作成またはインポートすることで、結果をリジョンオブジェクトに変換できます。 複雑なパッド形状をAltium Designerに素早く実装する方法の詳細をご覧になるには、無償のホワイトペーパー 『複雑なパッド形状の実装方法』を今すぐダウンロードしてください。
Thought Leadership
PCB設計プロセスを容易にするモジュールの使い方
画像出典: Adobe Stockユーザー alexbrylovhk ヨセミテへの初めての旅で、私はとんでもなく大変なことをしようとしていました。大きな山と無謀な計画。私はクラックにすっぽりと入り込んで身動きが取れなくなってしまいました。一晩の緊急野営の後、私のプロジェクトは終わりを告げられ、谷底に戻った私は征服できなかった山を見上げる羽目になりました。PCB設計でも、概念的な仕様を実際の設計に移す際に適切に計画を立てないと、空しく終わったこの登山のような結末になる可能性があります。同時に考慮すべき要素が多数あります。例えば、空間とパフォーマンスを最適化するため、主要コンポーネントをどの場所に配置するか、どのコンポーネントを最初に配置するかなどがあります。また、サブシステムをどこに収納するか、どの配置が結果的に最もきれいにトレースできるかなども検討する必要があります。このような最初の決定事項は、面倒な作業だったり、先送りされたり、ヨセミテ登山のように完全に最初からやり直しをする必要があったりする可能性があります。 設計者の障害物を打ち破るため、仮想コンポーネントにモジュール化することで設計の概念を容易にします。 画像出典: Flickrユーザー Uwe Hermann (CC BY 2.0) 山を分割する 登山者が山にアプローチする方法と同じように、PCB設計を管理可能な「ピッチ」に分割し、頂上に到達するまで各ピッチに個別に取り組みます。設計を開始するには、設計内に自己完結している部分やよく知っているインターフェイスがある部分を探します。それらの部分は、最終的には詳細に設計する必要がありますが、最初の段階では基板上に存在することを明らかにしておくだけで十分です。それらの部分が特定できたら、プレースホルダーを使って一時的に作業対象から外し、「ブラックボックス」として扱います。これにより、登山ルートを計画するように、全体像に焦点を絞り、後で各部分に戻って作業を進めることができます。設計にプレースホルダーを使用してレイアウトのセクションに優先順位をつけることを、一般に「設計のモジュール化」と呼びます。 モジュール化を検討する場合、設計で使用する実際のコンポーネントは、2つの理由でブラックボックスになります。 それらのコンポーネントは、ピン配列および仕様で明確に定義されたインターフェイスを提供します。 パフォーマンスは事前定義され、インターフェイスに固有であることがわかっています。この結果、それらがインターフェイスで どのように機能するかを定義する必要はなくなります。 アンペア、CPU、レギュレーターなどの内部のしくみを示す必要があるとしたら、プロジェクトがどれほど複雑になるか想像してみてください。極めて複雑になるはずです。
Thought Leadership
設計の準備: 設計データの集中管理
私は料理が大好きです。レシピを調整して味とバランスをびったりにする満足感。キッチンのにおい。「 パパのミートボールは最高だね」なんて言いながらパクパク食べている息子を見るときの誇らしい気持ち! でもレシピをゼロから考えるのは大変な時間が掛かるし、普通はそんな時間はありません。乱切りしたり、さいの目に切ったり、量を計ったり、冷蔵庫と戸棚の間を行ったり来たり。 料理番組ではどうしてあんなに簡単に見えるのでしょう? 理由はいたって簡単で、料理番組では事前にすべて準備してあるからその時間がいらないというだけなのです。プロのシェフは事前にすべての食材を用意しておくことを「 mise en place(下ごしらえ)」と言いますが、これはフランス語で「その場に置いておく、用意しておく」というような意味です。普通の家庭よりプロのシェフの料理の方が速いのは、そのためです。 EDAのブログでなぜ料理の話をしているかですって? 実は、料理には設計プロセスに活かせると思えるヒントがいくつかあるからです。つまり、電子機器の設計と料理をうまくやることには、いくつかの類似点があるのです。計画し、設計し、テストし、その方法を捨ててやり直し、微調整する。こういった過程を経て最終的な料理や製品ができるわけです。必要なのは正しいスキルだけではありません。創造力も必要です。創造のための時間を確保するには、必要なときにその都度タマネギを切るのではなく、いつでも使用できるようにあらかじめ準備しておく必要があります。では「EDAでこのタマネギに相当するもの」は何でしょうか? 設計データをあらかじめ定義し承認し簡単にアクセスできるようにしておく 新たに設計を開始する際にすることを考えてみてください。基本的なファイルフォルダーの構成や回路図の最初の2ページとプリント基板ファイルなど、プロジェクトの基本的な骨組みを固める必要があります。回路図には、枠線や使用するタイトル欄が必要です。プリント基板については、基板外形を考えレイヤースタックを定義する必要があります。設計規則も確立しておく必要があります。もちろん、使用承認されたコンポーネントのライブラリにアクセスできるようにしておくことも必要です(場合によってはこれらを開発することが必要かも知れません)。後で出力プロセスに時間が掛からないように事前にしっかり決めておけば理想的です(詳しくは、 こちら、または こちらをご覧ください)。 これらの情報がすべて1つの場所で集中管理されており、組織内の全員が事前に定義され承認された設計要素にアクセスできプロセスをスピードアップできるようになっていたらどうでしょうか? 準備作業が済んでいる状態で新たなプロジェクトを開始できるとしたらどうでしょう? 誰でも使用できるように自分の設計要素を整理する Altium VaultはEDAの中核をなすデータ管理ソリューションであり、設計のためのキッチンを五つ星のレストランのように機能させることができます。Altium Vaultの主な機能はコンポーネントのデータを保存することにあります。ライフサイクルが管理されている承認済みの部品を組織内の全員が利用できるようにしておけば、作業の重複による時間の浪費を防止できます。新しい部品の開発が
Thought Leadership
PCB設計で銅箔を最大化する方法: 銅箔流し込みと銅箔配置の長所と短所
画像出典: Flickrユーザーbillautomata ( CC BY 2.0) PCB設計には「銅箔は自由」という格言があります。これは、PCB設計者は逆に考える必要があることを意味します。最初、基板には一面に銅箔が張られ、必要のない銅箔を取り除きます。ほとんどベアボード状態の同じサイズの基板と比べて、ほとんど銅箔である基板を作る方が、素早く作成でき、無駄がなく、コストも安くなります。適切なテクニックを選ぶかどうかで、作業が楽になるか、ストレスがたまるかの違いが生じます。 銅箔を最大化する方法は、一般に2つあります: 手動 – 通常、この方法の方が迅速ですが、雑になります。具体的な図形を定義、配置することによって、銅箔をオブジェクトとして素早く配置できます。これらのオブジェクトは、ネットに割り当てることができ、導通試験の間に、ショートやエラーがないかチェックします。このテクニックは、短納期の場合やプロトタイプの作成に好まれます。 自動 – この方法の方が、時間がかかります。一方、銅箔流し込みによって、銅箔使用の最大化がより簡単にできます。基板をレイアウトし、レイアウトに収まる銅箔の図形を配置する代わりに、基板領域の周囲に境界を描き、銅箔を流し込むことによって、銅箔を最大限に残すことができます。 銅箔流し込みが時間を節約できる仕組み 銅箔を流し込む場合、境界が定義され、流し込み操作が実行されると、その内部は全て自動的に接続されます。その領域が大きい場合、珍しい図形である場合、または形が不揃いの複数のオブジェクトで満たされている場合、通常、このテクニックの方が簡単で迅速です。流し込み操作によって、複数の不揃いな領域が自動的に塗りつぶされ、さらに、その領域の他のパーツやトレースを自動的に分離します。 GNDなど、同じネット上のオブジェクトは全て、セットアップページまたは設計ルールに従って接続されます。銅箔流し込みで自動的に対応できるオブジェクトは、ビア、トレース、ネット、デカル、空間領域、パッドです。適切に使用すれば、銅箔流し込みは、自動的に、必要な接続を行い、不必要な接続を行いません。これらの接続は、 導通チェッカーツールを使用して再確認できます。 画像出典: Flickrユーザー
Thought Leadership
コラボレーティブデザイン パート4: IDXによる真のECAD/MCADコラボレーション
真のECAD MCADコラボレーションとは、設計環境間での移動時に詳細を保持すること以上のものです。設計変更の可視性、比較およびマージ機能、リビジョン追跡、コメントなども、共同設計の重要な要素です。このブログシリーズの最終回では、IDXがこれまでで最も良い解決策かもしれないという点について見ていきます。 このブログシリーズの最後の部分で、ECAD MCADコラボレーション市場について、そして2つの領域間で設計データを行き来させるための良いシステムがいかに重要かについて深掘りしました。しかし、今日使用されている一般的な方法を分析しても、より良い方法があるのではないかという疑問が残りました。なぜ、電気設計者と機械設計者の間で真のコラボレーションシステムを持つことができないのでしょうか? そして、私が言いたいのは、環境間を行き来する際に詳細を保持することだけではありません。それも重要ですが、真のコラボレーションとは、可視性、比較、マージ、追跡、および設計変更にコメントする機能を備えたシステムを使用して、同時にまたは並行して設計することを意味します。利用可能なオプションを見てみると、それぞれに長所と短所があるいくつかの解決策に出会いました。 図1:真のECAD/MCAD協業は、設計者に段階的な変更を可視化し、同時に設計を可能にします。コネクタを移動する必要がある場合、両方の設計者がその変更を確認し、必要に応じて変更を加えることができます。 ネイティブECAD MCAD協業 すべての電気および機械設計に単一のソフトウェアツールを使用できることほど良いことはありません。ECADツール内から直接、押し出しモデルやエンクロージャを作成する機能など、毎日この目標に近づいています。しかし、単一アプリケーションアプローチには現時点で必要なすべての機能が備わっていないかもしれませんし、設計者は機械設計に対して単に自分の好みを持っているかもしれません。 サードパーティアプリケーション 電気および機械CADパッケージに直接プラグインできる外部ツールがいくつかあり、2つのプログラム間のより良いゲートウェイを提供します。これにより、よりシームレスな移行と協業が可能になりますが、それはまた、独自の細かな詳細とニュアンスを持つ別のツールです。さらに、物事がうまくいかないときにトラブルシューティングする必要があるチェーンの別のリンクです。 中立ファイルフォーマット ニュートラルファイル形式は、分類が少し難しく、基本的には各設計ドメインの外に存在します。これらは、ソフトウェア環境のいずれかと直接的なインターフェースを必要とせず、時間を要する接続のトラブルシューティングの問題を避けることができます。反面、各ツールはこの標準インターフェースに書き込むことができ、ネイティブな方法とツールセットを維持しながら、各デザイナーのワークフローが一貫していることを保証します。 IDXについてはどうでしょうか? これでIDXについて触れることになります。IDX形式は、他の協力的なECAD/MCAD形式から引き出された最良の特徴の詰め合わせのようなもので、真の協力を可能にするという追加の利点があります。これはProSTEP EDMD形式に基づいており、それ自体がSTEP AP 210およびAP 214形式に基づいていました。IDXとSTEPなどの標準ファイル形式との違いは、IDXが増分変更を追跡し、電気および機械設計者が受け入れるか破棄するかを選択できることです。ここでの動作は次のとおりです: IDXベースラインファイル
Thought Leadership Engineering News
PCB製造において避けるべき5つの要素
最後のデザインレビューが完了し、必要な承認の署名をもらい、作業がほとんど完了した状況を想定してみます。コンポーネントが調達され、基板のレイアウトが完成しても、最大の課題がまだ残っています。設計の意図を製造部門へ正しく伝えなければ、設計にかけた何か月もの時間と、チームの労力は水泡に帰すことになります。 しかし、このような設計の後段階の処理は、どのような方針で行えばいいのでしょうか? 製造部門に必要なすべてのファイルを出力するためのツールは用意されています。しかし、デジタルの情報から物理的な品物への翻訳プロセスは、それほど簡単で明瞭なものではないのは明らかです。実際のところ、何か月もかけて完璧な基板レイアウトを作成しても、設計の意図を製造用ドキュメントで明確に伝達できなかったために、大きな失敗が引き起こされることも考えられます。 ドキュメント作成プロセスにおいて遵守するべき真理が1つあるとするなら、それは従来の常識を否定し、 より多くの詳細を記載する方が、少ないよりも良いと考えることです。それでは、ほとんどのPCB設計者が一般にドキュメント作成プロセスで見過ごしている細かい詳細は何でしょうか? PCB製造業者から最も嫌われる5つの点の概要をここに示します。ドキュメント作成のプロセスにおいて、これらの点に留意すれば、設計が却下されることを防止できます。 #1 - PCBドキュメントの内容が不完全である 当然のことのようですが、PCBの設計プロセスや仕様を、製造業者が必要とする重要なファイルへ変換する作業は決して単純明快なものではありません。そして、製造業者へ送るドキュメントに1つの間違いがあっただけでも、製造業者で大きな混乱を招き、生産プロセス全体を停止させてしまう可能性があります。不完全な内容のPCBドキュメントが製造業者の手に渡ることを防ぐため、次のようないくつかのガイドラインを頭に留めてください。 使用しているPCB設計ツールで、出力ドキュメントを手作業で生成する必要がある場合、出力するファイルに注意し、それらが単一のリポジトリ内で整理されていることを確認します。 製造業者に製造用のファイルを送付する前に、製造業者がどのようなファイルを、どのフォーマット(Gerber、ODB++、その他)で要求しているのかを正確に確認しておきます。 単一の社内用CADファイルを製造業者に送り付け、そのファイルを読み取れるソフトウェアを相手が持っていることに期待してはいけません。 簡単に言うと、完全なPCBドキュメントパッケージには、製造業者に必要なすべてのファイルが、推定作業の必要なしに簡単に解釈できるようなファイル形式と構造で、整理されて含まれている必要があります。製造業者に冗長なファイルや、エラーの含まれているファイルが渡った場合、製造プロセスの遅延を引き起こすことになり、是非とも回避すべき事態です。 完全なドキュメントデータパッケージ(出力ジョブファイル) #2 - クラスの種類が示されていない クラス2はPCBドキュメントの業界標準ですが、もし別のクラス(1または3)で設計を行った場合、マスター図面は大幅に変化します。このため、次のガイドラインに従って、正確にどのクラスが使用されているのかを明確にすることが重要です。 製造業者が、標準のクラス2プロセスが必要なものと想定しないよう、PCB製造および組み立て図面の両方に、必要なクラスで推奨される構築標準を明確に示しておくことをお勧めします。
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