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クロストークと結合 クロストークと結合 クロストークや結合という言葉は、ある伝送線路から近くの伝送線路への電磁エネルギーの注入を表すために使用されます。基板でのクロストークは通常、同じレイヤー上に並んだ2つのトレース間、または隣接するレイヤーで重なり合った2つのトレース間で発生します。この結合エネルギーが被誘導トレースのノイズとなり、振幅が大きすぎると誤動作につながるおそれがあります。このノイズがどのようにトレース間を伝わるのか、またこれを防止する方法について説明します。 これらの概念のより応用されたアプリケーションについては、以下リンクのビデオを見て、AltiumDesigner®で単一および差動伝送線路のインピーダンスを計算する方法を学んでください。 クロストークと結合 クロストークや結合という言葉は、ある伝送線路から近くの伝送線路への電磁エネルギーの注入を表すために使用されます。基板でのクロストークは通常、同じレイヤー上に並んだ2つのトレース間、または隣接するレイヤーで重なり合った2つのトレース間で発生します。この結合エネルギーが被誘導トレースのノイズとなり、振幅が大きすぎると誤動作につながるおそれがあります。ここでは、このノイズがどのようにトレース間を伝わるのか、またこれを防止する方法について説明します。 図1は、並走する2つの伝送線路を示しています。上の伝送線路は切り替えを示しており、下の伝送線路は非アクティブです。被誘導線路に沿って2つの波形が表示されています。1つは誘導線路にドライバーがある方の端にあり、もう1つは反対側の端(遠端)にあります。2つの波形の形状が異なる点に注意してください。被誘導線路のドライバー側の波形は通常、「逆方向クロストーク」または「近端クロストーク」(NEXT)と呼ばれ、被誘導線路の遠端側の波形は「順方向クロストーク」または「縁端クロストーク」(FEXT)と呼ばれます。 2つの波形の正確な形状は、伝送線路の4つの端に何があるかによって異なります。考えられるのは、短絡、終端、開回路などです。この記事の末尾に示す参考文献1では、これらの終端が非誘導線路上の信号に与える影響について詳しく説明されています。この文献によると、両線路の縁端が開回路で、被誘導線路の近端が短絡である場合に最も悪影響が大きい「ワーストケース」になります。これはほとんどのCMOS回路の動作と同じです。このような条件から、被誘導線路上に見られる波形は図1に示すものに非常に近くなると考えられます。 ここでは、この「ワーストケース」条件を使用して分析を行っていきます。 図1 並んだ2 つの伝送線路による相互作用 図2から、クロストーク(順方向と逆方向)の2つの形状が、2本の伝送線路の並走距離の長さに応じて変わることがわかります。結合が長くなるにつれ、順方向クロストークは逆方向クロストークよりも緩やかに増加します。また、逆方向クロストークはあるポイントに達すると、それ以降は結合が長くなっても増加しません。このポイントは「臨界長」と呼ばれ、逆方向クロストークがそれ以上増加しなくなるか、飽和する長さです。 順方向クロストークは逆方向クロストークより大幅に緩やかに増加し、プリント回路では並走距離が短すぎるので重大な影響を及ぼす要因にはなりません。しかし、電話線は何メートルにも及んでいたので、このクロストーク形状は電話会社にとって大きな問題でした。ここからは、逆方向クロストークの抑制方法に焦点を合わせて説明します。 図2. 順方向および逆方向クロストークと結合の長さとの関係 並走する配線での逆方向クロストークの抑制方法 伝送線路が並走している場合に結合メカニズムを決定付けるのは電磁界の磁気コンポーネントです。線路が上下に重なり合っている場合は電界によって決まります。 逆方向クロストークの抑制方法として、これまでにいくつもの方法が提唱されていますが、ここでは以下を取り上げます。 伝送線路が並走する距離の制限 2本の伝送線路間への「ガードトレース」の注入 影響を受けやすい信号の両側に対する「GND」ビア列の挿入
高速設計での伝送線路と終端 高速設計での伝送線路と終端 伝送線路は、電磁界の形でエネルギーを供給するために使う1対の導線です。大抵の人は、照明と電化製品を作動させるのに必要な電力を供給するために家庭に引かれている電線にはなじみがあります。プリント基板設計の文脈では、伝送線路とは、1つのプレーンの上または2つのプレーンの間にある1つの信号層の信号を意味します。 伝送線路と終端 このセクションの目的は、伝送線路とは何かを説明することです。それには、伝送線路上を何が移動しているのか、伝送線路上にスイッチング信号が送られた場合の伝送線路の挙動、最良の信号品質を得るために終端を付けてこれらのスイッチング信号を制御する方法が含まれます。このセクションの最後に、参考文献として読者に役立つと思われる資料の一覧を示します。 このセクションの主要部分とそれに続く部分には、有効な設計ルールとその妥当性の証拠を記載しています。筆者の考えでは、全ての設計ルールは、その限界値が何であるかはもちろんその証拠も伴っている必要があります。 伝送線路とは 突き詰めると、伝送線路は、電磁界の形でエネルギーを供給するために使う1対の導線です。大抵の人は、照明と電化製品を作動させるのに必要な電力を供給するために家庭に引かれている電線にはなじみがあります。プリント基板設計の文脈では、伝送線路とは、1つのプレーンの上または2つのプレーンの間にある1つの信号層の信号を意味します。図1に、通常の基板で使う伝送線路の4つのタイプを示します。図に示すように、2つの主な種類があります。ストリップラインとマイクロストリップラインです。前者は2つのプレーンの間に伝送線路があり、後者は1つのプレーンの上に伝送線路があります。プレーンを表すのにGNDという語が使われていないことに注意することが重要です。電磁界を議論する場合、プレーンのDC名は重要ではありません。 図1. PCB 伝送線路の種類 これらの4つの伝送線路構成のさまざまな組み合わせを使ってPCBスタックアップを作成します。信号が1つの層で並んで走る際、または隣接する信号層の信号の上に信号が走る際のクロストークの制御については、次のブロックで説明します。インピーダンスの計算についても、以下のブロックで説明します。 さまざまな実装の至る所で伝送線路を扱うことは負担かもしれません。しかし、適切なPCB設計ソフトウェアがあれば、PCBレイヤースタックアップを簡単かつ優雅に管理すると同時に、スマートなデザインルールチェック機能を使ってインピーダンスとクロストークを制御できるでしょう。Altium Designerでは、その使いやすい設計環境を設計する際に、これらを念頭に置きました。 Altium Designer の統合設計環境 伝送線路を何が移動しているのか? 伝送線路を適切に管理するため、伝送線路上で移動しているものを知ることは重要です。電子工学の初歩では、電圧と電流、信号として特定される電流の流れについて教わります。残念ながら、これは、信号がどのように発生するかという観点からはあまりにも単純すぎる見方です。電流の流れのみに注目した場合、信号の品質は損なわれる可能性があります。 多くの人は、電気信号が光速(真空中で秒速186,000マイル(300,000キロメートル))またはそれに近い速度で移動することを知っています。電流の流れ(銅の導線中の電子の移動に対応します)は毎時約 1375マイル(2200キロ)の速度で移動します。ですから、信号は電流の流れではあり得ません。信号は電磁界です。図2に、ストリップライン伝送線路の周囲の電磁界の様子を示します。線路は、ページから出てくるように2つのプレーンの間を通っています(断面図を示しています)。 図2
マイクロビア製造プロセスとHDI基板 マイクロビア製造プロセスとHDI基板 初期のHDI製造 高密度相互接続プリント基板に関する取り組みが始まったのは、研究者たちがビアサイズの縮小方法を調べ始めた1980年のことです。最初に革新を起こした人物の名前は分かりませんが、初期のパイオニアには、MicroPak LaboratoriesのLarry Burgess氏(LaserViaの開発者)、TektronixのCharles Bauer博士(光誘電ビアの開発者)[1]、ContravesのWalter Schmidt博士(プラズマエッチングビアの開発者)などがいます。 初の製品版のビルドアップ基板(シーケンシャルプリント基板)は、1984年のHewlett-Packardによるレーザードリル加工FINSTRATEコンピューター基板です。1991年には、日本のIBM野洲によるSurface Laminar Circuit(SLC)[2]とスイスのDyconexによるDYCOstrate [3]が続きました。図1は、初のHewlett Packard FINSTRATE基板を表紙に載せた Hewlett-Packard Journal(1983年)です。 HPのFinstrateレーザービア レーザードリル加工のマイクロビアは、HPが意図的に開発したのものではなく、新製品の32ビットマイコンチップをリバースエンジニアリングした結果としてもたらされました。「FOCUS」と呼ばれたこのチップは、NMOS-IIIで開発された32ビットのマイクロプロセッサーで、極めて大きい電流を消費するという特性を持っていました。当初意外に思われたのは、この新しいマイクロプロセッサーが、1.6mm厚の基板にある標準0.3mm径のスルーホールビアのインダクタンスをドライブできないという点です。ドライブできたのは、20~30ナノヘンリーのインダクタンスか0.125mmのブラインドビアのみでした。次の驚きは、FR-4の通常損失(Dj=0.020)をドライブするエネルギーがないことでした。そのため、純粋なポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が使用されました。ICの冷却要件によって、極小のブラインドビアと非常に低損失の絶縁体を備えたメタルコア基板が必要とされていたため、ダイレクトワイヤボンド集積回路(IC)を備えた銅コアのビルドアップ基板が作成されました。 図1. 一般生産された最初のマイクロビア。1984 年に生産を開始したHewlett Packard
高密度相互接続の導入 高密度相互接続の導入 エレクトロニクスの進化 エレクトロニクスは比較的新しい業界で、トランジスタが発明されて以来まだ65年しか経っていません。真空管が100年ほど前に開発されましたが、第2次世界大戦中に通信、レーダー、弾薬用ヒューズ(特に最初の原子爆弾に使用されたレーダー高度計用電子ヒューズ)によって開花し、世界最大の業界へと進化を遂げました。機能ユニットを形成するために、全ての電子部品を相互接続し、組み立てる必要があります。エレクトロニクスパッケージングは、これら相互接続の設計と製造を統合する技術です。1940年代初頭以降、エレクトロニクスパッケージングの基本的な構築プラットフォームは、プリント基板(PCB)です。このガイドブックでは、図1に示すように、極めて複雑なプリント基板、高密度相互接続 (HDI)を設計するために必要な高度設計アプローチと製造プロセスについての概要を説明します。 本章では、高密度相互接続方法の選択において説明を必要とする基本的考察、主な利点、起こり得る障害について紹介します。ここでの重要ポイントは、相互接続とコンポーネントの配線です。様々な種類のHDI基板や設計から選択することで、密度やエレクトロニクス組み立て全体のコストと性能にどのような影響が及ぶ可能性があるのかに焦点を当てています。 1950年代初頭以来、プリント基板がそれまで以上に普及し相互接続の密度や複雑性が急増しましたが、それでも過去10年には及びません。従来のプリント基板技術により、今日要求されていることは大部分を満たすことが可能ですが、高密度相互続(HDI)と呼ばれる製品グループが成長しつつあり、さらに高密度な相互接続の実現に向けて使用されています。このHDIがこのガイドブックのテーマです。 相互接続のトレンド 高密度相互接続の促進要因は、プラットフォーム、性能、部品の3つに集約されます。 プラットフォーム 携帯電話、デジタル家電、ウェアラブルコンピューターなどの製品市場が急成長している中、この全てが新しいチャンスであることを意味しています。HDIにより、エレクトロニクスのさらなる小型化、軽量化が可能になります。 性能 半導体の立ち上がり時間短縮、RFやマイクロ波通信の増加、通信エリアにおける80GHzまでの周波数に伴い、HDIによる性能向上の促進が望まれます。 部品 トランジスタの小型化や立ち上がり時間の高速化により進化し続けるシリコン技術は、小型のフットプリントにさらに多くのリードを備えるというチャレンジにつながっています。これは、単位面積当たりにより多く接続することと同じになります。 この全てのトレンドによって、より密度の高い相互接続、より小さな配線とギャップ寸法、より小さなビアや、より多くのベリードビアが要求されます。基板設計実務において必ずしも変化が伴うわけではありませんが、従来の構築では限界に達する可能性があり、HDI構築の設計のために設計ストラテジーを再検討する必要があります。 図1. エレクトロニクスは密度において1940 年代から、現在の3D 積層や 埋め込みコンポーネントを含む高密度相互接続へと進化している HDI多層プラットフォーム