アルティウムは、1984年の創業以来、優れた機能とユーザーインターフェイスを備えたPCB設計ツールを提供し続けています。1991年には、MS-DOSからWindowsベースへの移行を果たし、1999年には、回路図エディタとPCBレイアウトツールの統合化を実現しました。そして、2003年、統合環境は今ある形のDXPプラットフォームに移行し、現在のAltium Designerでは、64ビット環境に最適化されたX2プラットフォームに進化しました。
この間、Altium Designerは機能の強化が進み、現在では基板設計プロセス全域をカバーする業界標準ツールとして、多くの回路設計者に支持されています。
そこで、今回はAltium Designerの導入を検討されている方や、これから運用を開始される方のために、Altium Designerの概要を紹介します。
プリント基板を作成する場合には、まず、回路を設計して、それを回路図に展開します。この作業には、回路図エディタを用います。そして、その回路データをPCBレイアウトツールに転送し、部品(フットプリント)の配置と配線を行い、この作業が終われば、基板の製作に必要なCAMデータを抽出します。
また、この一連の設計工程では、ライブラリの準備やルールチェック、シミュレーションなど、さまざまな作業が必要になります。
Altium Designerは、これらの一連の工程に必要な機能を全て備えており、よほど特殊なものでない限り、他のツールの力を借りることなく設計を終える事ができます。
Altium Designerでは、最大48層までの多層基板の設計が可能です。加えて、IVH(埋め込みビア)やビルドアップ工法がサポートされており、高速・高密度が要求される最先端のデジタル基板の設計が可能です。しかし、その一方で、技術の進化と共に設計者に求められるスキルや作業量は増え続け、ツールよるサポートが不可欠になってきています。
そこで、Altium Designerには設計者の負担を軽減する、多くのインテリジェントな機能が備えられています。その代表的なものに、デザインルール機能があります。豊富なパラメータと柔軟なスコープ(対象の指定)によってルールを緻密に設定する事ができます。そして、このルールによって常にレイアウトが監視されるため、設計者は違反を気にすることなく設計作業に集中する事ができます。さらに、このデザインルールはルーム機能使って、エリアごとに設定する事もできます。
また、デザインルールは違反の検出だけでなく、自動機能をコントロールするためのパラメータとしても使用されます。例えばインタラクティブ配線時には、接続先までのルートの候補が示されます。これはデザインルールで設定された線幅やクリアランス値に基づいていて計算された最適ルートであり、設計者は試行錯誤する事なしに、最小限のクリックで接続を終える事ができます。さらに、高速回路に特化したルールベースのインタラクティブな配線機能が幾つも用意されており、これらによって設計者の負担は大幅に軽減されます。
Altium Designerでは、豊富な編集機能に加え、動作検証のためのシミュレーション機能も充実しています。
例えば、回路設計時には、アナログ・デジタル混在回路シミュレーションが可能です。さらに、プリント基板の伝送特性を予測するための、プリレイアウトSIシミュレーションも可能です。
また、プリント基板の設計時には、レイアウト済みのPCBデザインに対して、ポストレイアウトSIシミュレーションを実行し、伝送特性を確認する事ができます。
Altium Designerは、3D表示機能を備えています。これにより、メカCADを使ってIGESまたはSTEPフォーマットで作成された3D部品データをフットプリントに割付けできます。そして、部品が配置された後の状態を3D表示し、任意の方向から眺める事ができます。また、3Dによるデザインルールチェックも可能です。
また、多層基板の内部構造を3D表示させる事ができ、 IVH(埋込ビア)による複雑な層間の接続が、手に取るようにわかります。
Altium Designerは、極めて多機能なCADツールです。しかし、ただ単に多く機能が詰め込まれているだけでなく、それらが完全に一体化されています。
通常、回路図を描く時には回路図エディタを起動し、基板を設計する時にはPCBツールを起動します。しかし、Altium Designerでは、回路図エディタとPCBツールはひとつのアプリケーションに一体化されています。このため、回路図を書く場合でもPCBを設計する場合でも、別々にプログラムを起動する必要は無く、ただ一度Altium Designerを起動するだけで済みます。そして、この統合環境下では、回路図作成とPCB設計の切り替えを、ドキュメントウィンドウに設けられたタブの選択だけで行う事ができます。
さらにAltium Designerの各ツールは緊密に連動し、ツール間のデータのやり取りはバックグランドで行われます。このため、回路図からPCBにデータを転送する場合や、シミュレーションを行う場合にも、ネットリストファイルの受渡しは必要ありません。
なお、この統合環境の詳細については、Altium Designer 統合環境とはをご覧ください。
最後に、Altium Designerの数ある機能の中から、特徴的なものをリストアップしてみました。ここにあげたものは、Altium Designerの持つ機能のほんの一部ですが、まずは、この中から皆さんの基板設計に役立ちそうな機能を探してみてください。
・無制限の階層設計、マルチチャンネル設計をサポートする高度な回路図編集機能
・回路図シンボルと、PCBフットプリント、シミュレーションモデルを一体化した統合ライブラリ
・100,000個以上の回路図シンボルを含む充実したライブラリODBCによる外部データベースとのリンク
・EAGLE、KiCAD、PADS Logic、DxDesignerの回路図とライブラリデータの読込み
・PCBレイアウトに用いるデザインルールの設定
・アナログデジタル混在回路シミュレータ-、プリレイアウトSIシミュレータを装備
・最大48層の大規模・高密度な多層基板のサポート
・フレキシブル基板のサポート
・マルチボード設計のサポート
・基板内部への部品埋め込みをサポート
・放射状グリッドのサポート
・ルーム機能によるグループ配置と、領域ごとのルール設定
・高性能な自動配線機能、伝送線路シミュレータ、CAM/ガーバー編集機能
・回路図データとPCBデータとの違いを自動的検出し、その差分でデータを更新する事によって両者を整合化
・豊富なデザインルールにより設計過程の違反を常に監視
・等長、ペア配線やインピーダンスコントロールなどにより、高速伝送特性の劣化を防止
・ActiveRouteやバス配線機能などによる配線作業の省力化
・BGAパッドからの配線の引き出しを自動化
・種類の異なるPCBの組み合わせが可能な、能な面付け機能
・TrueTypeによる日本語文字の入力
・フットプリントウィザードなど、定型作業を効率化するための多くのウィザード
・高度な3D表示やメカCADとの連携機能
・Smart PDF機能などの多くの有用なドキュメント作成機能
・高度なリバースエンジニアリング機能
・伝送線路シミュレータを装備
・CR-5000、OrCAD、PADS、Allegro、ProtelなどのPCBファイルの読込み
なお、Altium Designerからプリント基板の編集機能を省いたAltium Designer SEが用意されており、基板設計を外部に委託する場合などに最適です。
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