テクノロジーは偉大なもので、確かに人生の特定の部分を楽にしてくれました。しかし、子育て、コーディング、電子機器の設計、そして時にはこのような記事を書いていると、最高のアプリを使用しても、日々のストレスを低減できなくなることがあります。例えば、私は今朝塩と砂糖を間違えて、子供の大好きなお粥に混ぜてしまいました。私の小さなミスにより、私の5歳の子供はGordon Ramseyと張り合えるくらい騒ぎ立ててしまいました。
同様に、ごく小さなミスにより、優れた設計が台無しになることもあります。非常に運が良ければ、そのミスは子供の癇癪に10分間付き合う程度の問題で済むかもしれません。残念ながら、PCB設計の世界では、これは数百もの欠陥のある設計を処理することになるのが普通です。私は5年前に、まさにこのような例を経験しました。小さな設計ミスのせいで、きっかり100台のカスタマイズされたMP3プレイヤーが、左チャンネルの音声に障害を持つことになってしまったのです。このミスは大きな苦痛であったため、今でも詳しい点を全て覚えています。
GNDが同じであっても異なる場合
MP3プレイヤー、またはオーディオをベースとする他のPCBプロジェクトの設計を開始する前に、何が重要なのかに集中する必要があります。そして、場合によってはこれは十分に明確ではありません。私は今朝、息子にお粥をあげることが目的だと考えていましたが、本当に肝心なのは正しい砂糖を入れることだったわけです。それと同様に、どのような種類の特化した集積回路(IC)を使用するかに気を取られていたところ、本当に決定的なのは電子回路における各種のGNDの重要性を知ることだったということが考えられます。大学の回路設計の講義では、電力GND、デジタルGND、アナログGNDについて学びます。
全てのGNDが同じではありません。
オーディオプレイヤーを設計するときは、アナログとデジタルのGNDを取り扱う必要があります。これらのGNDは回路図に、異なるシンボルで表示されますが、PCBレイアウトでは互いに接続されているように見えます。GND配置についてのいくつかのベストプラクティスを見ると、ほとんどの場合にこれらを単一の点、たとえばスター型GNDに接続することが推奨されています。
この助言を無視することは許されませんが、オーディオ設計の全体で最もやってはいけないことは、単一のGNDプレーンを持つことです。オーディオGNDとデジタルGNDを単一の点で接続すると、オーディオチャンネルに干渉が起き、しかも原因がそこにあると判別するのは困難です。
私は、オーディオICをマイクロコントローラー(MCU)に接続しているシリアルペリフェラルインターフェイス(SPI)の信号が干渉を引き起こしていることに気付かなければ、数万ドルの損失を引き起こし、大幅な修正を必要としたかもしれない経験があります。しかし、それに気づいても、100台のMP3プレイヤーに影響を及ぼす問題点を手作業で修正するため、私のチームは長時間の作業を余儀なくされました。
GNDの接続場所が重要な理由
この失敗から、私は電子機器の設計における最も大きな教訓の2つを得ました。まず、テクニカルユーザーガイドは常に全部読むことです。次に、各種のGNDプレーンをどこに接続するかは重要だということです。最初の教訓に従っていれば、この惨劇は避けられたでしょう。元の設計で私が失敗したのはこの部分です。
GNDプレーンでの失策は惨劇を招くことがあります。
私が設計したMP3プレイヤーは、MCUとオーディオICで構成されるものでした。MCUは、SPI経由でオーディオICへ接続されます。MP3データを継続的にオーディオICへストリーミングし、データをオーディオ信号にデコードする必要があります。私が犯した過ちは、アナログGNDプレーンをオーディオIC全体の下に配置し、2つのコンポーネント間でアナログGNDと、MCUのデジタルGNDとを接続してしまったことです。
これによって、デジタルSPI信号がアナログGNDの一部に近く、そして並列に配線されるようになり、SPIカップリングからオーディオチャンネルに干渉が発生していました。現在では私たちは、信号とGNDを多くの場合に設計における2つの異なるエンティティとして扱っています。しかし基本的な物理学では、0と1のパルスは完全な電流ループで構成されます。この場合、SPI信号のリターンパスが、デジタルノイズの干渉を受けるべきではないアナログGNDと交差していたわけです。
デジタルとオーディオのGND境界の移行によりノイズ干渉を排除する方法
2番目のリビジョンを作るときは、確実を期すため、オーディオICのテクニカルガイドを3回読みました。一部のICは、パッケージからアナログとデジタルのGNDが両方出ています。ただし、これらの用語は誤解を招く恐れがあります。これらは多くの場合チップの内部的な動作を参照しており、パッケージの外側でただちに、互いに結合する必要があるためです。その後で、これら2つのGNDの接続は、アナログとデジタルのGNDが接続する単一の点になります。そして、2つのプレーンのリターン電流パスは互いに交差せず、どの信号とも干渉しなくなります。
SPI信号のリターンパスが明確にデジタルGND上に存在する状態で、私は短い祈りを捧げてから、MP3プレイヤーの修正された2番目のバッチを製造しました。幸い、これらの新しい製造単位には予期しない問題は発生しませんでした。
設計に含まれる各種のGNDプレーンについて問題を抱えているなら、Altiumの専門家が助力を提供します。私の犯した過ちを繰り返さないよう、Altiumの専門家にご相談ください。優れたオーディオ回路を設計するには、プロフェッショナルな設計ソフトウェアのCircuitStudioを使うことをお勧めします。