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数週間前、かつてビッグバンドを率いていたスタン・ケントンの追悼コンサートに行ってきました。ビッグバンドジャズが大好きな理由はたくさんありますが、その1つはメンバーと楽器の構成です。通常は異なる楽器を担当する15~20人のメンバーがすべて違うパートを演奏します。そのため1人でもミスをすると、作曲家が入念にアレンジした曲のバランスが一気に崩れてしまいます。
メンバー全員が調和して演奏することの重要性について考えると、正しく製造されるPCBの重要性が頭に浮かびます。たった1つの部品が正しく半田付けされていないだけで、最終回路基板が断続的に不具合を起こしたり、まったく機能しなくなってしまったりすることがあるのです。サックスが不協和音を奏でると曲全体が台無しになってしまうのと同じように、不適切な半田付けも基板全体を損ねてしまう恐れがあります。幸いにも、製造(DFM)に関するデザインルールを活用することで、回路基板上の不適切な半田付けを避けることができます。
基板に役立つDFMのルールの1つには、おそらく驚かれることでしょう。PCBでトレースを配線する方法は、半田付けの問題に直接的な影響を及ぼしますが、DFMのルールにはこれに関するいくつかのガイドラインがあります。トレースの配線によってイモ半田やtombstoningなどの問題がどう発生するのかについて見ていきながら、今後避けるべきことを確認しましょう。
最初にご紹介する原因は 鋭角のトレースです。厳密に言うと、これは半田付けの問題につながらないものの、PCBのDFMに関するガイドラインで指摘されている配線の問題です。
鋭角のトレースとは、90度を超える角があるトレースを意味します。こうした角度にすると、トレースが元の場所に戻ってきてしまいます。鋭角によって形成されたくさび形は、製造中に酸性化学物質を閉じ込める恐れがあります。閉じ込められた化学物質は製造の洗浄段階で除去されるとは限らず、その場合はさらにトレースが浸食されます。最終的には、トレースが切断されたり、断続的になったりすることになります。
PCBでのトレース配線
トレース幅が原因で発生する部品のTombstoning
表面実装部品の抵抗など、小さな2つのピン部品が1つのパッドの端にあると、半田付けの最中にTombstoningが発生します。その原因は、半田のリフロー中に2つのパッド間の加熱状態がアンバランスになることです。その結果、最初に溶けた側に部品が引き寄せられてしまいます。
加熱の状態がアンバランスになる原因の1つは、2つのパッドで異なるサイズのトレースを使用することです。トレース幅が広いほど、接続されるパッドの加熱にかかる時間は長くなります。片方のパッドのトレースが細く、もう一方のパッドのトレースが太い場合は、半田リフローにアンバランスが発生し、片方のパッドが先に溶けてリフローする可能性が高くなります。
電気工学では、製造業者にとっては幅が広すぎて確実に半田付けができない電源トレースが要求されることも多々あります。PCB製造のための設計ガイドラインには、異なるサイズの部品ごとのトレースの推奨最小/最大幅が記載されていますが、それでは問題が解決しないこともあります。重要なのは、電気工学と製造の両方の 要件のバランスを取り、双方が同意できる共通のポイントを見つけることです。こうすることで、設計の両方の要求に対応することができます。
DFMのルールは、基板の製造に関する問題を設計から排除することに役立つ
イモ半田
太いトレースを配線する際に発生するもう1つの問題は、イモ半田です。これは、リフローによって良好な接合が行われていなかったり、接合部から外れてしまった半田を指します。太いトレースを配線すると、パッドから半田が外れてしまい、部品に接合できなくなる可能性があります。
この解決策は、トレース幅の値をパッドのサイズより小さくすることです。一部のDFMに関するガイドラインでは、トレース幅が0.010milを超えないようにすることが推奨されていますが、ここでも電気工学と機械工学の両方の要求のバランスを取るようにする必要があります。
PCB製造のための設計ガイドラインでは、ここで取り上げたトレース配線に関する推奨事項以外にも、コンポーネントを適切に配置する手法やフットプリントのサイズ、その他の設計要素に役立つたくさんの情報を確認できます。こうした情報は、最終的に出来る限りミスをなくした基板を製造することに役立ちます。設計が信頼できる優れたものであれば、回路基板の製造中に不具合は発生しません。これはちょうど、スタン・ケントンのバンドが『インターミッション(幕あい)』という曲をミスなく演奏することに似ています。
Altium DesignerなどのPCB設計ソフトウェアには、DFMのルールに従った設計に役立つ高度な配線などの機能が備わっています。これらを活用することで、最初からDFMを踏まえた設計を製造にリリースできるようになります。
DFMを踏まえた設計について、アルティウムが皆さまをサポートいたします。詳しくは、アルティウムの専門家にお問い合わせください。