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PCBの設計と製造に関するヒント: PCB製造中の開回路を防止するには Thought Leadership PCBの設計と製造に関するヒント: PCB製造中の開回路を防止するには 私が数年間住んでいた町にはチョコレート工場がありました。それは魅力的であると同時に恐ろしいことでした。なにしろ、その工場では傷物の「二級品」を定価から75%引きで買えてしまうのです。カラメルを覆うチョコレートが割れているなど、たいていの欠陥は表面的なもので、味にはまったく問題ありません。 PCBの製造業者がミスをした場合も、それが表面的なものであれば基板はきちんと機能します。最終スクリーンの印刷のずれといったミスであれば電気的な性能に影響はないものの、ずれていたのがソルダーマスクや銅箔層だったとすれば、基板は完全に台無しになるでしょう。PCBの目的は電気的な配線であるため、性能上の重大な欠陥は、開回路、ショート、配線、材料破壊など、本質的に電気に関するものになります。 出所次第で、開回路の原因の 3分の1は、特に半田ハズレなどのPCBの欠陥が占めています。材料、処理方法、取り扱いなど、開回路を引き起こす原因は数多く存在します。ここでは、最も一般的なものを確認しておきましょう。 半田ペースト 半田ペーストが一貫して塗布されていない(塗布された 分量が異なる、または完全に塗布されていない個所がある)場合、接合部が完全に形成されません。その結果、開回路が発生したり、結合部が弱くて壊れやすくなったりすることがあります。半田ペーストにまつわるもう1つの原因は、表面全体でリフロー温度が一貫していないことです。チョコレートを電子レンジで加熱したことがある方なら、温まったところから先に溶けていくのをご覧になったことがあるでしょう。こうしたばらつきは半田リフローでも発生することがあります。一部の領域がリフロー温度に到達しなかったために完全に接着されていなければ、電気接続は確立されません。これは、ココアやフロスティングミックスの中で溶け残っているチョコレートと似ています。 半田ペーストを塗布する際にアスペクト比(ステンシルの厚さに対する開口部の幅)を間違えると、半田ペーストの沈みが発生する可能性が高くなります。特にソルダーマスクなどのレイヤーの厚さを製造業者に確認するようにしてください。 チョコレートを溶かすときのように、半田は基板全体でリフロー温度に到達する必要がある 汚染 誰も汚染されたチョコレートを食べたくはないでしょう。知らない間にそんな体験をしていないのを願うばかりですが、PCBのコンポーネントも汚染されることがあります。基板や半田ペーストのさまざまな要素が環境汚染の原因になる恐れがあるのです。明らかな原因は、化学物質の流出、空気中の粉塵や微粒子、接触する油です。 空気中の水分でさえ、腐食を加速させる原因になります。パッド表面やコンポーネントの汚染や腐食は、適切な半田の接合を阻害する可能性があります。製造業者の品質管理や社内での取り扱いについてチェックし、部品に汚染や損傷がないことを確認してください。 基板に付着した指紋は汚染の一般的な原因であり、多くの場合に腐食や半田の不良接合につながる ギャップとクラック 表面の凹凸が原因で発生したギャップによってPCBの平面性が失われると、同じコンポーネント上の異なるリード間の距離が大きく変更されます。その結果、リフロー中にリードが半田ペーストに接触できなくなります。これは、 コンポーネントのゆがみや ソルダーマスクに凹凸がある場合に最もよく見られますが、その他の熱的不整合、レイヤースタックアップに関する問題(不適切な脱ガスで発生する気泡など)、基板の物理的な取り扱いミスが原因の場合もあります。 ギャップやクラックには肉眼で確認できるほど深刻なものもありますが、特にコンポーネントの小さなパッケージなどで問題を見つけるためには、ほとんどの場合に顕微鏡やX線が必要になるでしょう。問題の解決に割り当てられている予算にもよりますが、開回路が発生している場所を特定するために電気テストを行ったり、製造業者や試験機関で最終的な根本原因の解析が行われる場合もあります。 基板の落下といった単純なことで半田が外れてしまうことがあります。チョコレートの卵のように、最初から壊れやすいものの場合はこれが顕著です。 製造中に不具合が発生すれば、たくさんの時間が浪費され、コストも高額になる恐れがあります。
PCB製造のためのCAD設計ガイドライン: トレース配線が半田接合に与え得る影響 Thought Leadership PCB製造のためのCAD設計ガイドライン: トレース配線が半田接合に与え得る影響 編集クレジット: Aija Lehtonen / Shutterstock.com 数週間前、かつてビッグバンドを率いていたスタン・ケントンの追悼コンサートに行ってきました。ビッグバンドジャズが大好きな理由はたくさんありますが、その1つはメンバーと楽器の構成です。通常は異なる楽器を担当する15~20人のメンバーがすべて違うパートを演奏します。そのため1人でもミスをすると、作曲家が入念にアレンジした曲のバランスが一気に崩れてしまいます。 メンバー全員が調和して演奏することの重要性について考えると、正しく製造されるPCBの重要性が頭に浮かびます。たった1つの部品が正しく半田付けされていないだけで、最終回路基板が断続的に不具合を起こしたり、まったく機能しなくなってしまったりすることがあるのです。サックスが不協和音を奏でると曲全体が台無しになってしまうのと同じように、不適切な半田付けも基板全体を損ねてしまう恐れがあります。幸いにも、製造(DFM)に関するデザインルールを活用することで、回路基板上の不適切な半田付けを避けることができます。 基板に役立つDFMのルールの1つには、おそらく驚かれることでしょう。PCBでトレースを配線する方法は、半田付けの問題に直接的な影響を及ぼしますが、DFMのルールにはこれに関するいくつかのガイドラインがあります。トレースの配線によってイモ半田やtombstoningなどの問題がどう発生するのかについて見ていきながら、今後避けるべきことを確認しましょう。 鋭角のトレース 最初にご紹介する原因は 鋭角のトレース です。厳密に言うと、これは半田付けの問題につながらないものの、PCBのDFMに関するガイドラインで指摘されている配線の問題です。 鋭角のトレースとは、90度を超える角があるトレースを意味します。こうした角度にすると、トレースが元の場所に戻ってきてしまいます。鋭角によって形成されたくさび形は、製造中に酸性化学物質を閉じ込める恐れがあります。閉じ込められた化学物質は製造の洗浄段階で除去されるとは限らず、その場合はさらにトレースが浸食されます。最終的には、トレースが切断されたり、断続的になったりすることになります。 PCBでのトレース配線 トレース幅が原因で発生する部品のTombstoning 表面実装部品の抵抗など、小さな2つのピン部品が1つのパッドの端にあると、半田付けの最中に Tombstoning が発生します。その原因は、半田のリフロー中に2つのパッド間の加熱状態がアンバランスになることです。その結果、最初に溶けた側に部品が引き寄せられてしまいます。 加熱の状態がアンバランスになる原因の1つは、2つのパッドで異なるサイズのトレースを使用することです。トレース幅が広いほど、接続されるパッドの加熱にかかる時間は長くなります。片方のパッドのトレースが細く、もう一方のパッドのトレースが太い場合は、半田リフローにアンバランスが発生し、片方のパッドが先に溶けてリフローする可能性が高くなります。 電気工学では、製造業者にとっては幅が広すぎて確実に半田付けができない電源トレースが要求されることも多々あります。PCB製造のための設計ガイドラインには、異なるサイズの部品ごとのトレースの推奨最小/最大幅が記載されていますが、それでは問題が解決しないこともあります。重要なのは、電気工学と製造の両方の
回路基板レイアウトのための多層PCB設計に関するヒント Thought Leadership 回路基板レイアウトのための多層PCB設計に関するヒント 初めて何かをやるときは困難になるものです。ひな鳥は巣から外へ出されるのを喜ばないでしょうし、十代の若者は本物の初デートの前は不安で仕方ないでしょう。私も初めてのデートのときは怯えきっていました。とはいえ、その出来事は私の人生の中でとても素晴らしい時間になったので、最初の一歩を踏み出せたことに満足しています。 初めて多層PCBのレイアウトを設計する皆さんは、これとは違うけれど同じように重大な一歩を踏み出そうとされています。わからないことばかりで、ミスをしたらどうしようと不安を覚えていませんか? だとすれば心配はいりません。それは誰もが通る道ですし、役立つ情報がいくつもあります。この記事では、注意すべきライブラリー関連のいくつかの問題のほか、設計の開始に向けた一般的なガイドラインについてご紹介します。 目標を達成するためには、とにかくやってみないといけないときもあるでしょう。PCB設計者にとっては、初めての多層基板の設計がこれにあたります。設計を始めるために役立つ情報を見ていきましょう。 多層設計用のライブラリーの準備 多層PCBを設計する際は、まずCADライブラリーを確認しておきます。片面基板や両面基板の設計しか行ったことがない場合は、ライブラリーがマルチレイヤーに対応していないかもしれません。まずは次の3つを確認しておきましょう。 ネガティブプレーン層: 多層PCBのレイアウトでの電源プレーンやGNDプレーンの作成には、多くの場合に ネガ状の画像プレーン層が使用されます。一部のCADツールでは、ネガティブプレーン層のドリル穴用に、パッドやフットプリントの形状に組み込まれた クリアランスが必要になります。こうしたツールを使用する場合は、必ずパッドやフットプリントの形状に正しいネガ状のプレーンクリアランスを設定します。これを怠るとショートが発生することになります。 内層の信号層のパッド形状: デザインの中には、内層とは異なるパッド形状が外層で使用されるものもあります。たとえば、ピン1のパッドが、内層で通常使用される円形ではなく、視覚認識を考慮して四角形にされることが多々あります。ライブラリーがマルチレイヤーに設定されていない場合は、内層の信号層で必要なパッド形状を使用できない可能性があります。 製図の要素: レイアウトツールで製造図や実装図を作成する場合は、ライブラリーに保存されているさまざまなロゴ、テーブル、ビューを使用できるかもしれませんが、これらは多層基板用に変更する必要があります。 多層PCB設計用のライブラリ部品の準備 製造工場の要件を理解する 多層PCB設計には、片面基板や両面基板よりも大きな利点があります。つまり、スペースを節約して設計密度を上げられるだけでなく、シグナルインテグリティーの問題もさらに対応できます。重要なのは、設計を開始する前に製造工場と打ち合わせを行い、多層基板の製造要件を理解しておくことです。 こうした要件は、それぞれの製造工場が持つ基板技術のレベルによって変わってきます。特定のレイヤー数を超える基板に対応できない、または非常に小さなトレース幅やスペース幅の基板を製造できない工場もあるでしょう。こうした制限を超えると、製造コストが増大したり、基板が製造できなかったりする場合があります。 たとえば、ビアの種類について考えてみましょう。通常、製造工場は標準的なスルーホールビアには対応できるものの、 ベリードビア、ブラインドビア、マイクロビアを使用する場合は事前に工場に確認しておいたほうがよいでしょう。前述のとおり、トレース幅や間隔、基板層の数や構成についても相談しておくべきです。こうした要素はすべて、回路基板が製造できるかどうかに影響を及ぼすため、設計を開始する前にしっかりと把握しておく必要があります。
自動配線が可能なPCB設計ソフトウェアで時間を節約できる主な理由 Thought Leadership 自動配線が可能なPCB設計ソフトウェアで時間を節約できる主な理由 私は長年にわたってPCBの設計に携わっていますが、自宅よりも職場で過ごす時間のほうが長くなっていました。残念ながら、家族はそんな私の日常にすっかり慣れっこです。締め切りが迫っている設計があると、私が夜遅くまで仕事をすることになるのを家族全員がわかっています。ストレスを解消したり、家族といる時間を増やしたりするためには、設計時間を短縮する方法を見つけなければいけないのはわかっていました。 つい数週間前のハロウィンも、設計の締め切りと重なってしまいました。ところが、作業は前倒しで完了し、早い時間に帰宅することができました。家族はみんな大喜びです。私たちはトリック・オア・トリートやゲームをして遊び、大笑いしながら楽しい時間を過ごしました。私は家族のヒーローになれただけでなく、その夜は久しぶりにぐっすりと眠れました。予定より早く仕事を終えられたことで家族全員が救われましたが、そこで私が感謝したのはそれまで避けてきたあるもの - そう、オートルーターです。 私は何年もオートルーターを使っているため、この機能に対する反論についてもよくわかります。ただし、最近では考えが変わりました。オートルーターは進化し、以前よりもはるかに便利になっているのです。洗練された現在のオートルーターでは、これまでのように紛らわしくて使えない配線だらけの基板が作成されることはなく、特定のニーズに対応します。こうしたルーターの活用方法を一度覚えると、それがどれほど便利か驚かされることでしょう。自動配線によってPCB設計ソフトウェアの世界は変わりました。ぜひ、新しい視点からこの機能を見直してみてください。 かつては謎のブラックボックスだったPCB の自動配線 オートルーター: ブラックボックスからPCB設計ソフトウェアへ 多くの設計者は自動配線のことを、自分たちではコントロールできないある種の謎めいたブラックボックステクノロジーだと考えてきました。得体の知れないルーターに設計データを送っても、出てくる結果にがっかりするだけだったのです。ルーターで行われる不適切な配線のせいで、何時間もかけて手動できれいに修正するはめになるのはよくある話でした。こうした問題のせいで、私も含めて多くの設計者がオートルーターを信用できなくなりました。 ところが今は話が違います。以前よりも格段に改良されているのです。多くのオートルーターは、サードパーティー製のブラックボックスアプリケーションではなく、PCB設計ソフトウェアに組み込まれています。つまり、すでに設定してあるデザインルールを使えるため、別のアプリケーションと整合させる必要はありません。また、現在のオートルーターはさまざまなモードで機能するため、作業する領域を絞って配線することもできます。その一部をご紹介しましょう。 Point-to-point の自動配線: ネットを単純にPoint-to-pointで接続できます。配線対象のネットを選択すると、デザインルールに従ってトレースが自動的に配線されます。 一括自動配線: 私たちが覚えている以前の「ブラックボックス」のオートルーターと似ているものの、最新の一括ルーターでははるかに多くの設定ができます。通常はPCB設計ソフトウェアに組み込まれているため、すでに設定してあるデザインルールを使用すれば、格段に管理しやすくなります。 設計に役立つ自動配線機能を備えるPCB 設計ソフトウェア 自動配線機能を備えるPCB設計ソフトウェアはどう設計に役立つのか 同僚から自動配線を見直してみるようにすすめられたとき、私はまずそれを拒みました。ところが、助けが欲しかった私は最終的に必要に迫られ、自動配線にもう一度目を向けてみることにしたのです。そこで見つけたものに私は驚きました。きっと、皆さんも驚かれるはずです。下記は、その中でも本当に役立っている配線機能です。
回路構築ソフトウェアのさまざまなタイプのサポート Thought Leadership 回路構築ソフトウェアのさまざまなタイプのサポート 数週間前に、10歳になる息子が、私の助けが必要な問題を抱えて私のところにやって来ました。彼の自転車のギアが高速から切り替えられず、自転車に乗れないとのことでした。問題が明らかになったので、私がすべきことは、曲がった変速機をまっすぐに戻し、潤滑油をさすことでした。数分後、息子は、ほかの友だちに合流するため、うれしそうにペダルをこいで通りを走っていきました。 このできごとで、私は、息子が私に求めた支援と、私たちがCADの技術サポートサービスにたびたび求める支援は似ていると考えました。何かが壊れたとか適切に動作しないといった場合、私たちは元の状態に戻れるよう、助けが必要になります。息子は、自分の問題を私が解決できることを知っていたので、私のところに来ました。同様に、私たちは、必要なときにサポート技術者が自分たちの問題を解決できることを期待します。 新しいソフトウェアを評価する場合、検討すべき事項の1つに、 どのような 技術サポートが利用できるか 、ということがあります。これは、市場にはさまざまなタイプのサポートがあるからです。契約書に署名する前に、そのソフトウェアではどのようなサポートが提供されるのか、また、追加できるサポートは何かを正確に知っておく必要があります。回路構築ソフトウェア会社が通常提供するさまざまなタイプのサポートおよびサービスについて見てみましょう。 コールセンターのオペレーター 助けが必要なときにどのようなサポートを利用できるか 新しい回路構築ソフトウェアを使用する過程で、いずれサポートが必要になるということを認識してください。そのソフトウェアで提供されるサポートのタイプ、サポートへのアクセス方法、サポート費用について、あらかじめ把握しておく必要があります。ソフトウェアを購入しようとする場合、次のような質問をしてみましょう。 どのようなタイプのサポートサービスが提供されていますか? 多くの場合、サポートは、電話、電子メール、「チャット」サービスなどで提供されます。ご自分のワークフローに適したタイプのサポートが受けられることを確認してください。 どのようなサポートプランをどれくらいの費用で利用できますか? さまざまな企業が、さまざまなプランを通じて、さまざまなレベルのサポートを提供しています。ある会社は、年間保守料で一般的なサポートを提供しています。別の会社は有料サポートを提供し、ユーザーはどれくらいサポートを利用したかに応じて料金を支払います。また、段階的に異なるレベルのサービスを異なる料金で提供している会社もあります。契約前に、提供されるサポートプランとその費用を必ず把握しておきましょう。 FAQ、ブログ、ユーザーグループ、あるいはその他利用可能な情報がありますか? これらのタイプのリソースは、とても役に立つ可能性があります。通常は費用もかかりません。 トレーニングが提供されていますか? 従来の教室での授業からWebベースのトレーニングまで、提供可能なさまざまなスタイルがあります。最初に、オプションの内容と費用を確認しましょう。そうすることで、新しいソフトウェアの基本について理解するために予定外の費用を支払わずに済みます。 どのようなタイプの専門的サービスが受けられるか 電話サポートやFAQなどの標準的なサポートサービスでは、必要な全てのサポートを提供できない可能性があります。これらのサービスは、機能に関する特定の質問に回答してくれますが、全社的なインストールやデータベース変換などの、より大きな問題には対応していないかもしれません。回路構築ソフトウェアを提供する企業は、通常、それらの問題に対応するための専門的なサービスを追加で提供しています。ソフトウェアを購入する前に、何が必要なのか、そしてサポートを提供してくれる専門的なサービスがあるかどうかを見極める必要があります。次のような質問を検討しましょう。 アプリケーションエンジニア(AE)に何を期待しますか