基板の標準的なPCB製作プロセスが終わると、PCB上のむき出しの銅に表面仕上げを施す準備が整います。パッド、ビア、その他いずれの導電性要素であるにせよ、ソルダーマスクから露出するPCBの銅を保護するためにめっきを塗布します。多くの場合、設計者は錫鉛(SnPb)めっきなどを標準的に使用していますが、基板の用途により他のめっき材の方が適している場合があります。
この記事では、さまざまなPCBめっき材のオプションと、PCBで使用する場合のそれらの利点について説明します。選択できるオプションはいくつかあります。信頼性や用途に応じて、設計に必要なめっきを製造業者が塗布することができるかどうかを確認する必要がある場合があります。これらのオプションと、めっきが損失に与える影響について簡単に説明します。
PCBのめっき材には、いくつか種類があります。以下のセクションでは、設計者が把握しておくべき一般的材料をまとめました。これらのオプションを一切提供していない製造業者は見たことがありません。契約している製造業者が以下のリストのいずれかのオプションを提供していると名言していない場合は、PCBめっき材のオプションを含む、サービス内容リストを一度メールでリクエストするとよいでしょう。
このPCB表面仕上げ材はおそらく最も安価なオプションですが、めっき仕上げに鉛が使用されているため、RoHSに準拠していません。無電解錫は、エントリーレベルの基板で使用できる無鉛オプションです。
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HASLは従来に非常に人気のある表面仕上げ材として選ばれてきましたが、他のめっき材ほど信頼性が高くありません。安価な無鉛タイプもあるため、エントリーレベルのめっきオプションとして使用できます。
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SnPbと無電解錫の欠点を考慮すると、ENIGが業界で最も人気のある表面仕上げ材であることはほぼ間違いありません。このめっき材で、ニッケルは、銅箔と部品がはんだ付けされる薄い金の表面層との間のバリア層として機能します。
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この有機水性表面仕上げ材は、銅に選択的に結合し、非常に平坦な表面仕上げを実現します。有機材料であるため、取り扱いや汚染物質に敏感ですが、PCBで使用される他のめっき材よりも塗布プロセスが簡単です。また、高周波での損失も非常に少なくなっています。
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これは、私が好む高周波用PCBめっき材です。むき出しの銅を滑らかなインターフェースに仕上げるため、他の表面仕上げ材ほど多くの導体損失をもたらしません。主な欠点はベア基板における変色で、製作後できるだけ早くはんだ付けしてパッケージ化する必要があります。
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このめっき材は、銅-ニッケル-パラジウム-金の層構造で、めっきに直接ワイヤーボンディング性を特化させることができます。最後の金層は、ENIG同様、非常に薄くなっています。金層はENIG同様に柔らかいため、過度の機械的損傷や深い傷によりパラジウム層が露出する可能性があります。
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このめっき材料は本質的にENIGですが、非常に厚い金の外層を備えているため、最も高価なPCBめっき材の1つです。金層は損傷しやすい硬い表面を提供しますが、その厚さによりニッケル層を完全に露出させることは困難です。
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上述のオプションの中で、ENIGはコストと耐久性、適用範囲のバランスが最も優れていると言えるでしょう。低周波のアナログシステムや、常時高速のエッジレートで動作するわけではないデジタルシステム(SPIやI2Cなど)では、IPCクラス3に準拠する必要がある高信頼性システムも含めて、ENIGが選択されることが一般的です。また、高密度のBGAまたはQFNパッケージのパッドにも適しています。上述のめっき材を見ると、特定の用途に適した材料があるのがわかります。たとえば、RFシステムには無電解銀やOSPが最適で、無鉛対応が必要なスローアウェイ(クラス1)製品には無電解錫が適していると考えられます。超高速デジタルやRFなど、より特殊な用途では、以下に詳述するように、めっき厚が極めて重要になります。
典型的なPCBのめっき厚は、約100マイクロインチです。無電解銀とOSPの場合、通常の厚さは約10マイクロインチまで薄くできます。PCBのめっき材とめっき厚は、製作メモで簡単に指定できます(以下の例を参照)。試作品を製作していて、メーカーが標準の見積もりフォームを持っている場合は、ここでめっき材の種類を指定することができます。これらのフォームでは、厚さを記載する場所がないことがあるため、特定の厚さが必要な場合は必ず指定してください。必要なめっき厚を指定したら、求められる厚さに塗布するのは製造業者の責任となります。
めっき材の厚さが重要なのはなぜでしょうか?これには2つの理由があります。まず、IPC-2221A規格では、IPC製品クラスごとに最小めっき厚を定めています。 (表4.3参照。この規格は、こちらのリンクからダウンロードできます)。製品をIPC規格のいずれかの製品クラスに準拠させたい場合は、めっき厚がその仕様を満たしていることを確認する必要があります。製作メモで通常行っているように、製品クラスを指定すると、最小めっき厚が示唆されます。そのとき、値に矛盾が生じないように気をつけてください。そうしないと、製造業者からめっきに関するメモについての確認メールが届くことになるでしょう。
PCBのめっき厚を気にするもう1つの理由は、損失への影響です。低周波数では、おそらく周波数への影響に気付かないでしょう。そのため、低速デジタル信号と1GHz以下の周波数帯を使う無線では、PCBのめっき厚についてそれほど心配する必要はありません。かつて私は、テストセットアップで受信機を圧倒したENIG(高周波には不向き)を使用し、5.8GHzのWi-Fiでカスタムプリントエミッターを動作させたことがあるので、回路が正しく設計されていれば、これらの周波数ではほとんどのめっきを使うことができます。
損失の問題は、短距離レーダー(24 GHz)以上など、mmWave周波数で発生します。これらの周波数においては、特にRogersなど、損失分が少ないRF基板で、銅の粗さが損失の原因となることがよくあります。めっき厚は、信号が伝播するときに信号が経験する粗さ、つまり表面摩擦抵抗を決定します。結果の例については、この記事で紹介しているJohn Coonrodの結果、特に、挿入損失を示した一連のグラフをご覧ください。ご覧のように、めっきが粗いほど、損失分が増加する可能性があります。便宜上、マイクロストリップを以下の1つのグラフに再現しました。
設計に必要なPCBめっきを決定し、製作要件を指定する準備ができたら、Altium Designer®の使いやすい製作ツールを使用してドキュメントを作成できます。設計の完全な設計レビューと製作の準備が整ったら、チームは Altium 365™プラットフォームを通じてリアルタイムで共有および共同作業を行うことができます。Altium 365を使用すれば、安全なクラウドプラットフォームで製作データと製作要件を共有できます。
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