高速デジタル、高周波、マイクロ波、またはミリ波のアプリケーション向けの基板を設計している方なら、ロジャース コーポレーションの積層板をよく知っているかもしれません。では、同社が過去10年間で2倍の規模に成長したことはご存知でしょうか? 先日、IPC APEX Expoに出席した際に、シニアプロジェクトマネージャーのTony Mattingly氏にインタビューして、最先端の回路材料加工技術を持つこのトップ企業について学ぶ機会がありました。
Judy Warner: ロジャース コーポレーションでのTonyさんの役割について、また御社の歴史を手短に教えてください。
Tony Mattingly: 私は、シニアプロダクトマネージャーとして製品ラインの最適化を担当しており、業界をリードするサービスレベルで高品質のソリューションを提供するという ロジャースの評判を維持できるよう努めています。ロジャースは、電気自動車、ワイヤレス インフラストラクチャ、自動車の安全性、ポータブル エレクトロニクスなどの市場で高性能と高信頼性を可能にする特殊な工学素材の世界的なテクノロジーリーダーです。ロジャースはアメリカで最も古い公開企業 の1社です。1832年に板紙メーカーとして創業し、さまざまなハイテク機器やシステムを実現可能にする世界的な材料テクノロジーリーダーにまで成長しま した。当社の高度な回路材料は、40年以上にわたって事実上米国の全ての宇宙ミッションで使用されており、今日ではネットワーク基地局とスマートアンテナ を介して世界中を接続しています。過去10年間で収益は倍増し、世界中で1850人の従業員を新たに雇用しました。買収を通じて成長を続け、イノベーショ ン センターモデルを導入して、次世代の革新的な製品の商業化を促進しています。
Warner: 収益が10年で倍増するとは目覚ましい成長を遂げていますが、その成長を牽引しているのは何でしょうか?
Mattingly: 主に4G、および5Gワイヤレス インフラストラクチャ、自動車の高度運転支援システム、航空宇宙、防衛などの市場がその成長の大部分を推進しています。ロジャースは、これらの市場で非常 に優位な立場におり、お客様が必要とする材料ソリューションを揃えています。今後は、低軌道衛星、および地上局のインフラストラクチャに成長の機会を見込 んでいます。
Warner: 大規模な多国籍企業である御社は、地政学的な状況の絶え間ない変動にどのように対応するのでしょうか?
Mattingly: ロジャースは資産取得のために多額の投資を行い、米国、ベルギー、中国に、多くの設備が整った世界的な製造拠点を持っています。これらの場所のいずれかか ら製品を製造、および供給できる柔軟性があるため、市場の状況が変化した場合にサプライチェーンを調整できます。堅実な事業継続計画を実施することで、顧 客にほとんど影響を与えずに必要な製品を顧客に提供し続けることができます。
Warner: イノベーションセンターと、それが市場、およびロジャースで果たす役割について教えてください。
Mattingly: 2014年から2017年にかけて、当社は複数のロジャース イノベーションセンターを立ち上げました。米国ではマサチューセッツ州に1つ、アリゾナ州に1つあります。また、中国にはアジア イノベーションセンター、ドイツにはヨーロッパ イノベーションセンターがあります。これらは、次世代の製品を実現可能にする材料技術の開発を使命として、イノベーション リーダーシップの戦略的な中核を強化するために設立されました。このため、ロジャースは顧客が必要とするソリューションを真っ先に市場に出荷し続けること ができるのです。
Warner: ロジャースはどのような新興市場に注目していますか? また技術開発および生産能力に関してどのように対応しますか?
Mattingly: 非常に注目しているものの1つは、低軌道衛星群と、今後数年で実装される地上局のインフラストラクチャです。これらのシステムは、現在世界中でインター ネットが利用できないあらゆる場所でインターネットにアクセスできるようにすることを目的としており、この分野には莫大な投資が行われています。ロジャー スは次世代の薄い回路基板材料を開発しました。これにより、システムに必要な多層基板設計用のソリューション パッケージが市場に出荷されます。
Warner: 他に何か読者に伝えたいことはありますか?
Mattingly: ロジャースは約190年前に創業し、業界の形成に貢献する市場の革新的リーダーとして歩んできました。私は素晴らしいチームの一員であること、長く受け継 がれてきた伝統を持つ企業の一員であることをうれしく思い、これからの未来に心を躍らせています。私たちが取り組んでいる素晴らしい仕事について、近いう ちにまたお話ししたいと思います。
Warner: Altiumの設計コミュニティに向けてロジャース コーポレーションの内側が垣間見える貴重なお話をしていただき、ありがとうございました。
Mattingly: どういたしまして。こちらこそ、ありがとうございました!
編集者の注記: 教育ツールとリソース、およびロジャースの材料に関するデータシートをご覧になるには、こちらの TechHubに参加してください。 こちらでは、5Gの情報もご覧になれます。