ECAD-MCAD 共同設計を使用してPCBエンクロージャの設計とボードレイアウトを行う方法

Zachariah Peterson
|  投稿日 2021/01/22 金曜日  |  更新日 2025/06/17 火曜日
Flex、リジッドフレックス、マルチボード設計のためのエンクロージャ

プリント回路基板の設計やレイアウト作業は非常に楽しいものですが、PCBを機械的に安定させるためにはエンクロージャ(筐体)が必要です。PCB用エンクロージャは既製品を購入することも、MCADソフトウェアを使用してカスタム設計することも可能です。どの方法を選択する場合でも、基板や部品が筐体と干渉しないようにするため、PCBレイアウトをMCADツールにインポートする必要があります。

複雑なレイアウト、マルチボードシステム、またはフレキシブルPCBを扱う場合、PCBエンクロージャ設計、電子部品、基板間の干渉を確認するために、MCADソフトウェアへ迅速にアクセスする必要があります。Altiumには、回路基板およびカスタム筐体を設計しながら機械的干渉をチェックするためのMCADツールが含まれており、さらに強力な回路基板設計機能一式を備えています。設計者は、あらゆる用途向けの複雑な基板を、その筐体と並行して設計できます。

干渉を防ぐためのPCBエンクロージャとレイアウトの設計方法

PCBレイアウトの周囲に筐体を設計し、部品間の干渉を防ぐには、設計精度を確保するためのいくつかの方法があります。

  • PCBレイアウトをSTEPファイルとしてエクスポートし、MCADアプリケーションにインポートして筐体を設計する
  • 筐体をSTEPファイルとしてエクスポートし、ECADソフトウェアにインポートする

Altiumは、PCBレイアウトおよび筐体設計の一環として、これら両方のプロセスをサポートしています。干渉を防止する必要がある場合、STEPファイルをPCBプロジェクトにインポートし、手動または自動で干渉チェックを実行できます。設計ルール定義を使用して、PCB上の部品配置が3Dで筐体と干渉していないかを確認し、部品の移動が必要かどうかを特定できます。

Altiumによる3Dクリアランスおよび衝突チェック

残念ながら、既存の筐体を変更したり、PCB用のカスタム筐体を設計したりするには、PCB設計者は機械エンジニアまたはMCADソフトウェアを必要とします。これらの筐体設計には、電気分野と機械分野の間でのECAD-MCAD共同設計アプローチが求められます。

カスタムPCBエンクロージャ設計にはECAD-MCAD連携が不可欠

多くの製品では、望ましいユーザー体験を実現するために、機械設計者と電気設計者の共同設計が求められます。機械工学と電気工学の相互作用により、設計空間の制約を定義するための2つのアプローチが生まれます。

  • メカニカルファーストアプローチ: まず筐体を決定し、それを基板サイズ、部品サイズ、部品配置の主な制約として使用します。
  • エレクトリカルファーストアプローチ: まずPCBサイズを決定し、レイアウト完了後に最終決定する場合もあります。レイアウトが完了すると、機械エンジニアがPCBを基に筐体を設計します。

エレクトリカルファーストアプローチは、電気設計者がPCBレイアウト上で部品を自由に選択・配置できるため、より容易です。完了後、機械エンジニアが完成した設計モデルを受け取り、それを基にカスタム筐体を設計します。これは実質的にウォーターフォール型のアプローチであり、いわゆる“オーバー・ザ・ウォール”型エンジニアリングに近いものです。

これらの設計は一見シンプルに見える場合が多く、カスタム設計は基本的にPCB部品を最小限のマージンで囲む箱型になる傾向があります。

より独自性の高い機能的・美的体験が求められる製品では、メカニカルファーストアプローチが主流となります。その場合、設計チームはPCBレイアウトではなく、MCADソフトウェア上で初期制約を定義する共同設計アプローチを採用する必要があります。

PCBエンクロージャのためのMCAD共同設計

PCBエンクロージャ開発における重要なプロセスの一つがMCAD共同設計です。これは機械設計者と電気設計者が反復的に連携し、PCBとその筐体を開発する手法です。複雑な形状を持つエンクロージャや、複数のPCBを同一アセンブリに統合する場合に使用されます。

機械エンジニアにとって、MCAD共同設計は多くの利点をもたらします。最も重要なのは、電気設計者向けに制約を定義できる点です。PCBレイアウトに制約を設定することは、PCBを取り付けて筐体に適合させるために必要な以下の要素を定義することを意味します。

  • PCB全体のサイズおよび寸法
  • PCBの総厚さ
  • 高さ制限を含むキープアウト領域の位置
  • 取り付け穴、切り欠き、スロットの位置
  • 特定部品(主にコネクタ)の配置
  • 配線およびケーブル経路の計画とモデリング

これらの要素を最初に計画することは基板設計者に一定の制約を課しますが、その設計が希望する筐体内に確実に収まることを保証します。通常、部品配置後に、部品を含むPCBの3Dモデルを確認し、筐体への適合性をチェックします。

ECAD MCAD integration in Altium Designer

Altiumの統合MCADツールセットを使用すると、筐体のクリアランスや干渉を3Dで確認できます。

これらの制約が定義されると、機械エンジニアは筐体の設計および製造プロセスの計画に集中できます。一方、PCB設計者はこれらの制約内で収まるレイアウト作成に集中できます。機械的制約がPCBレイアウト内で違反されていないことを確認するため、定期的な部品配置レビューが必要です。これはAltiumのようなクラウドプラットフォームを通じた標準的なプッシュ・プルプロセスで実施できます。

既製PCBエンクロージャ

PCB用エンクロージャには多様な機能を備えた既製品が数多く存在します。特に試作や少量〜中量の短納期生産において有用です。これらは迅速な市場投入を可能にし、多くの設計に適応できます。取り付けポスト、タッピング穴、ねじ穴、ケーブルやコネクタ用開口部、通気用ベントなどが備わっていることが一般的です。一部の既製エンクロージャは高いIP等級を備えており、同等のパネルマウントまたはシャーシマウントコネクタと組み合わせることで、耐環境性の高い高信頼システムを実現できます。

以下に、PolycaseのPCBエンクロージャの例を示します。これらのエンクロージャは、デジタルシステム、組み込みシステム、小型パワーエレクトロニクスシステムなど、さまざまな設計に適しています。

KT-40 Plastic PCB Enclosure for Handheld Applications

PCB用既製エンクロージャのベンダーは通常、筐体の3D機械モデルを提供しており、これをPCB制約定義に使用できます。3Dモデルを使用し、基板の2Dアウトラインをエクスポートする方法はMCADファーストアプローチに従うもので、MCADソフトウェアが必要です。MCAD設計者は3Dモデルに基づいて、取り付けポストやスタンドオフに適合するPCB外形を作成できます。また、筐体モデル内で基板厚を指定し、その情報をPCB設計者に引き渡すことも可能です。

DXFファイルの受け渡しは一般的な方法ですが、MCADユーザーは基板形状をAltiumのようなECADソフトウェアへ直接プッシュすることも可能です。これによりファイル交換が不要となり、常に正確な機械仕様がPCB設計者に提供されます。

AltiumによるECAD-MCAD連携

Altiumは、従来のファイル交換のボトルネックを排除する統合クラウドプラットフォームを提供し、ECAD-MCAD連携を革新します。このプラットフォームにより、電気設計チームと機械設計チーム間でPCBレイアウト、部品モデル、筐体制約をリアルタイムで同期・共有できます。

機械エンジニアは基板形状仕様をAltiumへ直接プッシュでき、電気エンジニアは手動ファイル転送なしで更新レイアウトを共有できます。このECADとMCADの統合により、複雑な筐体設計を簡素化する反復的共同設計が可能になります。

Altiumでの複雑な3D PCBレイアウト作業

複雑なレイアウト、マルチボードシステム、またはフレキシブルPCBを扱う場合、PCBエンクロージャ、電子部品、基板間の干渉を確認するためにMCADツールへ迅速にアクセスする必要があります。Altiumには、回路基板および筐体設計中に機械的干渉を確認するためのECADおよびMCADツールが含まれており、強力な回路基板設計機能を備えています。設計者はあらゆる用途向けの複雑な基板を、その筐体と並行して設計できます。

 

Altiumは、あらゆる電子機器アプリケーション向けに完全なECADおよびMCAD機能セットを提供する唯一のPCB設計プラットフォームです。シンプルなPCBから複雑なマルチボードシステムまで、最先端技術を創出するために必要な電気・機械設計機能を備えています。

Altiumは、これまでソフトウェア開発分野でのみ見られた前例のない統合レベルを電子業界にもたらし、設計者が安全に協業し、かつてない効率性を実現できるようにします。

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筆者について

筆者について

Zachariah Petersonは、学界と産業界に広範な技術的経歴を持っています。PCB業界で働く前は、ポートランド州立大学で教鞭をとっていました。化学吸着ガスセンサーの研究で物理学修士号、ランダムレーザー理論と安定性に関する研究で応用物理学博士号を取得しました。科学研究の経歴は、ナノ粒子レーザー、電子および光電子半導体デバイス、環境システム、財務分析など多岐に渡っています。彼の研究成果は、いくつかの論文審査のある専門誌や会議議事録に掲載されています。また、さまざまな企業を対象に、PCB設計に関する技術系ブログ記事を何百も書いています。Zachariahは、PCB業界の他の企業と協力し、設計、および研究サービスを提供しています。IEEE Photonics Society、およびアメリカ物理学会の会員でもあります。

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