前回の記事「実装業者用出力の作成」では、実装業者や請負製造業者がコンポーネントの配置位置を視覚的に特定できるすばらしい実装図を作成しました。ただし、機械の設定などのプロセスを容易にするため、場合によっては、実装業者が基板をより明確に理解できる図面を提供する必要があります。これには通常、面付けの寸法線や基準位置が含まれます。前の記事では、プロジェクトの面付けが非常に単純だったので、実装業者に寸法線や面付けビューを提示しませんでした。
多数の基板を含む複雑な面付けの場合、各基板の原点に対する寸法線を記入すると便利です。実装業者が、すべてのPick and Placeファイルではなく、基板固有のPick and Placeファイルを使用する場合、各基板の原点からのオフセットが非常に有効です。実装機によっては、各デジグネータを重複できなかったり、Pick and Placeファイルを1つだけ実行対象から外せなかったりします。同様に、複数の設計がある場合、実装機は、異なる値を持つ複数の同一デジグネータ (R1やC1など) をうまく処理できないことがあります。この制限は、単に機械のソフトウェアのためだけでなく、操作エラーの可能性を減らすためでもあります。したがって、例えば、複数のR1を含む単一ファイルがあり、4つが同じ値で1つが異なる値の場合、機械が同じ値をすべて一度に配置するために、それらをすべてまとめてグループ化してしまうことは、解決が難しいエラーではありません。
この面付けは標準とはかなり異なり、4種類の異なるデザインが含まれています。そのうちの2つには、よくない配列のコピーが複数あります。この面付けは、実装業者にとっては扱いにくく、よい配列、または複数の面付けにすべての部品を含むものと比べると、追加の設定作業が多数、発生する可能性があります。これらの基板はすべて、1つの少量生産品で使用されます。そのため、1配列の基板を含む面付けを複数製造するのではなく、ユニットごとに1パネルを製造する方が理にかなっています。
上の面付けについて言えば、実装作業に適していないデザインの部分が複数あります。例えば、基板の多くはmouse nibble tabで固定されています。そのため、実装機による配置時の圧力で基板に曲げや反りが生じ、機械内で個々の基板が割れる可能性があります。この部分こそ、設計について実装業者と密接に協力して作業を進めることで、業界のベスト プラクティスから外れても生産成功率を維持できるところです。
Draftsmanドキュメントで先に図示した面付けを設定しました。これは、前回の記事と同様に設定されていますが、SMT、およびPTHパッドの表示が追加されています。実装図では通常、パッドを表示するとコンポーネントのデジグネータが読み取りにくくなることがあります。ですが、今回の実装図では、デジグネータが判読できなくてもかまいません。各基板はそれぞれ個別に実装図が作成され、すべての情報が明確に示されているからです。
Draftsmanでは数種類の寸法線を使用できます。右クリックして表示される配置用メニュー、上部のツールバーの配置用メニュー(キーボードで<P>を押して表示します)、あるいはエディター上部のActive Barからアクセスできます。
キーボードで<P>を押すと、マウスポインターにPlaceメニューが表示されます。
[Insert new linear dimension] ボタンをマウスの左ボタンで押し続けると、寸法線の種類をすべて含むメニューが表示されます。
[Ordinate Dimension] を使用すると、実装図に、寸法線を原点からすばやく追加することができます。この方法では、面付け上の各基板の位置を簡単に参照できます。この寸法線ツールを使用するには、回路基板のいずれかの辺をクリックして、参照を追加したい各ポイントの角をクリックします。寸法線の追加が完了したら、<Esc>キーを押すか右クリックします。連続した寸法線は、線ではなく頂点/角を参照します。したがって、角に寸法線を追加する方法が最も手っ取り早いことがわかりました。
寸法線は短くし、面付け全体を横断しないようにしてください。この例では、面付け内の基板は、右下角を原点として四辺から定義されています。これにより、寸法を可能な限り判読可能な状態で表示できます。
これらの寸法が個別の値ではなく原点を基準とした絶対値であることは、実装業者にとって注目すべきことです。矢印のスタイルがこれを表しますが、この方法で連続して寸法が表示される多くの実装図は、連続する各数値を、直前の寸法値からの距離として認識します。
基板が (複数の行/列に) 並んでいる場合、最初の基板から2番目の基板までの寸法を記入し、接尾辞として ‘ TYP.’ (Typical、誘導トレースではありません) を設定できます。これは、特に記述がない限り、連続するすべてのコピーがこの寸法値に一致することを示します。
パネルの角の取り付け穴に対しても、Ø 3.0 TYP.を使用して1つの穴に寸法を記入し、同じ操作を行うことができます。穴の寸法を記入する場合は、Diametral Dimensionを使用します
さらに、アノテーションを使用して、各基板の名称と回転のコールアウトを表示することができます。これは、面付け上に異なる向きで基板のコピーが複数ある場合、特に便利です。
ドキュメント、および出力を実装業者、または製造業者に送る場合、できる限り明快な情報を提供することが重要です。生産工程が小規模の場合や試作の生産規模の場合、これは特に当てはまります。複数の機械をプログラミングして自動光学装置を設定する時間を取るだけの価値がある大規模な実装工程と比べ、部品配置、および検査プロセスに関連する手作業が発生する可能性がはるかに高いからです。実装業者にできる限り明快な情報を提供すると、実装業者が設計者への問い合わせのために作業を中断しないで済むので、リードタイムを節約できます。また、不完全または不明確なデータによる間違った憶測を取り除いて、実装業者のミスを軽減することができます。
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