製造(ベア基板)要件を文書化したら、同様に重要な段階であるコンポーネントの配置や最終的な実装手順の文書化に進みます。実装段階では、部品表(BOM)で指定した全コンポーネントをベア基板に実装します。本章では、基板を正常に実装するために理解しておくべき事項、実装図の要件、注記の追加、警告用マークの配置について説明します。
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設計図は、おそらく、設計プロセスで最も重要なコンポーネントの1つです。設計意図を製造業者に明確に伝えることができない場合、最高のPCB設計でさえ無駄になります。マスター図面が完成すると、選定した製造業者にベア基板を製造してもらうために必要なものが全て整ったことになります。次の章では、PCBの最終的な実装について説明します。
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必要な実装用文書は、回路図プリントや完成した部品表など、最終設計に含める必要のある多数の実装図テンプレートで構成されます。注記に加えて、これらの図面テンプレートを使用すると、製造業者は最終的なコンポーネントの配置と実装の設計意図を明確に理解できます。また、プロジェクトテンプレート(WP)を使用して設計効率を高める方法についても学んでいきます。
回路図プリントは、目的の基板コンポーネントの接続の概要を示し、必要なテストポイントを定義、および確立するために必要です。最終テストプロセスで、基板テスターは物理PCB上のテストポイントを見つけることができますが、より明確にするため、回路図プリントを使用してそれらのテストポイントがどのように回路網に接続するかを把握します。テストポイントを以下の回路図の例に示しています。
部品表には、必要な全ての部品サプライヤー情報を含む、詳しい調達可能部品リストが含まれます。設計が確実に適切な部品を使用して製造されるよう、コンポーネントのデジグネータ、およびサプライヤー情報を含むBOMを製造業者に提供します。BOMについては、このガイドの後半で詳しく説明します。下図は、BOMに記載してほしい必要な部品情報の一部を含むサンプルBOMを示しています。
警告用マークは、基板を安全に取り扱うために非常に重要です。基板が静電気に敏感で特別な対応が必要な場合は、実装文書の一部として、以下のような静電気放電マークを記載する必要があります。
上記の記号に加えて、下表の注記をタイトルバーの上またはできるだけその近くに配置する必要があります。使用する注記は基板のクラスによって異なり、銅エッチング、またはシルクスクリーン処理によりマーキングを適用できます。
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実装図は、製造図と同様に独自の注記セットが必要です。これらの注記には、実装基準、取り扱い指示、半田仕様など、基板とそのコンポーネントの統合に関する情報が含まれています。実装用ドキュメントには、詳し過ぎる情報はありません。製造業者が特定のコンポーネントの配置、または実装の要件について何かを知る必要があると思われる場合は、注記に記述します。以下は、IPC-A-325A[8-1]に見られる実装に関する注記の例です。
Draftsmanは、Altium Designerに統合された使いやすい高度描画ツールで、製作図と実装図を作成できます。Draftsmanは内蔵の拡張機能で、「Extensions & Updates」ページに移動し、手動でインストールまたは削除できます。Altium Designer画面の右上にあるユーザーアイコンをクリックすると、「Extensions & Updates」ページにアクセスできます。
次回、PCB製作プロジェクトのために製作図を作成する必要があるときは、Altium Designer®の Draftsman機能をご活用ください。Altium Designerが提供する使いやすく高性能なこの機能は、文書作成プロセスを高速化するのに便利です。基板の製作図を製造業者に渡す準備ができたら、Altium 365®プラットフォームを使うと、プロジェクトでの共同作業や共有が簡単です。
ここでは、Altium 365とAltium Designerで何が可能か、その一部を紹介したに過ぎません。Altium Designer + Altium 365では、さまざまなライセンスオプションをご用意しておりますので、ぜひご確認ください。