組み込みシステム向けのリン酸鉄リチウムバッテリーとリチウムイオンバッテリーの比較

Zachariah Peterson
|  投稿日 五月 26, 2017  |  更新日 十一月 27, 2020
組み込みシステム向けのリン酸鉄リチウムバッテリーとリチウムイオンバッテリーの比較
Lithium iron phosphate battery vs. lithium ion

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リチウムイオンバッテリー

英語の「love」にはさまざまな意味があります。私は「I love my iPhone(iPhoneが大好き)」とも、「I love my girlfriend(彼女を愛してる)」とも言います。これらの「love」は、いくつか重要な点で意味が違います。同じように、一口に「リチウムイオン」と言っても、リチウムイオンバッテリーの種類が異なる場合があります。ここで述べるのは、ほとんどの場合がコバルト酸リチウム(LiCoO2)です。このリチウムイオンバッテリーは、アノードにグラファイトを使用しています。では、 リチウムイオンバッテリーの仕様を見てみましょう。

  • 電圧: 公称3.6 V、範囲3.0 V ~ 4.2 V
  • 比エネルギー: 150 ~ 200 Wh/kg
  • 充電率: 0.7 C ~ 1 C。1 Cを超える充電はバッテリーを損傷します。
  • 放電率: 1 C。「C」率は聞き慣れない言葉かもしれません。これは、バッテリーの定格が2400 mAhの場合、損傷せずに最大電流2.4 Aで放電できることを意味します。
  • ライフサイクル: 500 ~ 1,000サイクル。ライフサイクルは、動作温度と放電深度(DoD)に大きく依存します。
  • 熱暴走: 150°C。リチウムイオンバッテリーの爆発を引き起こす温度です。 
  • 充電温度範囲: 0 ~ 40°C
  • 放電温度範囲: -25 ~ 60°C
では、リチウムイオンバッテリーとリン酸鉄リチウムバッテリーのどちらが適しているかを見てみましょう。
では、リチウムイオンバッテリーとリン酸鉄リチウムバッテリーのどちらが適しているかを見てみましょう。

あなたが新しいスマートフォンやノートパソコンでこの記事を読んでいるなら、リチウムイオンまたはリン酸鉄リチウムバッテリーに感謝することができます。ここでは、リチウムイオンまたはリン酸鉄リチウムバッテリーの間の重要ないくつかの違いについて紹介します。

リン酸鉄リチウムバッテリー

既にリチウムイオンバッテリーに決めているかもしれませんが、リン酸鉄リチウムバッテリーについても検討してみましょう。リン酸鉄リチウムバッテリーのアノードも炭素製ですが、これはリチウムイオンバッテリーと同じ特性の1つです。

  • 電圧: 公称3.2または3.3 V、範囲2.5 ~ 3.65 V
  • 比エネルギー: 90 ~ 120 Wh/kg
  • 充電率: 1 C
  • 放電率: 1 ~ 25 C(おそらく40 Aパルス)
  • ライフサイクル: 1,000 ~ 10,000サイクル。温度に大きく依存します。
  • 熱暴走: 270°C
  • 充電温度範囲: 0 ~ 45°C
  • 放電温度範囲: -20 ~ 60°C

比較

Tinderでスワイプがすべて済んだら、マッチング相手にメッセージを送ることができます。次に、相手についてもう少し詳しく調べたり、複数の相手を比較することもできます。デート目的の客観的な比較はお勧めしませんが、バッテリーの場合は良い考えだと思います。では、リチウムイオンバッテリーとリン酸鉄リチウムバッテリーの安全性、放電容量、充電容量を比較してみましょう。

先ほど見たように、リチウムイオンバッテリーのエネルギー密度は非常に高いため、携帯電話やコンピューターなど、消費電力の多いポータブルデバイスには魅力的です。とても魅力的な人は少し不安定なことがありますが、これはバッテリーにも当てはまります。エネルギー含有量の多いリチウムイオンバッテリーは、爆発などに弱い性質があります。複数の障害モードがあると、リチウムイオンバッテリーですべてのベースをカバーすることが難しくなります。障害モードの1つは急速な放電と再充電で、これは熱暴走につながります。手で持って操作できる電子機器などでのサイクリングは、ユーザーがデバイスのバッテリーを使い果たし、再充電する頻度によります。つまり、バッテリーの障害モードを知らないエンドユーザーの手にバッテリーの運命が委ねられているのです。この種の障害が起こる確率は低いですが、用心に越したことはありません。リン酸鉄リチウムバッテリーは、リチウムイオンバッテリーよりも多少穏やかです。エネルギー密度が比較的低く、化学的性質がより安定しています。このような特性があるため、故障した場合でも発火しません。全般的に見て、リン酸鉄リチウムバッテリーはリチウムイオンバッテリーよりもはるかに安全です。 

これらのバッテリーの放電特性を見ることも重要です。リチウムイオンバッテリーの電圧放電は良好ですが、それほど大きくありません。良好な電圧放電曲線は平坦です。つまり、バッテリーの充電容量が減少しても電圧は低下しません。一方、リン酸鉄リチウムバッテリーは、適温での電圧放電曲線が優れています。放電電流は、電気モーターの用途にも役立ちます。リチウムイオンバッテリーの放電電流率は1 Cと低く、最大25 Cになる可能性のあるリン酸鉄リチウムバッテリーと比べて見劣りします。この点でも、リン酸鉄リチウムバッテリーの方が優れています。

なかには、一度に複数の相手とチャットをしたい人もいます。私には、精神的にも感情的にもそんな余裕はありません。愛情と同様に、バッテリーの場合もセル容量を考えることが常に重要です。リン酸鉄リチウムバッテリーは安全性と放電で勝っていますが、リチウムイオンバッテリーはより多くの電力を蓄えることができます。ポータブル電子機器を設計する場合、サイズが重要になることがよくあります。リチウムイオンバッテリーは、リン酸鉄リチウムバッテリーよりもkgあたり最大2倍のエネルギーを蓄えることができます。厳しいスペース目標を達成しようとする場合、これは大きな違いになります。このような場合は、リチウムイオンバッテリーが適しています。

焼け焦げの携帯電話
リチウムイオンバッテリーの致命的障害

リチウムイオンバッテリーは熱暴走温度が高いため、より暖かい環境でもリスクなく使用できます。また、正極に使用される材料の面でもメリットがあります。ご存知かもしれませんが、コバルト酸リチウムにはコバルトが含まれており、これは非常に毒性が強く、調達に関して倫理的な問題が生じます。

リン酸鉄リチウムバッテリーの高エネルギー含有量は、爆発のようなものに対して脆弱になります。複数の故障モードがあるため、リチウムイオンバッテリーのすべてのベースをカバーすることは困難です。ハンドヘルド電子機器のようなものでは、ユーザーがデバイスを消耗したり充電したりする頻度によってサイクルが変化します。これでは、バッテリーの故障モードを知らないエンドユーザーの手にバッテリーの運命が委ねられてしまいます。もちろん、そのような失敗はあり得ませんが、後悔するよりは安全な方がいいでしょう。それはより低いエネルギー密度とより安定した化学的性質を持っています。これらの特徴は、たとえ故障しても燃えないことを意味します。全体として、リン酸リチウムバッテリーは、リチウムイオンバッテリーよりもはるかに安全です。

リン酸鉄リチウム対リチウムイオンバッテリーの安全性と高い放電率にもかかわらず、リチウムイオンは、単に電池のkgあたりのより多くの電力を格納することができますが、負極は必ずしもより多くのリチウムを格納しているためではありません。あなたは、ポータブル電子機器を設計しているとき、サイズの問題があります。リチウムイオンバッテリーは、リン酸鉄リチウムバッテリー以上のkgあたり2倍のエネルギーを保存することができます。これは、スペースと電池容量の目標を厳しく達成しようとしている場合には、大きな違いとなります。

用途

Tinderには多くの情報が含まれているため、私は時々友達にスワイプを手伝ってもらいます。同様に私も、用途に合った最適なバッテリー選びに役立つちょっとしたアドバイスをします。

安全性と信頼性を重視する、より安定したタイプの人には、リン酸鉄リチウムバッテリーをお勧めします。たとえば、電気自動車(EV)や、致命的障害が許されない医療機器などの用途に最適です。EVモーターの場合は、リン酸鉄リチウムバッテリーの高い放電率も利点になります。

若干リスクが高くても、人生にできるだけ多くの楽しみを詰め込みたい人もいます。目的のデバイスもそのようなタイプなら、リチウムイオンバッテリーをお勧めします。携帯電話、コンピューター、カメラなどには、できるだけ多くの電力が必要です。これらのデバイスの耐用期間は一般に約2年で、リチウムイオンバッテリーの耐用期間はこれと同じか、またはそれ以上です。

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筆者について

筆者について

Zachariah Petersonは、学界と産業界に広範な技術的経歴を持っています。PCB業界で働く前は、ポートランド州立大学で教鞭をとっていました。化学吸着ガスセンサーの研究で物理学修士号、ランダムレーザー理論と安定性に関する研究で応用物理学博士号を取得しました。科学研究の経歴は、ナノ粒子レーザー、電子および光電子半導体デバイス、環境システム、財務分析など多岐に渡っています。彼の研究成果は、いくつかの論文審査のある専門誌や会議議事録に掲載されています。また、さまざまな企業を対象に、PCB設計に関する技術系ブログ記事を何百も書いています。Zachariahは、PCB業界の他の企業と協力し、設計、および研究サービスを提供しています。IEEE Photonics Society、およびアメリカ物理学会の会員でもあります。

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