リジッドフレキシブルPCBの製造および製造プロセス

Zachariah Peterson
|  投稿日 三月 16, 2022  |  更新日 七月 1, 2024
リジッドフレキシブルPCBの製造

リジッドPCBの製造プロセスが複雑であるとお考えなら、フレキシブルPCBの製造プロセスの複雑性は手に負えないと感じているかもしれません。しかし、標準的なリジッドPCBの製造で使用される手順の多くは、概念的にはフレキシブルPCBの製造でも使用されます。このガイドでは、フレキシブルPCBの製造プロセスで実施されるすべてのステップについて概説します。これらのプロセスはリジッドPCB製造プロセスと非常に似ていますが、以前のガイドで説明したように異なる材料セットが含まれています。

フレキシブル基板のビルドアップ

一般的なフレキシブルやリジッドフレキシブルの基板は、最初は単純なものに見えます。しかし、これらの基板はその性質上、構築プロセスにいくつかの追加手順を必要とします。リジッドフレキシブル基板は常に、片面、または両面のフレキシブル層から始まります。製造業者はラミネート済みのフレキシブル、または未加工のPIフィルムを使用し、最初の被覆として銅箔でラミネートまたはめっき処理します。フィルムのラミネートには粘着性の薄い層が、接着剤なしの被覆には銅の「シード」層が必要です。このシード層はまず蒸気付着技法(スパッタリング)を使用して塗布され、その上に化学的に付着された銅箔をめっきするための鍵となります。この片面または両面のフレキシブル回路に、リジッド基板の一般的な両面コアとほぼ同じ手順でドリル加工、スルーめっき、エッチングが行われます。

フレキシブルの製造手順

以下のステップは、フレキシブル回路の作成手順を、一般的な両面フレキシブル回路について示したものです。

ステップ1:接着剤/シードコーティングの塗布

エポキシ、またはアクリルの接着剤を塗布するか、スパッタリングを使用して、メッキ用の銅箔層を作成します。

ステップ2:銅箔の追加

ラミネーションをシード層に接着する(より一般的な手法)か、化学的にめっき加工して、銅箔を追加します。または、材料ベンダーによる新しい製造プロセスでは、圧延焼きなまし銅を接着剤なしのラミネート加工することが可能です。

ステップ3:ドリル加工

ビアとパッドの穴は、ほとんどの場合に機械的にドリル加工されます。複数のめっきされたフレキシブル基板は、ドラムの複数のリールから組み合わせ、作業プレート間でドリル加工し、ドリル加工機械の反対側にある別のリールにロールアウトするという方法で同時にドリル加工されます。切り取り済みのパネルは、リジッドコアと同様に組み合わせてリジッドブランク間でドリル加工できますが、より注意深い登録が必要で、位置合わせの精度も低下します。非常に小さな穴の場合はレーザーによるドリル加工も使用できますが、それぞれの薄膜を別にドリル加工する必要があるため、コストが大幅に上昇します。高精度が必要な場合(マイクロビア)はエキシマ(紫外線)、またはYAG(赤外線)レーザー、中程度の穴(4mil以上)ではCO2 レーザーが使用されます。大きな穴やカットアウトはパンチで穴開けしますが、これは別の処理手順になります。

ステップ4:スルーホールめっき

穴を開けた後で、リジッドPCBのコア(一般的にキューポジットと呼ばれます)と同じように銅箔が付着、および化学的にめっきされます。フレキシブル回路のスルーホールめっきは、パッドまたはビアに機械的サポートを追加するために、めっき厚を少なくとも1milにすることをお勧めしますが、一般的な低コストのリジッドPCBでは1/2milのキューポシットしかない場合があります。

ステップ5:エッチング抵抗プリント

感光性エッチング抵抗が薄膜の表面にコーティングされ、目的のマスクパターンを使用して露出を行い、銅箔の化学的なエッチングの前に抵抗が作成されます。

ステップ6:エッチングとストリッピング

露出が行われた銅箔のエッチングの前に、エッチング抵抗はフレキシブル回路から化学的にストリッピングされます。

ステップ7:カバーレイまたはカバーコート

フレキシブル回路の上端と下端の領域は、指定の形に切り取られたカバーレイ層によって保護されます。フレキシブル回路のセクションにコンポーネントが実際に取り付けられることもあり、その場合はカバーレイがソルダーマスクとしても機能します。カバーレイの最も一般的な材質は接着剤付きの追加のポリイミド薄膜ですが、接着剤なしのプロセスも使用可能です。接着剤なしのプロセスでは、感光性のソルダーマスク(リジッド基板のセクションに使用されるものと同じ)が使用され、本質的にはカバーレイがフレキシブル回路に印刷されます。より精度の低い安価な設計では、スクリーン印刷とUV露出によるカバーコート膜の最終的な硬化も選択可能です。基本的な違いは、カバーレイはラミネート膜であるのに対し、カバーコートは硬化させる必要があるコーティング材であるということです。

ステップ8:フレキシブルのカットアウト

フレキシブル基板を作成する最後の手順はカットアウトです。これは多くの場合に「ブランク処理」と呼ばれます。ブランク処理を大量に行うには、油圧パンチとダイセットを使用するのが費用対効果の大きい方法ですが、この方法では工具のコストがかなり高価になります。しかし、この方法を使用すると多くのフレキシブル基板を同時にパンチ加工できます。プロトタイプや少量の生産では、ブランク処理ナイフが使用されます。ブランク処理ナイフは基本的には非常に長い剃刀で、フレキシブル基板の外形の形状に曲げられ、裏打ち基板(MDF、合板、またはテフロンなどの厚いプラスチック)に刻み込まれたスロットに固定されます。その後で、フレキシブル基板がブランク処理ナイフに押し付けて切り取られます。

ラミネーションと配線

フレキシブル基板がリジッド/フレキシブルの複合スタックアップの一部を形成する場合 (ここで解説する構造)、プロセスはここで終了しません。ここまでで、リジッド部分の間に積層する必要のあるフレキシブル回路が完成します。これは個別にドリル加工、めっき、エッチングされたコア層のペアと同じですが、はるかに厚く、ガラス繊維が含まれていないため柔軟です。しかし、前に述べたように、対象のアプリケーションによってはPIとガラスを使用して、柔軟性の低いレイヤーを作成することもできます。これはリジッド部分間で積層されるため、最終的にはパネルに収め、リジッド基板のパネル部分と合わせる必要があります。リジッド部分と組み合わされていないフレキシブル回路は、MDFまたはFR-4スタイル材のリジッドバッキング基板に一時的に接着されます。

エッチング、めっき、カバーレイ、ブランクのフレキシブルパネルと、ガラスエポキシのリジッドパネルとが図のように組み合わせられます。

フレキシブル回路はリジッドや他のフレキシブル部分とともにパネルに積層され、さらに接着剤が追加され、熱と圧力が加えられます。そのように設計しない限り、複数のフレキシブル部分が互いに隣接して積層されることはありません。これは一般に、それぞれのフレキシブル部分は柔軟性を維持するため、銅箔層が最大で2層ということを意味します。これらのフレキシブル部分は、リジッドなプリプレグとコア、またはPIボンディングシート、およびエポキシ、またはアクリル接着剤により分離されます。

本質的に、各リジッド パネルは別々の領域にルーティングされ、これらの領域ではフレキシブル部分を曲げられるようになります。2つの2層フレキシブル回路が3つのリジッドセクションの間に埋め込まれ、リジッドフレキシブル基板として積層する例を次に示します。レイヤーのスタックアップは以下で示すようなものになります。

注記:多くの設計者は、リフローはんだ付け中の許容できないz軸膨張が理由で、接着剤の使用を躊躇しています。

各フレキシブルセクションのめっきスルーホールと、リジッドセクションの最終的なめっきスルーホールを含む詳細スタック図。

上に示すスタックアップの例では、事前にエッチングされ切り取られたフレキシブル回路が2つあり、どちらも両面で貫通めっきされています。フレキシブル回路は、フレーミング用のボーダーを含めて、最終的なアセンブリパネルにブランクされます。これにより、フレキシブル回路はリジッドパネルセクションとラミネーション後の最終アセンブリ時に平坦に維持されます。フレキシブル回路のエルボー部の支持が不十分、または開いている大きなセクションが存在すると、アセンブリ時に多少の破損の危険があります。特に、リフローオーブンの熱で問題が発生する危険性は大きくなります。

この例では接着剤層を示していますが、多くの設計者は、リフローはんだ付け中の許容できないz軸膨張が理由で、接着剤の使用を躊躇していることを認識しておくことが重要です。ただし、FR-4プリプレグと熱硬化性エポキシは、目標を効果的に達成します(ここでは「接着剤」層とみなされています)。フレキシブル層の銅箔を加工して、ラミネートされたプリプレグの「歯」を強化することで、さらに接着力を高めることができます。ここに示しているのは、接着剤を使用しない両面フレキシブルラミネートです。これらはすべてポリイミドフィルムで、銅箔が接着可能なポリイミドコーティングが施されています。DuPont 製Pyralux® とRogers製R/Flex® は、接着剤を使用しないラミネートとしてよく使用されています。

カバーレイも貼付されます。これは接着剤でステッカーのようにラミネートされるか、前に述べた写真印刷法で行われます。この6層スタックアップの最終的なフレキシブルおよびリジッドパネルが組み合わせられた後で、再外層(上端と下端)の最終的な銅箔レイヤーがラミネートされます。その後で、上端から下端までの貫通めっきされる穴のドリル加工が別に行われます。レーザードリル加工のブラインドビア(上端から最初のフレキシブルまで、下端から最後のフレキシブルまで)を作成することもできますが、これも設計のコスト増になります。穴(上から下へ)とブラインドビアがある場合はブラインドビアがめっき加工された後、最終外層である銅箔パターンがエッチングされます。最後に、上下ソルダーマスク、上下シルクスクリーン、防腐剤めっき(ENIGなど)またはホットエア・レベラー(HASL)のプリントが行われます。

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筆者について

筆者について

Zachariah Petersonは、学界と産業界に広範な技術的経歴を持っています。PCB業界で働く前は、ポートランド州立大学で教鞭をとっていました。化学吸着ガスセンサーの研究で物理学修士号、ランダムレーザー理論と安定性に関する研究で応用物理学博士号を取得しました。科学研究の経歴は、ナノ粒子レーザー、電子および光電子半導体デバイス、環境システム、財務分析など多岐に渡っています。彼の研究成果は、いくつかの論文審査のある専門誌や会議議事録に掲載されています。また、さまざまな企業を対象に、PCB設計に関する技術系ブログ記事を何百も書いています。Zachariahは、PCB業界の他の企業と協力し、設計、および研究サービスを提供しています。IEEE Photonics Society、およびアメリカ物理学会の会員でもあります。

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