技術に関しては、特に電子設計では、常に前に目を向け、振り返ることはありません。しかし、時には、古い技術が死なず、それを排除できない場合もあるようです。
ただし、必ず理由があります。より大きな利点がある新しいものを選択できるのに、なぜ品質の劣るものを使うのか? その仮説に異議を唱えたいのです。
このブログでは、表面実装技術(SMT)が最適だと思われるのに、プリント回路基板(PCB)でスルーホール実装(THM)を使用するのはなぜか? 、という問いに答えます。
はじめに、PCB設計プロセスに関連するので、スルーホール実装技術と表面実装技術の概要を簡単に説明しましょう。
スルーホールコンポーネントには、ラジアルとアキシャルの2タイプのリードがあります。アキシャルのスルーホールコンポーネントは、コンポーネントの対称軸に沿って延びており、ラジアルのコンポーネントは、基板上の同じ面から平行に突き出ています。
スルーホールコンポーネントの側面図
PCB上のスルーホールコンポーネント
最近のPCB設計では、次のようになっています。表面実装技術(SMT)は、今日最もよく使用されているパッケージ技術です。これらのタイプのコンポーネントのリードは、非常に小さいか、またはありません。というのも、設計プロセスの間にPCBの表面に直接ハンダ付けされるのが、その主な目的になっているからです。
表面実装デバイス
スルーホール技術の長所と短所
長所 |
短所 |
試作がより簡単 |
穴開けによる基板コストの上昇 |
強力な物理的接続 |
必要な基板面積がより大きい |
耐熱性 |
アセンブリプロセスがより複雑 |
耐電力特性 |
スピードがより遅い |
表面実装の長所と短所
長所 |
短所 |
サイズが小さい → 基板の密度がより高い |
PCBへの物理的な接続がより弱い |
スピードが速い |
耐熱性がより低い |
実装がより高速で安価 |
耐電力特性がより低い |
穴開けなし → 基板製造がより安価 |
DFM: tombstone、pop corneringなど |
2つのPCB設計技術を比較すると、表面実装が支配的である理由が簡単に分ります。表面実装デバイス(SMD)は、より小さく高速で安価です。これは、IoTで特に重要です。技術リーダーたちは、つながった社会に向かっており、PCB設計に関してはサイズが重要です。誰もが望むユビキタスコンピューティング、IoT、または「ambient intelligence」の流れの中で、コンポーネントの小型化の流れには、電子デバイスの心臓部である回路基板が含まれます。
コンポーネントが小さくなれば、基板も小さくなり、ほぼ全てのフォームファクターにPCBを収めることができます。サイズが小さければ、製造が少なくて済み、製造プロセスのコスト削減につながります。コンポーネントが安価になれば、最終顧客にとってはコスト削減につながり、これは常に利点となります。
高速設計が、ますます一般的になって需要が増えているため、SMDを他の技術で代替することはできません。
しかし、表面実装コンポーネントが小型化、高速化、低コスト化されているのに、スルーホール技術を使用するのはなぜでしょう? その答えは、長所と短所にあります。確かに、スルーホール技術は、古くて、大きく、高価ですが、利点がいくつかあります。スルーホール技術は、PCB上でコンポーネントをより簡単に交換できるので、試作やテストに最適です。回路基板を作る前でも、PCB設計をブレッドボードで試作できます。
スルーホールコンポーネントを装着したブレッドボード
試作やテストに加えて、スルーホールコンポーネントは、基板の上面と下面の両方からハンダ付けされているため、ボードとの物理的な結合が非常に強固です。このため、これらは非常に耐久性に優れ、そのことが、軍用品や航空宇宙分野で使用される理由の1つとなっています。また、環境耐性や電力耐性にも優れています。
屋外サインのスルーホールLED
電源のスルーホールコンポーネント
スルーホール技術は、あらゆる場所で利用されています。1つの例は、屋外広告やスタジアムのLEDライトです。スルーホールLEDは、非常に明るくて耐久性があり、屋外の部品に対応できます。また、産業用の機械や機器では、多くのスルーホール回路基板が見られます。この場合も、厳しい条件のためです。環境条件や、高出力状況に対応する必要がある場合などです。スルーホール技術は古くて、時代遅れに見えるかもしれませんが、用途があり、今日のつながった世界で物理的な耐久性と強度のために使用することができます。
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