次のような状況を考えてみましょう。新しいPCB設計プログラムをインストールし、PCBレイアウトを初めて作成する準備ができました。まずは、何から始めればよいでしょうか?ほとんどの技術者は、回路図の操作やコアコンポーネントの選択に優れていますが、PCBレイアウトに慣れていない人は、このプロセスに圧倒されるかもしれません。PCB設計ソフトウェアには多くのツールが含まれており、特定のワークフローに従いますが、初心者であっても、PCB設計の基本知識があれば設計プロセスを進めることができます。
この記事では、すべての新人設計者が設計プロセスを確実に成功するために、従うべき設計の基本をいくつかご紹介します。紹介する話の中には、回路基板の構築方法に関する従来の考え方を覆すようなものもあるかもしれませんが、それらは信号ノイズの低減、製造可能性、およびレイアウトの解決を容易にすることとのバランスをとるためです。
PCB設計プロセスは標準的なワークフローに従っており、新人設計者は、このワークフローがどのように展開されるかを理解することが重要です。PCB設計の標準的なワークフローは、設計を受け取り、物理的なPCBレイアウトを仕上げ、製造のための最終的な設計を準備することに重点を置いています。
先に進む前に、少し時間をかけて標準的なワークフローを簡単に理解しておくとよいでしょう。そのためには、上記のリンクをお読みください。設計のワークフローは、次のステップに従って進行します。
設計プロセスの概要を理解したら、下記のリンクを読み、PCB設計のワークフローがどのように展開するか、また新しい回路基板を完成させるために、すべての設計者が実行しなければならない標準的なタスクを確認してください。
PCB設計者として働き始めたばかりであれば、デバイスの回路図を独自に作成することになるでしょう。設計に変更を加えるたびに、レイアウト内の回路図間でそれらの変更を同期する必要があります。特に、次のような設計変更が含まれます。
変更を加えたら、それらをPCBレイアウトに適用する必要があります。これは、PCB設計ソフトウェアのインポート機能を使用して行います。これによって設計がすべて同期され、ソフトウェアの設計ルールエンジンが設計データを正しく読み取ることができます。
物理的な製品として製造する予定の設計は、大規模な製造が可能でなければなりません。ECADソフトウェアを使用すると、考えられるあらゆる設計機能をPCBレイアウトに実装できます。ただし設計上の判断は、標準的なプロセスで製造できなければならないため、設計者は、PCBで製造可能なものの制限をよく知っておく必要があります。
つまり、すべてのPCB設計者は、完全に製造可能な設計を作成できるよう、時間をかけてPCB製造の基本を学ぶ必要があるのです。これは製造性考慮設計(DFM)として知られており、設計プロセスに組み込むべき一連の重要なプラクティスと関連しています。製造に支障をきたし、製造前に再設計のために基板が送り返されてくるような基本的な設計ミスの事例について、時間をかけて学びましょう。
製造プロセスと、PCB製造業者が提供する標準的な機能について学んだら、設計ルールにおける制限がどのようなものかを理解することが非常に容易になります。DFMの問題のほとんどは、PCB内の銅箔のサイズ、または異なる機能間のクリアランスに関連しています。PCB設計ソフトウェアでプログラムされているデフォルトの設計ルールは、通常、やや保守的であるため、これらの設計ルールにどの程度違反してよいか、制限を知っておく必要があります。
以下のフットプリントの例を考えてみましょう。このフットプリントのパッド同士の間隔は約9milですが、コンポーネントがPCBレイアウトに転送されると、設計ルールのエラー(緑色で表示)が発生します。ほとんどの製造業者で要求される最小間隔は約5milであるため、この設計ルールに違反することは問題なく、制限を低く設定できます。設計ルールを変更する際には、製造業者の機能シートでクリアランスを必ず確認してください。
設計内のすべてのコンポーネントが完全な回路を形成し、設計全体に電力が供給されるように、あらゆるPCBには確実な接地接続が必要です。接地接続は、基板上のバッテリーまたは外部電源に接続することができます。接続方法がどうであれ、その接地接続は、PCB内の他のすべてのコンポーネントに供給される必要があります。これを行う最も簡単な方法は、GNDプレーンを使用することです。この方法では、PCBのレイヤーの1つがグラウンドとして使用され、レイヤー全体を覆う大きな銅箔のシートが使用されます。
今日にいたっても、PCBスタックアップにGNDプレーンを配置するのを躊躇する新人設計者が多くいることに驚かされます。デジタルおよびアナログ信号に影響を与える基本的なノイズ問題の多くは、デバイスにGNDプレーンが存在しないことが原因であると考えられます。最新のPCBでは、デバイス全体でしっかりしたGNDプレーンを使用することが標準的なガイドラインとなっています。PCB上の分割されたプレーンまたはスターGNDが適切である例外はいくつかありますが、これらのアプローチは、多くのデジタルおよびアナログ設計には適していません。
回路図データを新しいPCBレイアウトに転送したら、基板の周囲にコンポーネントを配置する必要があります。設計のこの時点では、解決可能であること、つまり簡単に配線できるようにコンポーネントを配置するのを目標にしてください。したがって、コンポーネントが配置されて承認されるまでは、配線を行わないことをお勧めします。すべてのコンポーネントを配置する前に配線すると、必然的に配線を変更することになります。配線を行う前に、交差するネットの数を最小限に抑えるようなレイアウトを作成するようにしてください。
すべてを配置して確定したら、PCBの配線に取りかかります。上記のアドバイスに従い、PCBレイアウトの作業を開始する前に設計ルールをレビューしたのであれば、設計を正常に配線できる可能性が高くなります。配線の説明において「成功」という言葉を使用する場合、通常は次の3つの領域を指します。
ここに列挙されているガイドラインは、すべてを網羅しているわけではありませんが、PCB全体に配線するほとんどの信号を伝送するトレースに適用できます。高速、低速、低周波アナログ、およびRF設計にはすべて、これらのPCB配線のアドバイスが適用できるため、PCBレイアウトをこれらと同じ方法で実装することに慣れてください。
レイアウト内の配線がすべて完了し、確定しても、作業はまだ終わっていません。PCBレイアウトから製造ファイルを作成することも、設計者の仕事です。PCB設計ソフトウェアには、これらの出力ファイルを自動的に作成するツールが含まれています。出力の準備ができた後でも、これらのファイルを確認して、出力ファイルエクスポーターの設定に間違いがないことを確認する必要があります。製造業者に送信する前に、時間をかけてすべてを確認してください。
おめでとうございます。これで設計段階が終了し、製造段階に入りました。次は、製造業者が設計のレビューを行い、処理能力に適合していることを確認します。最終的なDFMレビューにすべて合格すると、基板の製造が開始され、組み立てに入ります。
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