PCBのサプライチェーン

Happy Holden
|  投稿日 November 25, 2021

はじめに

プリント基板(PCB)とプリント基板アセンブリ(PCA)は多くの場合、電子機器アセンブリと製品のため購入するコンポーネントの中で、最も技術的に複雑なものです。この複雑性から、サプライチェーン管理(SCM)チームには、チームが管理する他の部品や製品とは大きく異なる、いくつかの課題が起きることがあります。

プリント基板のサプライチェーンに関する問題の例

  • PCBとPCAはカスタム設計であるため、単純にカタログから購入できません。多くのサプライヤーが存在しますが、能力や容量は会社によって大きく異なるため、サプライヤーの選択と認定には多くの注意が必要です。
  • PCBやPCAの作成には、正確な光画像化とコンポーネントの配置、機械的なプレスによる積層と炉によるはんだリフロー、湿式化学めっきとエッチング、高速のドリル加工と配線までの広範な製造プロセスが使用されます。
  • PCBとPCAは電気回路の一部として動作することが要求され、そのパフォーマンスが最終的な製品の出来栄えを左右します。PCBは当然、基板に取り付けられているコンポーネント間の相互接続を行いますが、場合によってはそれ自体がアクティブなコンポーネントとして動作します。PCAが正しく動作するかどうかは、設計チームが最終製品の一部として評価するまで判定できないこともあります。

製品の要件が変化したとき、PCA上のコンポーネントの交換、トレースの切断、ジャンパーの追加などは可能ですが、PCBやPCAの再作業、返却、リサイクルは簡単には行えず、コストの増大や望ましくない在庫などが増える可能性があります。

PCBのサプライチェーンの基本

全ての基礎は設計です: 製品が定義され、エンジニアリングが動き始めると、イベントのバリューチェーンを開始するのは回路の設計とコンポーネントの選択です。プリント基板のレイアウトは、製品の最初の物理的な表現です。パフォーマンスとコストを最適化するには、製造性を考えた設計が必要です。課題となるのは、情報、ドキュメント、転送を管理して設計の要件や、サプライヤーについての他の期待を指定することです。

  • プリント基板のサプライチェーン管理: OEMが垂直統合内で製造に長けた数少ない会社の1つでない限り、PCBやPCAの調達の決定に関する一般的な考慮事項、およびサプライヤーの評価や選択に使用すべき基準は購入に引き渡されます。
  • サプライヤーの選択と認定: サプライヤーの評価と認定のため記述されるビジネスの考慮事項と選択基準には、サプライヤーから提供されるサンプルの技術的な評価のプロセスも含めて、他者が関与します。
  • プロセス制御、モニタリング、受領検査: サプライチェーンでは、シックスシグマの原則に基づく品質保証方式のモニタリングが継続的に行われ、プロセス制御、テスト、およびサプライヤーでのPCBとPCAの検査について特定の考慮事項があります。
  • 製品の受け入れとフィードバック: 最後に、設計の認定、ロットの受け入れ、受領したPCBとPCAの継続的な検査の管理があります。これには、内部的な管理コストを最小化するとともに、高いレベルのパフォーマンスを維持するための、長期的なサプライヤー管理の推奨事項も含まれます。

PCBのバリューデリバリーチェーン

価値とは「利益からコストを差し引いたもの」と定義されます。製品の市場投入を成功させるには、サプライチェーンの各段階、各セグメントで価値を認識する必要があります。図1に示すように、各セグメントにとって、次のセグメントが顧客となります。このような形で、各セグメントはバリューチェーンに貢献しています。

図1: PCBのバリューデリバリーチェーンは一般にサプライチェーンと呼ばれますが、このチェーンは各ステップで価値を生み出すことで成り立っています。

特定のサプライヤーを選択するには、サプライヤーのパフォーマンスについていくつかの異なる要因を、相対的な重要性で評価する必要があります(表1)。サプライヤーには、各社が競合のため選択した戦略的な決定に基づいて、固有の能力と長所が存在します。これらの能力は、各社がソーシング戦略とどのように適合するか、および継続的なビジネスパートナーとしてどのような業績を期待できるかを左右します。ビジネスにとって何が最も重要なのかを把握することで、最初のサプライヤーの選択の手引きになるとともに、サプライヤーのパフォーマンスが自社の要件を満たし続けるかどうかを判断できます。

表1 PCBサプライヤーのパフォーマンス基準

システムの分割

新しい製品を構想するとき、最初の作業の1つは、その製品を設計、製造、販売、サポートが可能なコンポーネントやパーティションに分割することです。この段階で過ちを犯すと、製品が正しい機能を実現できない、コストが高騰する、または市場投入が遅延する恐れがあるため、この作業は非常に重要です。

回路/製品の設計

製品の作成と設計の大部分には、論理回路の設計、回路のシミュレーション、コンポーネントの選択、カスタム集積回路とメカニカルの設計が関係します。HDISは電気的および熱的な性能に優れています。ここで価値を生み出すため重要なのは、多くの設計オプションの改善された電気的および熱的な特性をシミュレートできることです。

PCBの設計/レイアウト

新しい基板を設計するときには多くの課題に直面します。正しい設計ルールと構成を選択するには、配線モデルを知ることが重要です。ブラインドビアやベリードビアにより、新しい構造は従来の基板より多様で複雑なものとなってきています。製造に適した設計という観点から、費用対効果が高いのは何かを知ることが不可欠です。

複雑な構造では、特別な設計ルールを考慮する必要があります。それぞれの製造プロセスには、特別な考慮事項と制限が存在することがあります。複雑な設計では、設計ツール、パッドスタック、自動ルーターは全て異なる方法で使用されます。現在のところ、設計プロセスのカスタマイズは一般的な作業ではありません。新しいCADシステムではエキスパートシステムも使用でき、貴重なアドバイスを受けることができます。製造可能性監査ソフトウェアは、レイアウトプロセスの最後に徹底したチェックを行い、ミスやエラーがないことを確認します。

PCBの製造

バリューデリバリーチェーンの中でも、製造は最も確立された要素になっています。現在のところ、全世界で200を超える企業が、本質的に同じHDI/SLP構造を作成するため、少なくとも20種類のプロセスを使用しています。例えば、マイクロビアの作成は簡単です。これはレーザー、エッチング装置、光誘電が近年で急速に進歩したためです。課題は登録、細かい線のリソグラフィー、金属被覆、メッキといった基本的なものです。複雑なHDI/SLPでは、これらの全てを高いレベルで行う必要があります。これを実現するのは困難ですが、あらゆるプリント配線基板製造プロセスで恩恵を受けられます。

PCBアセンブリ

複雑でピッチの小さいコンポーネントでは、アセンブリで新たな価値を生み出すことができます。コンポーネントは密接に配置されるため、リフローのプロファイルや修理が変わることがあります。上面側がいっぱいになると、反対側にも多くのコンポーネントを配置する必要があり、その中にはアクティブなコンポーネントも多く含まれます。これにより、アセンブリのプロセスとリフローのプロファイルも変化します。チップスケールパッケージやフリップチップなど、新しい、より小さく面積密度が高いアレイコンポーネントの登場により、平方センチメートルごとの接続の総数は劇的に増大します。このような新しく小さい、アンダーフィルのある、または表面の接続密度が非常に高いコンポーネントでは、複雑な構造との間に信頼性の相互作用が考えられます。薄型の構造は熱サイクル中に歪曲する可能性が高く、障害の原因となる可能性があるため、十分な評価とテストが必要です。

アセンブリテスト

PCBのバリューチェーンの最後のステージは、アセンブリレベルのテストです。新しい小エリアアレイコンポーネントでは、この段階で新しい問題が発生します。エリアアレイコンポーネントでパッド内ビアを使用すると、アセンブリ後にプローブをテストするために使用するブレークアウトビアが存在しません。テストを考慮した設計は、システムの分割の重要な要素になります。周辺、境界スキャン、内蔵自己テストによるテストは設計の大きな要因になります。コンポーネントの配置が近すぎるために、パッドが大きくなりすぎる場合や、テストピンを入れられない場合があります。基板を設計した後でテストパッドをサーフェスに追加すると、複雑性とコストが大幅に増大するだけでなく、回路に有害な寄生成分が加わる可能性があります。従来のインサーキットテスター取り付け具を必要としない新しいアセンブリレベルの検証スキーマが開発され、従来のものは、より高速な非接触式のテスト技法に代わっていくでしょう。

全体として、PCBのバリューデリバリーチェーンは全ての設計者の課題です。共同で作業し、バリューデリバリーの各部分がチェーンの他のリンクに依存していることを理解すれば、OEMが優れた製品を提供するためのソリューションを実現できます。これらの相互のやり取りを理解することが、サプライチェーンの能力と可能性を利用するための最初の手順になります。

質問がおありの場合は、Altiumの専門家に問い合わせるか、PCB製造の完全なドキュメントパッケージを送信する重要性をお確かめください。

筆者について

筆者について

Happy Holdenは、GENTEX Corporation (米国最大手の自動車エレクトロニクスOEM企業) を退職した人物です。世界最大のPCB製作業者、中国のホンハイ精密工業 (Foxconn) の最高技術責任者を務めた経験もあります。Foxconn入社前は、Mentor GraphicsでシニアPCBテクノロジスト、Nanya/Westwood AssociatesおよびMerix Corporationsのアドバンストテクノロジー マネージャーを歴任しています。Hewlett-Packardに28年余り勤めた後に、同社を退職しました。前職はPCB R&Dおよび製造エンジニアリング担当マネージャです。HPでは、台湾と香港でPCB設計、PCBパートナーシップ、自動化ソフトウェアの管理を担当していました。Happyは、47年以上にわたり高度なPCBテクノロジーに携わってきました。4冊の本でHDI技術に関する章を執筆しているほか、自身の著書『HDI Handbook』も出版しています (http://hdihandbook.comで電子書籍を無料公開しています)。また、最近、Clyde Coombsとの共著『McGraw-Hill's PC Handbook』第7版も完成にこぎつけました。

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