PCBサプライチェーンには、複数のコンポーネント、原材料、そしてPCBが含まれます。PCBおよびPCBアセンブリ部品(PCA)は多くの場合、電子部品のアセンブリや電子製品用に購入される技術的に極めて複雑な部品であり、電子製品の中核を成します。最新のPCBは複雑で、サプライチェーン管理(SCM)チームが管理している他のコモディティとは大きく管理方法が異なるため、チームは管理が難しいと感じることがあります。
この簡単なガイドでは、PCBサプライチェーン、特に調達およびサプライチェーン管理チームが携わる業務と関連があるものを詳しく見ていきます。
PCBおよびPCBAのサプライチェーンには、さまざまな原材料ベンダー、メーカー、完成したPCBに表示されるコンポーネントが含まれます。設計コンセプトから完成品までのサプライチェーンの各ステップで、以下のさまざまな領域からリソースを入手しています。
PCBサプライチェーンの管理における1つの課題は、新製品が望ましい規模で、求められる製品寿命にわたって製造可能であるよう材料を確保することです。たとえば、複雑なシステムを1つ製造する場合は、長期的に持続可能なサプライチェーンの確保はそれほど重要ではありませんが、10年以上にわたり数百万個の製造が予測される製品の部品の確保はずっと困難になるかもしれません。原材料や部品が生産およびそのサポートサービスの提供を終了すると、製品の寿命も終了するため、製品ライフサイクル管理において、この点について考慮することも重要です。
製品要件が明確化され、設計過程に入ると、PCBの設計と部品の選択が行われ、「イベントのバリューチェーン」が開始されます(以下参照)。製品開発で最初に決定されるのが、プリント基板の配置です。製造容易性設計(DFM)は、パフォーマンスとコストを最適化するために必要ですが、製造業者の製造能力およびアセンブリ能力を考慮して、希望する規模で製造可能な設計であるかを確認するためにも重要です。サプライヤーの設計要件やその他の期待事項を明確にするために情報を管理し、ドキュメントを作成し、これを転送することは困難になりえます。
調達:OEMが製造過程で原料を垂直的に調達していない限り、PCBおよびPCAの調達決定に関する一般的な検討事項およびサプライヤーの評価と選択に使用される基準は、購買に反映されます。
サプライヤーの選択と認定:それ以外の人は、サプライヤーから提供されたサンプルの技術評価の実行プロセスなど、サプライヤーを評価および認定するための検討・選択過程に関与します。
プロセス制御、監視、検査:電子機器のサプライチェーンの管理における継続的なタスクは、多くの場合、シックスシグマの原則などのベストプラクティスに基づいて、サプライヤー側でのPCBおよびPCAのプロセス制御、テスト、検査に関する具体的な推奨事項を用いて品質保証プロセスを監視することです。
製品の受け入れとフィードバック:最後に、受け取ったPCBとPCBAの設計認定、ロットの受け入れ、および継続的な検査のためのプロセスを定める必要があります。また、優れたパフォーマンスを維持しながら内部管理コストを最小限に抑える長期的なサプライヤー管理に関する推奨事項も定めるべきでしょう。
電子機器のサプライチェーン管理には、他の業界では見られないいくつかの特有の課題があります。これは、ベア基板と各部品における電子製品とシステムの複雑さに一部起因しています。電子機器のサプライチェーンの課題の例は次のとおりです。
PCBとPCAはカスタム設計されているため、カタログから単純に購入することはできません。実際、アセンブリやシステムが大規模な場合の基板に完璧に代替できるものはありません。さらに、基板に障害が発生すると、サブシステム全体が事実上故障する可能性があり、PCBA全体を交換する必要があります。サプライヤーは数多く存在しますが、それぞれの能力とパフォーマンスは大きく異なり、サプライヤーの選択と認定にはもっと注意を払う必要があります。
ベア基板同様、すべての半導体に完全または同等の代替品があるわけではありません。場合によっては、半導体不足を克服するのに役立つため、製品ファミリーの複数のPNをPCBAで使用できるよう、意図的に基板の設計を簡素化する必要があります。設計側でのもう1つの推奨事項は、複数のバリアントを導入し、それらのライフサイクルを個別に管理することです。
PCBとPCAの製造には、正確な写真画像処理と部品配置、ラミネート用の機械プレス、はんだリフロー用のオーブン、湿式化学メッキとエッチング、高速穴あけとルーティングなど、さまざまな製造プロセスがあります。これらのそれぞれには、完全な代替品がない独自の工具と原材料が必要です。
PCBとPCAは、電気システムの一部として機能する必要があり、その性能が最終製品の品質を左右します。PCBは基板上の部品間の相互接続を行うものですが、場合によっては、それ自体が部品となります。設計チームが最終製品を評価するまで、その一部であるPCBAが正しく機能するかどうかを判断できない場合があります。
PCBAの試作に取り付けられた部品は交換可能で、トレースを切断したり、ジャンパーを追加したりすることもできますが、製品要件が変更された場合、PCBおよびPCAを簡単に再加工、返品、またはリサイクルすることはできず、追加コストが発生したり、不要な在庫が手元に残ることがあります。
これは、動きの早い電子機器のサプライチェーン、特に半導体の調達や製造に関連して発生するいくつかの課題のほんの一部に過ぎません。他のベンダー、物流会社、アセンブリ会社が関与するならば、PCBAのソーシングや調達はさらに複雑になります。
バリュー(価値)は「メリットからコストを差し引いたもの」として定義されます。市場で製品を成功させるには、サプライチェーンの各段階で、各セグメントが価値を生む必要があります。 以下に示すように、各セグメントには顧客である次のセグメントがあります。このように、各セグメントはバリューチェーンに貢献しています。
特定のサプライヤーの選択は、サプライヤーのパフォーマンスにおけるそれぞれの側面の相対的な重要性に依存します(下表参照)。サプライヤーには、競争方法についての独自の戦略的決定に基づいた固有の能力と強みがあります。これらの能力により、サプライヤーが調達戦略にどう適合するか、継続的なビジネスパートナーとしてどのようにパフォーマンスを発揮できるかが決まります。ビジネスにとって何が最も重要かを理解することは、サプライヤー選択の最初の指針となり、サプライヤーのパフォーマンスが引き続き貴社の要件を満たしているかどうかを判断することができます。
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新しい製品が考案されたらまずやることは、製品を部品またはパーティションごとに分割して、設計、製造、販売、サポートできるようにすることです。ただし、対象となる市場や業界によっては、認定基準に準拠する必要がある場合があります。ここでミスをすると、適切な機能が備わっていない製品や、コストがかかりすぎる製品、または必要な性能基準を満たさない製品が製造される可能性があるため、これは極めて重要です。
新しい基板を設計するときは、多くの課題に直面します。適切な設計ルールと構造を選択できるよう、配線モデルを知っておくことが重要です。ブラインドビアと埋め込みビアを備えた新しい構造は、従来の基板よりも多様で複雑です。製造設計の観点から見て、コスト効率に優れているものを知ることが大切です。
複雑な構造の場合は、特別な設計ルールを検討する必要があります。各製造工程には、特別な検討事項や制限があるかもしれません。デザインツール、パッドスタック、オートルーターは、複雑なデザインでは使い分けが必要です。設計工程のカスタマイズは、まだ主流ではありません。また、最新のCADでは、必要なアドバイスを与えてくれるエキスパートシステムが利用できます。製造可能性監査ソフトウェアは、レイアウトプロセスの最後に、ミスやエラーがないかを徹底的にチェックします。
バリューデリバリーチェーン全体の中で、製造は最も確立されたプロセスです。現在、世界で200社以上の企業が、20種類を超える異なるプロセスを用いて、基本的に同じHDI/SLP構造を製造しています。たとえば、レーザーやエッチング、光誘電体が年々急速に進歩しているため、マイクロビアの製造は難しくありません。難しいのは、登録、細線リソグラフィー、メタライゼーション、メッキ加工という、より基本的なプロセスです。複雑なHDI/SLPでは、これらすべてが優れたパフォーマンスで実行されなければなりません。確かに負担は大きいですが、すべての配線を含むプリント基板の製造工程にメリットをもたらします。
アセンブリは、複雑で精緻な部品を使用する製造に新たな価値をもたらしています。部品は互いに近い場所に配置され、リフロープロファイルが変更され、修正が必要になる可能性があります。上側がいっぱいになると、今度は反対側にも部品を配置する必要があり、それが多量になる場合もあります。これもアセンブリプロセスとリフロープロファイルを変更するでしょう。チップスケールパッケージやフリップチップなどの新しい小型で高密度のエリアアレイ部品では、平方センチメートルあたりの総接続数が劇的に増加します。アンダーフィルまたは表面接続密度が極めて高いこれらの新しい小型部品は、複雑な構造により、信頼性に影響が及ぶ可能性があります。薄型構造は熱サイクル中に湾曲する可能性が高く、これにより新しいメカニズムとなり、誤作動が生じることが考えられるため、徹底的な評価およびテストが必要です。
PCBバリューチェーンの最終段階は、アセンブリレベルのテストです。これは、新しい小型のエリアアレイ部品に極めて新しい問題をもたらします。エリアアレイ部品でビアインパッドを使用する場合、アセンブリ後にプローブのテストに使用できるブレークアウトビアはありません。テスト用に設計することは、システムのパーティショニングの主要な要素になります。外周からのテスト、バウンダリスキャン、または組み込みのセルフテストが重要な設計要因となります。部品同士が非常に接近して配置されているため、テストパッドが大きすぎるか、テストピンをそのエリアに入れるスペースがない可能性があります。基板の設計後に表面にテストパッドを追加すると、その複雑さとコストが大幅に増大し、有害な寄生成分が追加される可能性があります。従来の釘の固定具を必要としない新しいアセンブリでの検証スキームがおそらく開発され、より高速な非接触試験技術に置き換えられるでしょう。
全体として、PCBサプライチェーンは急速に発展し、これにより設計チームと製造チームに複数の課題をもたらすでしょう。最悪なのは、レジスタをたった1つ調達できないため、製品を大規模に生産できないということです。 協力し合い、各部品の納品がサプライチェーンの他の部分に依存していることを認識することで、OEMに優れた製品を提供できるソリューションをOEMに提供できます。
コンポーネントや製造計画を選択する際にPCBサプライチェーンを素早く確認する必要がある場合は、Altium Designer®の充実したCADツールセットが便利です。設計の完全な設計レビューと製作の準備が整ったら、チームは Altium 365™プラットフォームを通じてリアルタイムで共有および共同作業を行うことができます。設計チームはAltium 365を使用して、製造データおよびテスト結果を共有できます。また、設計の変更履歴も安全なクラウドプラットフォームとAltium Designerで共有できます。
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