今年に入ってから部品不足がさらに頻発しているのは周知の事実です。実際、世界各国では供給の問題で数十億ドルの収益が失われています。 EPSNewsによれば、「2021年、深刻な半導体不足が原因でチップを入手できず、自動車業界では1,000億ドル以上の損失が見込まれている」ということです。
部品の入手可能性と製造終了、偽造部品の蔓延、および環境規制の遵守違反の危険がますます増大している今日では、電子部品の選択とBOMコストの管理はこれまでにないほど重要です。大企業では、生産に必要な部品が不足する事態が発生しています。その結果、サプライチェーンに関するリアルタイムのアクセスが限られている中小企業では、必要な部品を入手することがさらに困難になると見込まれます。そのため、調達に関する意思決定がリスクの高いものになり、結果として偽造部品の入手につながる可能性があります。半導体工業会によると、偽造部品による製造業者の損失は、年間で75億ドルに上ると推定されています。
2022年以降も、企業はサプライチェーンに関する難問に取り組んでいくことになるでしょう。部品を入手できない場合、製造の遅れがもたらす影響は相当なものになります。遅延が発生すれば販売計画が滞りますし、複数のサプライヤーの部品を差し替えれば、コストもリスクも跳ね上がる可能性があります。幸いなことに、多くの欠品はサプライチェーンに関する積極的な取り組みによって回避できます。
設計チームは、「C17を調達できないので製品を作れない」と言われる瞬間を恐れています。
BOMのコストを管理する3つの方法
電気設計者は、長年にわたって部品に関する難問と闘ってきました。この問題は、部品の代替品が必要になったときや、設計が完成する前に部品が製造中止になったとき、またはその他の複合的な事態によって発生します。部品の調達に関する問題は、予期しない製造の遅れや時間のロスにつながり、複雑な問題を迅速に解決しなければならない設計チームのストレスを増大させる恐れがあります。
部品不足には避けられないものもありますが、その多くは一貫した意識と偶発事態への対応計画によって克服することができます。
1. BOM管理の重要度を上げる
従来、部品表 (BOM) はサイクルの後半に焦点が置かれており、その要件は設計が完了した後の調達に委ねられてきました。しかし、部品の入手可能性が重要な要素となっている現在、回路図やPCBの設計とともに調達要件の重要性が重視されなければなりません。
部品の入手可能性に関する情報を適切な形式で早めに入手し、最も重要な設計作業への影響を最小限に抑えることが最優先されます。供給に関する情報は、設計者が確認して評価し、それに応じた対策を取ることができる場所で提供されることが最も理想的です。偽造部品のリスク、入手可能性、コストといった重要な要素について、できる限り早く把握しておく必要があります。リスクのある部品を早い段階で特定することで、解決策を見つけるための時間を長く確保することができます。
プロジェクトのBOMは、設計プロセスのどの時点でも設計者の背景で開くことができ、 BOMに影響する可能性がある部品の問題点を特定できます。
2. 早い段階で頻繁にBOMを確認する
電子部品市場は移り変わりが激しく、価格や在庫があっという間に変わることもあります。設計プロセス全体で部品表を頻繁に監視し、設計者がその情報を確認できるようにしておけば、不測の事態を回避するのに役立ちます。たとえば、部品の調達先をアプリケーション内で設計者が把握していれば、優先すべきベンダーを簡単に特定し、部品の製造が終了している、あるいは部品を入手できないというリスクを軽減できます。
BOMに関する情報が不十分な状態で設計を進めることには多くのリスクが伴い、問題を解決しないまま放置すると、意図しない結果を招いてしまうことがあります。製品変更通知 (PCN) や製造終了 (EOL) 通知は、頻繁に発生する可能性があります。設計中にBOMの状態を評価できれば、多くのリスクを未然に解消することが可能になります。
3. 予期せぬ事態に備えて事前に計画する
電子機器メーカーはテスト容易化設計 (DFT) や製造性を考慮した設計 (DFM) など、さまざまな取り組みを採用してきました。事前の備えをしっかりしている企業であれば、明確な目的に沿った設計への取り組みをさらに広げ、部品の入手可能性や代替品を視野に入れて設計するべきかもしれません。
現代の環境では、設計の早い段階で不測の事態に必ず備えておく必要があります。たとえば、重要な部品に複数の代替品を割り当て、その情報を回路図に直接含めておけば、部品表を製造のリスクから守ることができます。BOMが下流の関係者と共有されれば、代替部品は設計の一部となり、設計内に含まれることになります。
Altium DesignerとAltium 365は、リアルタイムの部品供給情報を設計環境に組み込んでおり、サプライチェーンの問題を先回りして解決できるように設計現場を支援します。設計者は確実に最新の部品情報を利用できます。
サプライチェーンの監視によって部品不足を早期に発見する
部品に関するリスクは、電気設計に常につきまとっています。 現在、そのリスクはピークに達しているものの、PCB設計者のワークスペースで部品に関する情報を確認できれば、その多くを解消できます。現在の環境では、サプライチェーンにまつわるリスクを認識して軽減すれば、どのような規模の企業でも競争で優位に立つことができます。