「ロケット科学みたいに、さっぱりわからない」というのはよく使われてきた言い回しです。小さなJimmyは九九までロケット科学のようだと言っていました。今日では「ロケット科学」を「電磁気干渉」と置き換えるべきでしょう。EMIは多くの人々がぼんやりとしか理解していないものの1つです。この理由から、私は正しい接地方法、AC/DC回路、高速配線、差動ペア配線などについて記事を書いてきました。順番から、次に書くべきなのはフェライトビーズを使用してEMIを低減する方法でしょう。フェライトを使うのは少々面倒なので、まずその背後にある理論を理解することが重要です。ほとんどの電子部品は本質的にプラグアンドプレイです。しかし、フェライトはシステム内に設計して組み入れる必要があります。理論を理解すれば、LCフィルター、GNDプレーンと電源プレーンの分離、ソースのノイズのフィルタリングなどを実践できるようになります。
設計者は多くの場合、フェライトビーズのことをローパスフィルターと考えようとします。これらは確かに高周波をブロックしますが、特定の帯域しかブロックしません。それより上の帯域では、固有の容量が優先します。ビーズ自体はローパスフィルターではありませんが、バイパスコンデンサーと組み合わせてローパスフィルターにすることができます。この場合、本質的にLC(コイルとコンデンサー)フィルターとして機能します。フェライトビーズをこのように使用するときに大きな問題の1つは、LC共鳴です。
重要な点を先に述べると、回路の電源ラインにフェライトビーズを使用する場合、バイパスコンデンサーが必要です。低い周波数ではフェライトビーズはコイルとして機能し、電流の変化に抵抗します。すなわち、集積回路が電流のスパイクを引き出そうとすると、ビーズはそのピークに抵抗し、回路の動作の妨げとなります。バイパスコンデンサーは電荷を保存し、これらの電源スパイクを供給するために必要です。またバイパスコンデンサーは一般的にも良いやり方です。
コンデンサーとフェライトを設置したら、高周波をフィルタリングして除去できます。フェライトビーズには、LCフィルターに使用される通常のコイルと比較して、いくつかの利点があります。フェライトビーズは低い周波数でロールオフが急速です。また、固有の抵抗が存在するため、発生の可能性がある共鳴を減衰させるため役立ちます。多少の減衰能力はあっても、LC共鳴は依然として発生する可能性があります。大きなコンデンサーを使用するときは、特にリスクが大きくなります。共鳴が発生した場合、最大10dBのゲインを招くことがあります。フィルターの設計では共鳴を避けるよう注意してください。
フェライトビーズとバイパスコンデンサーを使用して信号をフィルタリング
EMIが回路内を伝搬する主な手段の1つは、GNDおよび電源プレーンです。混在信号回路では、単一のGND/電源プレーンがアナログ信号とデジタル信号の両方に使用されるため、特にこれが一般的となります。このため、GNDと電源のプレーンを別にするのが最良ですが、GNDは依然として同じ相対電圧に参照される必要があります。これらの問題から極めて困難な課題が生み出されますが、この課題を解決するためにフェライトビーズが役立ちます。
フェライトビーズは、アナログとデジタルのGND/電源プレーンを接続するために使用できます。この方法により、両方のプレーンは依然として同じ電圧に参照されますが、互いに絶縁されるようになります。ビーズは、通常ならプレーンから別のプレーンへ直接転送されるノイズをブロックできます。
回路の中でノイズの問題が発生するのは、GNDと電源のプレーンだけではありません。デジタルコンポーネント、DC/DCコンバーター、入力電源ラインからもノイズが発生することがあります。フェライトビーズは、これらのすべてのソースからのノイズを遮断するために役立ちます。
ノイズの多いコンポーネントでは、絶縁のために必要なだけフェライトビーズを使用できます。基本的にはデジタルICごとにバイパスコンデンサーを使用するので、フェライトビーズを追加すると、以前に述べたLCフィルターが形成されます。これらのフィルターはコンポーネントから発生するノイズを減衰させ、回路にEMIが発生することを防止します。
一部のアナログ回路は、DC/DCコンバーターのスイッチングにより電源が供給されます。これらの電源からシステムへノイズが送り込まれることについては注意しているでしょうが、アナログチップがノイズを送出することは見逃されがちです。この場合、DC/DCコンバーターと直列にフェライトビーズを接続し、電源ライン上のEMIからアナログ回路を絶縁します。
フェライトは多くの場合、入力電源にフィルタリングを行うため使用されます。
基板の外部から来るノイズについても注意が必要です。多くの場合、EMIは最初の電源を通してPCBに入り込みます。フェライトビーズは、この種のノイズを遮断するためにも優れています。実際のところ、これが最も一般的な使用法です。
PCBを宇宙空間で使用する場合でも、地上で使う場合でも、EMIからの保護が必要です。フェライトビーズは特定の高周波帯域を減衰させる、またはバイパスコンデンサーと組み合わせてLCフィルターとして動作することで、この役割を果たすことができます。LCフィルターにビーズを使用する場合、LC共鳴に十分注意してください。また、フェライトビーズを使用して、混在信号回路におけるGNDと電源のプレーンを分離し、一般的にノイズを遮断することもできます。
回路のEMIを低減する方法を理解したら、基板の設計を行いましょう。Altium Designerなどの優れた基板設計CADは、ノイズを防止する理論を実践に移すのに役立ちます。Altium Designerには広範な先進ツールとオンラインマニュアルが付属し、どのような設計上の課題にも確実に対処できます。
EMIについてのさらに詳しいご質問は、アルティウムのエキスパートまでお問い合わせください。