BGAを使用した設計を成功させるには

Charley Yap
|  投稿日 四月 27, 2022  |  更新日 七月 1, 2024
BGAを使用したPCB設計

現在、FPGAやマイクロプロセッサーなど、さまざまな高度多機能半導体デバイスの標準パッケージでBGA(Ball Grid Array)が採用されています。BGAパッケージのコンポーネントは、ホストプロセッサー、またはメモリなどの周辺機器として、幅広い組み込み設計で使用されています。BGAは、チップメーカーの技術的進歩に対応するため、近年大きく進化してきました。また、BGAパッケージにはいくつものバリエーションがあり、これらは各種デバイス専用のリードレスパッケージで使用されています。一方、BGAはピン数が多く、ピンの配置間隔が狭く、HDIの設計・レイアウトで最も扱いにくいコンポーネントであるという側面もあります。

BGAパッケージは、標準BGAとマイクロBGAに分けることができます。今日の電子技術ではI/O回路や装置の使用が求められ、経験豊富なPCB設計者でさえ、特に複数層での配線で苦労しています。BGAを使用したPCB設計での課題を克服するのに有用な戦略は何でしょう?

BGAを使用したPCBレイアウトに着手する

多くの場合、BGAはデバイスのメインプロセッサーで、基板内の他の多くのコンポーネントと連携する必要があるため、最も大きなBGAコンポーネントをまず配置し、そこから、PCBレイアウトのフロアプランに着手するのが一般的です。もちろん、最も大きなBGAコンポーネントを最初に配置することは必須要件ではなく、一度配置したら、その位置を変えられないわけでもありませんが、これにより、コンポーネントへの配線に使用するレイヤー数とファンアウト戦略を一部決めることができます。

BGAを使用したPCBレイアウトで配線を確実に成功させるためには、いくつかのタスクが必要になります。

  1. 信号層の数:スタックアップに必要な信号層の数は、プレーン層の数、ひいては配線するために必要なトレース幅に影響します。
  2. ファンアウト:BGAにおける信号の流れをどうするか?インピーダンスの制御は必要か?こうした質問により、スタックアップ内のレイヤー数が決定され、それによって内部層でトレースをどのように配線するかが決まります。

また、設計性能と信頼性基準の問題もあります。BGAを使用した高信頼性設計では、クラス3/3A以上の製品固有の信頼性基準を満たす必要があります。たとえば、一部のミルエアロ仕様では、 IPC-6012クラス3アニュラリング要件を超えるパッドサイズが必要になります。 その結果、公差、アニュラリング、ソルダーマスクの要件により、標準のドッグボーンファンアウトが使えなくなる可能性があります。

設計プロセスの早い段階でこれらの点を念頭に置きながら3つのタスクを行うことで、BGAを使用したPCBレイアウトに着手できます。

BGA戦略1:適切な出口配線を明確にする

BGAのレイアウトと配線における主な課題は、自信を持って生産でき、組み立て後にPCBの再作業が発生しない適切な出口配線を決定することです。層数の多いBGAでは、出口配線計画に複数列のピンを通る配線トレースが含まれます。これらのトレースの一部は高速信号を実現するためのもので、クロストークを防ぐためにトレースを適切に離す必要があるかもしれません。または、低速信号のためであれば、クロストークや過度のノイズのリスクが少なく、より近くにまとめて配置させることができる場合もあります。

以下の例は、2つの内部層でのBGAを用いたレイアウトのエスケープ配線を示したものです。ここでは、これらの内部層で、トレースがビアの複数の行(2つ以上)に配線されていることがわかります。これは、表面ピンに配線していないことを考えると適切な処置と言えます。表面では、BGAランドパターンのパッドサイズ、クリアランス要件、ファンアウトスタイル(特にドッグボーンファンアウト)により、外側の2行のみに配線するのが最も一般的です。

BGAを4つのセクションにファンアウトする
BGAを使用する場合、配線をシンプルにするために4つの象限に分割されることがよくあります
BGAの下にある最上層では、PCB全体の内部層に接続できるよう、ランドパターンの多くのパッドをビアに接続する必要があります。より大きなピッチのBGA(最大1mm)では、これらの接続にドッグボーンファンアウトが最もよく使用されます。ビアに接続するこれらの小さなトレースにより、表面層(BGAの下)の外側の2行のピンへのアクセスと、内部層からのビアを介した残りの内部パッドへのアクセスが可能になります。
BGAのドッグボーンファンアウト
表面層でのブレークアウトとBGA配線に使用される標準的なドッグボーンファンアウト。

ドッグボーンファンアウトは配置間隔の緩いBGAで使用される標準的な方法ですが、ビアインパッドは表面層の柔軟性を高めます。ピンの配置間隔が狭まると、ピン間から各層のBGAに到達するために必要なトレース幅が必然的に小さくなります。制御されたインピーダンス信号の場合、これはより薄いラミネートが必要になることを意味し、最終的にはHDI技術により、BGAで配線できるようにする必要があります。ひいては、ファンアウトスタイルは、ドッグボーンからビアインパッドに変更されることになります。BGAファンアウトスタイルとその他のブレークアウト方法の詳細については、次の資料をお読みください:

  • Pfiel, C.著『 BGA Breakouts and Routing: Effective Design Methods for Very Large BGAs, 第2版』Mentor Graphics(2010年)。

BGA設計タスク2:接地と電源

大きなBGAでは、複数のピンが接地と電源専用になる可能性があります。一部のコンポーネント、特に複数の高速デジタルインターフェースをサポートする必要がある大型プロセッサーでは、ほとんどのピンを接地と電源専用にすることができます。さらに、コンポーネントは複数の電圧レベルを必要とする場合があります。つまり、複数の電源からの電力を基板に配線する必要があります。BGAへの電源接続を管理する最も簡単な方法は、通常1つないし2つのプレーン層で電源レールを使用することです。誘電体をやや分離して隣接する層に電源と接地を配置することも、高いプレーン間容量を提供するので、電源の完全性を維持するのに役立ちます。

当社は常にBGAの下の出口配線またはエスケープ配線について取り上げていますが、BGAピン付近での配線方法はこれだけではありません。パワーレール、GNDプレーン層またはポリゴンへの接続、ピン間の配線はすべて、同じBGAの下で行う必要がある場合があります。これは、同じレイヤー上の電源/接地用のポリゴンに加えて、ピン間の配線が表示される可能性があることを意味します。以下に例を示します。

BGAを使用したPCB設計でのファンアウト
ビアインパッドを使用したBGAの下にある内部層の配線例。ポリゴンは一部のピンに電力を供給し、信号線はBGAの外側のコンポーネントに配線されます。

BGA設計タスク3:PCB層スタックを決定する

BGAのピン配置とI/O回路数を使用して、PCBスタックアップに必要なレイヤー数を決定できます。設計者は、制御されたインピーダンスラインをBGAに配線するために必要なトレース幅を決定したら、インピーダンスを維持するために必要な層の厚さを決定できます。これにBGAの行数を追加すると、PCBスタックアップに必要な信号層の総数を決めることができます。

通常、BGAデバイスの外側の最初の2つの行ではビアを必要としないため、表面層に配線できます。ドッグボーンファンアウトやビアインパッド、代替ファンアウトでのケースがこれに該当します。このパターンをBGA全体で繰り返すことで、信号のファンアウトに必要なレイヤーの総数を決定できます。GNDピンが信号ピン間でインターリーブされることは一般的です。必要に応じて、分離するため、GNDピンを信号層間でインターリーブしてください。下図は、BGAの行と信号層の数を決定するための方法を示しています。

以下の例では、内側の行からいくつかのピンを取り除いたフリップチップBGAを示しています。これらのボールの一部が取り除かれているため、そこに信号を送り、これらの内部ピンに到達できるようにすることにより、内部層から2行以上にアクセスできる可能性があります。この特定のBGAの主要な内部正方形は、電源と接地用で、少なくとも2つの層を必要とするかもしれません。これらのレイヤーとバックレイヤーを使用すると、このBGAを完全にファンアウトして配線するために、少なくとも6レイヤーが必要になります。

 

PCBでBGAを使用する設計戦略について

BGAを使用したPCBの設計は難しい場合がありますが、DRCエンジンの配置をまず決定し、適切な配線ジオメトリと間隔がPCBレイアウト全体で維持されるようにします。BGAを使用したHDI PCBでの配線について詳しくは、以下のリソースをお読みください。

BGAを使用したPCB設計でのレイヤースタック

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筆者について

筆者について

Charleyは現在、Altiumのフィールド アプリケーション エンジニアを務め、企業戦略アカウントマネージャー、セールスマネージャー、リセラー、アプリケーション エンジニアを技術的に支援する業務の責任者です。また、顧客、パートナー、業界リーダーと技術面における関係を確立し、その関係を管理する作業も担当しています。カリフォルニア大学サンディエゴ校で電気工学を専攻し、電力工学を専門としていますが、この7年間はEDA業界に力を注いできました。

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